第4話 空白の2年間 最後の年

夏子…18歳になる年…


B社長が亡くなり店を移った夏子であったが、そのお店でC男と出逢う事となる。

大人っぽい外見と違い…話し始めると妙に甘く、おっとりした話し方をする夏子だけにギャップの激しさが魅力的なのだろう。

そう夏子は全てがスローテンポなのだ…立ち振る舞いはとても綺麗で人目を引く…夏子の父親が厳しく教えたせいだと本人は言うが…それだけでは無いと思う。


夏子のあだ名は「お嬢」だ…その名を肯定させる様に…意外に世間知らずだ…

頭は良いのに…周りは冷や冷やさせられる事が多い…男性だけでなく女性までもが夏子を「守ってあげたくなる」そう言う…そう見た目は女豹なのに…中身は子猫だ…甘え方は天性なのだろう。


そんな夏子に翻弄されまくった男性がC男…


お店の帰りに夏子と系列店の子達と飲みに行くのが定例行事になってた時期…いわゆるお一人様達と寂しがり屋の集まり。

C男は夏子のお店の店長…

夏子が入店してすぐの頃、C男は夏子を誘う。


C男「これから夏子ちゃん面接した系列店の店長と皆んなで飲みに行くんだけど行かない?」笑顔で誘う。

夏子「そうなんですね…あのぉ…あの人…独身ですか?彼女居ます?」と少し首を傾げて尋ねる

C男「独身だし彼女居ないよ!紹介するから行こうよ!」そう言うと夏子の手を引いて返事を聞かず半ば強引に連れ出す。

夏子「あっあの…」そんな夏子の言葉はC男の質問攻めでかき消され夏子の返答を聞いてるのか聞いてないのかわ待ち合わせのお店に着いてしまった。


お店に入ると見覚えのある系列店の店長と従業員の男性、スナックのスタッフであろう女の子が1人…だけ。

天然の夏子ですら気がついた…C男の言う「皆んな」はこのメンバーだけで夏子は「なんか…やられた感する…」と心の中で呟いていた。

C男「夏子ちゃんが店長の事気になるって言うから連れて来た!けど駄目だからね!」それを聞いてた夏子はC男を見つめ首を傾げ聞いた…やってはいけない行為である。

夏子「駄目なんですか?」と…その姿に店長もまんざらでは無い。

店長「夏子ちゃん隣おいでよ!Cちゃんなんかほっとけ」と笑う。

C男「うちの看板辞めさせたら絶対駄目だからね!」そんな言葉に夏子は戸惑い

夏子「いやいやこの前入ったばかりで看板とか…」言い終わる前にC男が…

C男「入った日から場内指名だし…次の日からは指名来てるじゃん…」と少し面白くなさそうに言うと店長が…

店長「Cちゃん…指名断るなよ…」と真顔で言った。

そんな話しをしながら夏子は店長とC男の間に座らされ…目の前には男性従業員、その隣にはスナックのスタッフ女性…

この日をきっかけに、このメンバーで毎日の様に飲む事が多くなった頃…C男がいつもの様に夏子を誘う…夏子はいつも通りに頷く。

C男「今日は違うお店に行くから待ってて!」そう言うと締め作業を手早く始めた。

夏子「近いの?」そんな問いに作業をしながら「うん、知り合いの店」とだけ答える。

お店も閉めて向かい始める…C男は必ず夏子の手を取り歩く…。

C男だけでは無いが…夏子と歩く人は男女関係なく…手を取り歩くか夏子が腕に絡んで歩くのだ…夏子本人は「歩くの遅いから…よく躓くし…走るのは早いのになぁ…」そんな風に誤魔化すが夏子が絡むのは知らない人が怖いからである。


