«たかし»の秘密
たかしの音に触れてからというもの
たかしの声を
たかしのギターを
聴きたくて
聴きたくて
たかしのもつ 音楽の才能
その 素晴らしさに
どんどん 魅了されていた
たかしと私は
次第に
極々自然なかたちで
その距離を
近づけてゆく
私は もう
自分の才能の無さを
嘆く事を
やめていた
たかしに出会い
はじめての夏を
むかえた
だんだんとこころを
通わせ始めた
私とたかし
たかしは
自分にふりかかった
異変を話し始めた
耳鳴り
たかしを苦しめていたのは
耳鳴りという
悪魔
いまでこそ
割合普通に 暮らせているが
耳鳴りは
そんなに簡単な
ものではなかった
寝ても覚めても
ざーざー
ざー
わりかし
一定の速度を保ち
耳の奥で鳴り響く
ざーざー
ざー
たかしがこの病を
発症したのは
いまから四年ほど前のこと
耳鼻科も何件もあたり
耳鳴りをなんとか
直そうと 試みた
が
原因不明の耳鳴りに
これという
いい治療法はみつからない
たかしは
こんななら
しんだほうが
いい とくらい
思いつめることもあった
それくらい
耳鳴りはツライものだった
晴れていても
耳の中で
雨が降っている
私なら
もし私だったら
耐えられるだろうか
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