貴方に海を還す日まで
白昼夢茶々猫
第1話 貴方の海が滅んだ日
「ファルカ族の襲撃だ!」
出入りしていた商人が情報を流した、裏切りだ、情報を商人に流したのはどこの誰だ、あいつだ、――どれが正しいのかもわからない怒号と悲鳴が飛び交う。
逃げろ、戦闘が得意なファルカ族に我らは敵わない。血の匂いに冴えた頭が唯一その場で正しいであろうことを導き出す。
だがそれでも俺は逃げ出すことを許されなかった。そもそもバレイアの民はこの海の外では生きていけない。
理由はそれだけではない。俺はウィーロ。バレイア族の次期族長として生まれてきた。だから俺にはやるべきことがある。
それは俺たちの神様を守ること。
カィシス様。それが俺たちの神様の名前だ。生まれた時から疑っていない、忠誠を捧げる相手。
だから迷いはない。逃亡を選ばず、いつかの平穏の時まで俺は全てを俺らの神様に捧げる。例え、どんなに辛い旅路になろうとしても。
――俺はまだ覚えている。あの時、俺の身を焼いたその炎の熱さを。
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