その日のC男は嬉しそうにお店に着くとマスターに夏子を紹介した。

C男「マスター!夏子ちゃん連れて来たよ!綺麗でしょ!」それを聞いて夏子は違うと言わんばかりに手を振り会釈をした。

マスター「Cちゃんのお気に入りの夏子ちゃんだ!初めまして!いつも煩いんだよ夏子ちゃん夏子ちゃんって…やっと会えたわ」と笑う。

夏子「何を話してるの…」少し呆れた様に溜息をつくと気が付いた夏子。

夏子「ねぇ…皆んなは?」その言葉にC男は気まずそうに

C男「今日は2人だけなんだよね…駄目?たまには良いでしょう?」と夏子の様子を伺う。

夏子「良いけど…相変わらずだね…」それを聞いてたマスターは笑いながら

マスター「なにCちゃん…騙して連れて来たの?」そう言うと夏子に

マスター「騙されちゃ駄目だよ」と笑う。

夏子「Cちゃん夏子をいつも騙すんですよ…」そう笑いながらマスターに話してるのを見てC男はホッとしてた。


そうC男は夏子と2人で過ごしたかったのだ…結婚して子供も居るC男…それでも初めて夏子に会った時から夏子に恋をしていた。

夏子は相変わらず19歳と偽ってたが…この時17歳…C男はこの時43歳だった。


この日…酔ったC男の懇願が始まり夏子が根負けすることとなり、そんな夏子が負けた台詞に私は笑った…

楽しい時間をマスターと3人で過ごした夏子は機嫌が良かった…そんな夏子を見てC男が…


C男「夏子ちゃん…お願いがあるんだけど…」と

夏子「どうしたの?何?お金以外なら相談に乗るよ」と冗談ぽく言うと首を傾げてC男の顔を覗き込む。

C男「一回だけで良いからやらせて!」と夏子に両手を合わせて懇願する…恥ずかしいくらい道端で何度も言うのだ…夏子は周りを気にしながら…

夏子「Cちゃん!冗談やめてよ!」そう言いながらC男が合わせてる手をやめさせようとするが両手を握られ更に懇願される。

夏子「Cちゃん結婚して子供も居るのに何言ってるのよ…酔い過ぎだよ…」呆れた様に夏子がC男を見る。

顔を目の前に近づけてC男は…

C男「だって惚れちゃったんだもん…だから一回だけで諦めるからお願い!」眉間に皺を寄せてる夏子にキスをして微笑むと…

夏子は「本当に一回だけだよ…」と拒むのを諦めた。


ホテル入った2人…C男は嬉しそうに、とてもはしゃいでるが…夏子は、あからさまに複雑な心境を態度で表していた。

そんな事はお構いなしにC男は愛の言葉を夏子に捧げ続けている。

当時の事を語る夏子はいつも呆れた様に…

夏子「Cちゃんって…本当に変わってるの…遊び人なのか、一途なのか…わからなくなる、時々、結婚してるの忘れてるんじゃ無いか?って考えちゃうくらい…夏子には甘過ぎるし…」と…珍しく複雑な心境だったらしい。


そう…C男が初めて夏子と過ごした夜…本来なら朝方になる前に帰る予定だったらしいが…


C男「夏子ちゃん…ほら起きて帰るよ」そう寝てる夏子を困った様に起こすが、中々起きない…

C男「疲れてるんだよね…ごめんね…夏子ちゃん起きて…」と何度も声を掛けてる内にやっと夏子がうとうと目を覚ました…その瞬間、C男は夏子の寝起きの悪さを知る事となる。

夏子「うーん嫌だ眠い…Cちゃん1人で帰って夏子眠いもん」とC男の首に腕を絡ませて寝てしまう。

帰れと言われてるが…甘えて腕を絡ませてくる始末…C男が耐えられるはずが無かった…。

C男は半分以上寝てる夏子に愛を囁きながら2回目の行為を始めたのであった。


夏子「Cちゃん…煩い…」そんな言葉はC男にはもう聞こえてない…C男は満足して夏子とそのまま眠りについてしまい…次にC男が目を覚ました時は夏子の叫び声だった。

夏子「Cちゃん!大変起きて!朝だよ!何で寝ちゃったの⁉︎急いで帰らなきゃ!怒られるよ!」そう叫んだ。

C男「夏子ちゃんが1人で帰れって言うから…眠いから起きたく無いって…1人で置いて帰れないじゃん…」と言うと夏子を抱き寄せ「愛してるよ」そう囁いた。

夏子「私…そんな事言ったの?ごめん…」C男を見つめチユッとだけキスをして「良いから早く着替えて帰るよ」と現実を突き付けた。


そのC男は、お店の大入が入ると夏子とデートする…いや出来る?と言うべきか…家庭があるのと、夏子にお金を出させたく無いからだった。

勿論…C男が一回で諦めるはずもなく…また夏子は気が楽だったからかC男と過ごす事が多くなったある日…手紙が届いた。

それはC男からの手紙…一度封を開けてセロハンテープで封をし直してる手紙だ。

夏子は開けて読んだが…読んでる自分が恥ずかしくなるくらいの愛の手紙だ…文字にしないで欲しいとすら思った夏子…疑問が頭に過ぎる。

何故、閉じた封を開けてテープで封をして出したのか?封筒が1枚しか無かった?何を間違えて封を開けた?とまぁ…こんな事を考えてた。

車で迎えに来たC男に会った夏子は…

夏子「Cちゃん、手紙届いたよ…何で封し直してたの?」そう聞くと…C男の顔色が変わった。

C男「やっちゃったかも…」途方に暮れてる様子に夏子は

夏子「どうしたの?何が?」

C男「俺、切手貼ってなかったんだよねまだ…出して無かったし…出そうか悩んでたんだよ…」顔面蒼白である。

夏子「誰が出したの?もしかして…奥さん?」首を傾げ覗き込んで聞く。

C男「多分…いやそれしか無いかな…鞄に入れてたし…見るんだね鞄」そう言いながら既に夏子の仕草に恐怖の出来事が消え去ってしまったのか…抱き締めて唇を重ねる。

夏子「Cちゃん…そんな事してる場合じゃ無いでしょう…」とC男を押し返す。

C男「だってもうバレちゃったし…でも送ってくれたんだね…」と…夏子のぼやく気持ちがわかった気がした。

夏子「Cちゃんの奥さん…格好良いね…大事にしなきゃ」そう言いながら夏子は離れる事を決めていた…それを察知したのかC男は又抱き寄せて

C男「もう会わないとか思ってない?もしかして居なくなろうとしてない?」そう聞きながら夏子が苦しくなる程に抱き締めている。

夏子「だって…ね…」そう呟き抱き締め返した。


C男は夏子が色々知ってる事を知らない…

スナックの女性ともC男が関係していて、夏子と出会ってから別れた事…それを夏子が相手と知らずに女性が相談した事…

一度開けた封を閉じ送った奥さんを考えると、その事も当然知っての事だろう…

見たことも会った事もない奥さんに夏子は何かを感じたのである。


C男は離婚しても良いと言ったが…夏子には荷が重過ぎて、更に手紙を読んだ夏子はC男の愛も重かったのもあり

故に…「Cちゃんは奥様じゃないと駄目だと思ったの!」だそうだ。


数年後、夏子はC男と会って飲む機会があった…当時の事を話し…更に変わらぬ愛を告げられ…随分大人になってた夏子は「Cちゃん、ありがとう!」と締めくくり別れたのであった。


この時期の夏子…C男の奥さんに惚れ込んでいた…私もCちゃんの奥さんみたいになりたいなぁ…と…当然無理なのだが…自分を知らない夏子の淡い夢だ。

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