ジャスミンの風〜父が遺したのは、一冊のノートと、まだ終わっていない家族の物語〜
Omote裏misatO
第一章 風見鶏が動く時
第一章 風見鶏が動く時
白く冷たい診察室。蛍光灯の光が無機質に空間を満たし、壁に掛かる時計の秒針がカチ、カチと規則正しく響く。富樫完治は、目の前の医師の言葉を聞きながら、まるで別の世界にいるような感覚に囚われていた。カルテの紙がわずかに揺れ、医師の白衣の裾が静かに動く。空気が重く、完治の呼吸は浅くなっていた。指先が、知らず知らずのうちに膝の上で震えていた。窓の外、東京のビルの谷間に見える空は、灰色に淀んでいた。都会の喧騒が遠く聞こえるが、診察室の静寂はそれを遮断し、まるで時間が止まったかのようだった。
「――スキルス性胃がんです。かなり進行しています。……余命は、半年ほどでしょう」
医師の声は穏やかだったが、その言葉は鋭い刃のように完治の胸を切り裂いた。耳には届くのに、意味が脳に定着しない。まるで、誰か別の人の話を遠くで聞いているようだった。
彼は無言で頷いたが、喉の奥がひどく乾いていることに気づいた。視線を落とすと、机の上にはカルテが開かれ、黒いペンで書かれた無機質な文字が並んでいる。
スキルス性胃がん――その言葉が、完治の運命を冷たく記していた。胃のあたりに、じんわりとした重さを感じた。まるで、身体がすでにその事実を知っていたかのように。
「自覚症状は……あまりなかったと?」
医師が、カルテに目を落としながら尋ねる。メガネの奥の目は、どこか同情を帯びていた。完治は一瞬、目をそらした。医師の名札には「佐々木」と書かれていた。五十代半ばに見えるその男は、落ち着いた口調で話すものの、どこか疲れた表情を浮かべていた。完治は、こんな宣告を何度してきたのだろうかと、ふと考えた。
「ええ。最近、妙に胃が張るというか……少し食べただけでお腹が膨れる気がして。でも、歳のせいかと」
完治の声は、自分でも驚くほど落ち着いていた。だが、手のひらにじっとりと汗がにじんでいるのがわかった。指を握りしめると、爪が掌に食い込んだ。痛みは、かすかに現実感を呼び戻した。
「スキルス性胃がんは初期症状が非常に乏しいんです。見つかりにくい。ただ、進行は早い。正直、手術も難しい段階です」医師の言葉は、まるで
教科書を読み上げるように淡々としていた。だが、その淡々さが、かえって完治の胸に重く響いた。知人の勧めで受けた人間ドックだった。検査結果の電話を受けたとき、事務的な声で「少し再検査が必要です」と言われただけだった。その言葉に、どこか軽い響きがあったから、完治は深く考えなかった。
年に一度の健康診断、ただのルーチンだと高を括っていた。今思えば、もっと早く――いや、考えても仕方ない。彼は唇を噛みしめた。唇の内側に、わずかに鉄の味が広がった。医師は、慎重に言葉を選びながら続けた。
「あくまで目安ですが、限られた時間で何をすべきか、どう過ごすか、それを考える時期だと思います。治療の選択肢としては、緩和ケアを中心に……」
「……痛み止め、処方していただけますか?」
完治は医師の言葉を最後まで聞かずに口を開いた。乾いた声だったが、揺るがない決意がにじんでいた。
佐々木医師は手を止めて、カルテから目を上げた。
「痛み……もう出ているんですか?」
「ええ。まだ我慢はできます。でも、夜になると腹の奥が重くなって、じわじわと痛みがくる。眠れなくなるんです」
佐々木は黙って頷いた。落ち着いた手つきでカルテにメモを取りながら、慎重に言葉を選んだ。
「痛み止めの処方は可能です。ただ、医療用麻薬に該当する薬は、一度に出せる量に制限があります。特にオピオイド系の薬は……原則、二週間分が上限です」
