九十九異能者物語 “栞樂”

白木飛鳥

第1話「統治者の娘」

統治者(コントローラー)とは、日本各地に存在するその土地を管理することが許された豪族や貴族、財閥の末裔である。京都の一宮家、広島の宮島家、愛知の金城家のような【一家制】、神奈川・山梨・長崎などの複数の家が統治する【並家制】、組織や団体が実質支配をする土地などもある。

この物語は、神奈川統治者の一家である『山吹家』に産まれた山吹和奏(やまぶきわかな)と5人の女の子の物語。


20XX年4月7日8時35分。山吹家玄関。


「それじゃあ、お母さん。行ってくるね。入学式の会場でまた会おうね。」

「そうね。何もないと思うけど本当にSP頼まなくてよかったの???」

「いいよいいよ。みんな一緒に進学もできたんだし。」

「まぁそうだけど・・・。」

「大丈夫だよ。行ってくるね。」


ガチャ(ドアを開ける音)


『おはようございます。お嬢様。』

「おはよう。みんな。でも、大学ではその呼び方辞めてね。」

『かしこまりました。』


「お嬢様、車は前に手配しております。免許取って日が浅いこともあり、4月中はわたくしの父が運転をいたします。ご了承ください。」

「わかったわ。ナナカの運転も楽しみにしておくわね。」

「はい。」


この子は、城鐘七香(しろがねななか)。城鐘家と山吹家とは700年以上前から続く主従関係である。同い年だが、ずっと側近のメイドとして働いてもらっている。


「そういえば、ここから大学までは何分くらいなのかしら???」

「15分ほどで到着する予定でございます。」

「そんなに近いのね。よかったわ。あと、入学式はどれくらい来るのかしら???」

「城鐘家からは、私の父、母、兄が来ます。」

「四天王の家は???」

「私たちの家からは父母のみですね。専用席から傍聴するようです。」

「わかったわ。確か、お父さんはもう行ってるみたい。」

「そうですね。今回は神奈川の統治者全家から入学者がいるようですので・・・。」

「お嬢様のことを攻撃してくる奴にはこの萩が排除していきます!!!」

「期待しておくわ。でも、あまりにも目立つとだめだからほどほどにね。」


この子は、花小路萩(はなのこうじはぎ) 。山吹四天王家の東側防衛管理を行う家である花小路家の娘である。小柄で緑色がよく似合う女の子である。


「そうよ、萩。これは、山吹家が神奈川第一位の家ということを証明するためにも行動しないとね。まぁ、あと私が羽でもう覆ってるから大丈夫だけどね。」

「そうだった、でも私も根を張ってるから2重で丈夫だね。」


この子は、小鳥遊朱鷺(たかなしとき) 。山吹四天王家の西側防衛管理を行う家である小鳥遊家の娘である。白色の服を着た黒髪の女の子である。


「私も・・・いるから・・・安心して・・・・。」

「あら??クルミどうかした??」

「お嬢様。クルミはいつも通り寝ぼけてるだけでございます。」

「あら・・・、本当に寝ることが大好きね。」


この子は、涼風胡桃(すすがぜくるみ)。 山吹四天王家の南側防衛管理を行う家である涼風家の娘。いつも何かしら集中してしまい、眠気がすごい赤髪の女の子である。


「じゃあ、もう着くまで寝させてあげて。」

「たしかにそうですね。ほらクルミ。寝な。」

「さすがね。もえぎは。」


この子は、如月萌葱(きさらぎもえぎ) 。山吹四天王家の北側防衛管理を行う家である如月家の娘。ナナカと肩を張るくらいの戦闘の強さを誇ってる女の子である。


この六人で、横浜第一大学に進学した。

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