完治は、しばらく黙っていた。指先で診察室の椅子の肘掛けをなぞるように撫で、やがて言葉を絞り出した。
「……実は、少し遠くへ行く予定があります。日本の中を、いくつか巡って……それから、海外にも行くつもりです。もう……戻って来られるかどうかは分かりません」
一瞬、空気が止まった。
佐々木は視線を外し、窓の外に目を向けた。灰色の東京の空が、ビルの隙間から覗いている。ため息に近い呼吸を一つ吐いてから、彼は口を開いた。
「……そういうことでしたか。事情が分かれば、対応は考えられます」
医師はペンを持ち直し、処方箋に細かい字で何かを書き込んだ。
「フェントステープという貼り薬を使いましょう。三日に一度貼り替えるタイプで、痛みを安定して抑えられます。持ち運びも楽ですから、移動が多くても対応できます。副作用としては眠気、便秘、それから——夢が濃くなることもあるかもしれません」
「構いません。それより、動ける時間がほしいんです」
「補助として、頓服用にオキシコドンの錠剤を出します。痛みが急に強まったときに使ってください」
処方箋とは別に、もう一枚の用紙を取り出しながら、佐々木が続けた。
「これは薬剤の携帯証明書です。海外に医療用麻薬を持ち出す場合、入国管理で提示が必要になります。国によっては、これがないと違法薬物として扱われることもあります」
完治はその紙をしばらく見つめた。名前と日付、薬品名、主治医の署名が記されたその小さな紙切れが、自分の残り時間の証明書に思えた。
「……ありがとうございます」
「無理はしないでください。薬は、痛みを我慢するためのものではなく、残された時間を過ごすためのものですから」
完治は立ち上がり、静かに頭を下げた。窓の外、ビルの谷間に浮かぶ灰色の空が、いつもより少しだけ優しく見えた。
自分がこの街で三十年以上を過ごしたことが、まるで夢のようだった。ビルの隙間から漏れる光、車のクラクション、雑踏のざわめき。それらが、完治の人生を嘲笑うように響いた。診察室の窓枠には、うっすらと埃が積もっていた。それを見つめながら、完治は自分の人生が、まるでこの埃のように、誰にも気づかれず積もってきただけではないかと、ふと思った。
その夜、完治は久々に酒を飲んだ。
東京のマンションの一室、ガラス張りの窓から見える夜景は、冷たく輝いていた。渋谷の交差点を埋め尽くす光の洪水、ビルのネオン、行き交う車のテールランプ。それらが、完治の人生を嘲笑うように瞬いていた。彼はワインのボトルを開け、ひと口飲んだ瞬間、胃が拒絶するように締め付けられた。
シンクにそれを吐き出し、鏡に映る自分の顔を見た。やつれた頬、薄くなった髪、疲れ果てた目。そこにいるのは、かつての自分ではなかった。鏡の表面に、指で触れると、冷たい感触が返ってきた。まるで、自分の存在が薄れていくようだった。
「五十五で死ぬなんてな……一体、何のために生きてきたんだろうな」
自嘲気味に笑った声は、部屋の静寂に吸い込まれ、すぐに消えた。完治はソファに腰を下ろし、棚に並ぶ写真立てに目をやった。そこには、かつての家族が写っていた。妻の愛里紗、長男の翔、長女の美咲。そして、笑顔の自分。あの頃は、確かに幸せだった。だが、今、その写真は遠い過去の遺物にしか見えなかった。写真立てのガラスに埃が積もり、家族の笑顔を薄く覆っていた。完治は立ち上がり、写真立てを手に取った。指で埃を拭うと、愛里紗の笑顔が鮮やかによみがえった。彼女はいつも、完治の仕事の忙しさを笑いながら受け入れていた。
「完治さん、寝る時間もないって顔してるよ」
と、冗談めかして言う彼女の声が、耳の奥に響いた。だが、その声も、今は遠い。完治は写真を手に持ったまま、ソファに座り直した。
ワイングラスを手に、窓の外を見た。東京の夜景は、まるで別世界のように輝いていた。ビル群の光は、かつての完治の野心を映し出す鏡だった。
だが、今、その光はただ冷たく、遠いものに感じられた。彼はグラスを置くと、棚から古いアルバムを取り出した。埃をかぶったアルバムを開くと、若かりし頃の写真が並んでいた。地元の海辺で、母と兄と一緒に写った写真。高校時代、友人と笑い合う写真。そして、愛里紗との結婚式の写真。どの写真も、完治が忘れかけていた時間を呼び戻した。完治の人生は、振り返れば仕事一筋だった。
十八歳で両親と大喧嘩し、地元を飛び出した。
高校を中退し、行く当てもなく東京へ向かった。最初は友人の家を転々とし、建築現場の肉体労働、警備員、トラック運転手――日雇いの仕事で食いつないだ。冬の夜、コンビニの弁当を公園のベンチで食べながら、空を見上げたあの頃の自分を、完治は今も鮮明に覚えている。寒さに震えながら、星一つない東京の空に、何かを見出そうとしていた。空腹と疲労が、若さだけを頼りに生きていたあの日の記憶を、鮮やかに呼び起こした。その頃、完治は地元の幼馴染、佐藤和也とよく連絡を取っていた。和也は、地元に残り、父親の小さな印刷会社で働く平凡な男だった。完治が東京で苦労していると知ると、時折、仕送りのように菓子やインスタントラーメンを送ってくれた。
「完治、死ぬなよ。いつかでっかいことやって、地元に錦を飾れ」
と、手紙に書かれた和也の文字は、乱雑だが温かかった。
完治は、その手紙を今も捨てられずにいた。マンションの引き出しの奥に、色あせた封筒がしまってある。
二十三歳の冬、コンビニの深夜バイトの合間に、店に置いてあった古いパソコンに触れた。画面に映る数字とコードの世界に、完治は初めて「自分の場所」を見出した気がした。図書館で借りた分厚いプログラミングの本を読み漁り、夜な夜なコードを書き、失敗しては書き直した。誰にも教わらず、ただひたすらに学び続けた。時折、コンビニの店長が「富樫、休憩時間に何やってんだ?」と笑いながら声をかけてきたが、完治は画面に没頭していた。店長の名は田中さんだった。五十歳を過ぎたその男は、いつもタバコの匂いを漂わせ、完治に「若いんだから、夢持てよ」と言うと笑いながら、完治の肩を叩いた。田中さんの言葉が、完治に小さな火を灯した。二十五歳のとき、IT系のプラットフォームサービスを立ち上げた。
「やるなら今しかない」――その一念で突き進んだ。
人脈も資金もなかったが、時代が味方した。
小さなオフィスを借り、そこには中古のデスクと椅子、パソコン、ホワイトボードが一台。夜はインスタントラーメンをすすりながら、コードを書き、企画を練った。睡眠時間は日に2時間あればいい方だった。
インターネットが急速に普及し始め携帯電話を持つことがビジネスマン以外にも広がり始めた2000年代初頭、完治のサービスは若者を中心に徐々に注目を集めた。ユーザーが自分の趣味や関心を共有出来るのプラットフォームは、当時の日本では新鮮だった。
完治は開発の中心に立ち、昼夜を問わず働いた。
最初の1年は赤字続きだったが、クライアントとの打ち合わせでは、寝不足で目が真っ赤でも、情熱だけは誰にも負けなかった。
2年目に大手企業からの投資が決まり、会社は急成長した。社員は3人から2年目の後半には50人まで増えた。オフィスは錦糸町の雑居ビルから渋谷の高層ビルに移った。メディアに取り上げられ、「若き起業家」として脚光を浴びた時期もあった。
新聞の見出しには「新時代の旗手」と書かれ、完治は一瞬、自分が世界を変えられる気がした。記者会見の日、フラッシュを浴びながら、完治は地元の両親に電話をかけた。だが、父の声は冷たかった。
「ふん、都会で調子に乗ってるだけだろ」と。母はただ、「気をつけてね」とだけ言った。
その言葉が、完治の胸に小さな棘を残した。その頃、和也と再会した。 和也は、地元の小さな印刷会社で働きながら、妻子と平凡な生活を送っていた。
「完治、すげえな。地元じゃ、お前の話で持ちきりだぞ」と、ビールを片手に笑う和也の顔が、完治に一時の安堵を与えた。だが、和也との再会も、仕事の忙しさに埋もれ、徐々に疎遠になった。和也からの最後の手紙には、「いつか、地元で飲もうぜ」と書かれていた。完治は返事を書かなかった。
■愛里紗との出会い
会社を起ち上げたときに、求人を出し、募集を見て面接に来たのが、当時二十歳の愛里紗だった。彼女は某国立大学に通う学生で初めはアルバイトだった。私は、彼女は大学を卒業すれば他に就職でもするのだろうと思っていたが、創業初期のメンバーとして彼女は一生懸命働いてくれた。また、彼女は真面目で、気が強く、仕事に対する情熱は完治以上でチームの中心的存在になっていた。
「完治さん、ユーザーのこと考えてんの? 技術だけじゃダメよ」
と、愛里紗はホワイトボードにマーカーで書きなぐりながら言い放った。夜遅くまでオフィスで作業し、疲れ果てた後に近くの居酒屋でビールを飲む。愛里紗は「完治さん、寝る時間もないって顔してるよ」と笑いながら、完治の肩を叩いた。開発の方向性や経営方針で意見が衝突することも多かったが、そのぶつかり合いの中で、いつしか惹かれ合っていた。
正式に告白をして付き合ったわけではなかった。お互いに「好きだ」とか「愛してる」という言葉を言ったことはなかったが、気付いたら何時も一緒にいて、自然と同棲をしていた。彼女の妊娠がわかり結婚を決めた。当時、私は二十六歳だった。会社も軌道に乗り始めた頃で朝から深夜まで目の前の仕事をこなしていた。その後長男・翔と長女・美咲を授かった。私なりに一生懸命頑張ってきたと思ったが現実はそうではなかった。いや、その兆候は既にあったのかもしれない。
■邂逅〜成功の陰影•家族との亀裂〜
会社が成長するにつれ、完治の生活は仕事に飲み込まれていった。朝6時に家を出て、深夜2時に帰宅する日々が続いた。翔が「お父さん、いつ遊んでくれる?」と聞くと、「今度な」と答えるのが精一杯だった。愛里紗は当初、完治の忙しさを笑いながら受け入れていたが、次第に不満を口にするようになった。
「完治さん、子どもたち夜遅くまで起きてあなたを待ってるよ。私だって、たまには夫と話したい」
と。完治は「わかってる、でも今は会社が大事な時期だ」と返すばかりだった。40歳を過ぎると、会社は業界のトップランナーとなり、完治の名前は経済誌の表紙を飾った。だが、その頃、愛里紗との会話は減り、夫婦の時間はほとんどなくなった。完治はオフィスかホテルで寝泊まりすることが増え、家に帰っても子どもたちはすでに寝ているか、部屋に閉じこもっていた。翔は反抗期に入り、「お父さん、いつも仕事ばっかじゃん」と吐き捨てるように言った。美咲は静かに本を読み、完治には笑顔を見せなくなった。
五十歳を過ぎた頃、愛里紗が静かに言った。
「完治さん、あなたが悪いわけじゃない。ただ……もう、私の人生を生きてもいいと思うの」
離婚届に判を押すとき、完治は抵抗しなかった。 「わかった」とだけ言った。
長男が大学へ進学した頃に別居をすることを選択した。その時から薄々こうなるような運命にあると感じていた。
現在は子どもたちも独立し家を出て、それぞれ自立している。翔はある上場企業でエンジニアとして働き、美咲は地方で教師をしている。年に一度、誕生日や正月にLINEが来る程度の関係だった。完治は、子どもたちに何を残せたのだろうかと、時折考えるようになった。だが、その答えはいつも見つからなかった。
五十二歳の時、完治はすべてを手放した。会社を大手企業に売却し、莫大な資産を得たが、オフィスを去る日、完治は空虚感に襲われた。社員たちは新しい体制に移り、完治の存在はすぐに過去のものとなった。
マンションの窓から見える夜景は、かつての情熱を映す鏡ではなく、ただの光の集合体にしか見えなかった。
ワインを飲みながら、完治はアルバムを開いた。地元の海辺で母と兄と写った写真、高校時代の友人との笑顔、愛里紗との結婚式。どの写真も、遠い過去の遺物にしか見えなかった。夜、ひとりソファに座り、完治は考える。「俺は何のために生きてきたんだ?」成功は手に入れた。金も、名声もあった。だが、家族は離れ、友人とは疎遠になり、心に残るのは空っぽの記憶だけだった。
完治は、アルバムを閉じ、ワイングラスを手に持ったまま、夜景を見つめ、ふと、地元の海辺の町を思い出した。五歳まで住んでいたあの町。母と手をつないで歩いた団地の裏の公園。ブランコの軋む音、潮の匂い、母の温かい手。
あの頃の記憶が、なぜか今、鮮やかに蘇った。完治は立ち上がり、机の上のノートを取り出した。革の表紙に「風の記憶」と書かれたそのノートは、完治が最近、思いつくままに書き始めたものだった。そこには、断片的な記憶が綴られていた。地元の海、両親の声、東京での苦労、愛里紗との日々。そして、なぜか、若い頃タイのバンコクで過ごしたひと夏の記憶。あの夏の恋が完治の心に色濃く残っていた。
夜明け前の薄明かりのなか、完治は静かに部屋を見渡した。長年住んだマンションは、ほとんどの家具が処分され、壁にはわずかな日焼けの跡だけが残っている。
ダンボールひとつ分の荷物さえなく、彼が手にしていたのは、数枚の古い写真と、一冊のノートだけだった。写真には、若き日の自分と兄、両親の姿が並んでいた。
ページの端が擦り切れたそのノートには、「風の記憶」と書かれている。
完治はゆっくりと深呼吸し、最後に照明のスイッチを切った。
重たい扉を閉めると、まるでひとつの人生に幕を下ろすような静けさが辺りを包んだ。
翌朝、完治は羽田空港にいた。南の空が眩しく広がっていた。完治は小さなキャリーバッグを引いて、搭乗口へと向かった。片道切符。行き先は、五歳まで住んでいた海辺の町。そこは、母と手をつないで歩いた団地の裏の公園がある場所だった。
「帰る」――というより、「会いに行く」気持ちだった。記憶の中にしかない風景。母のぬくもり、公園のブランコの軋む音、潮の匂い。あの頃の自分に、もう一度触れたかった。空港のロビーを歩きながら、完治は胸ポケットに手を当てた。そこには、母がかつて編んでくれた小さなマフラーの切れ端が入っていた。色あせ、ほつれたその布は、完治にとって、母との繋がりを象徴するものだった。飛行機の窓から見える雲海を眺めながら、完治は思った。
――あの公園は、今どうなっているだろう。
母の手の感触は、なぜか今も手のひらに残っている。雲の隙間から見える海の青さに、ふと、母の笑顔が重なった。母はいつも、完治の手を強く握っていた。あの温もりが、なぜか今、胸を締め付けた。完治は目を閉じ、機内の振動に身を任せた。
心のどこかで、時間が巻き戻るような感覚があった。
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