余白供養:非公式ルカナオ
惟光
七分から始まる一日
※本作は、『俺たちは、壊れた世界の余白を埋めている。』の非公式短編集です。
本編において非BLで描かれている、鷹宮ルカと芹原ナオの関係性を、“感情の供養”という形で綴っています。
恋愛描写はありませんが、衝突・依存・距離の歪みなど、人によっては特別な温度に感じられる場合があります。
ご理解のうえ、解釈は各自にお任せいたします。
「おい、ルカ。あと七分」
「……っそ、あと五分寝かせろよ、ダーリン……」
「五分経ったら、どうせ“あと三分”って言うだろ」
「言わねぇよ……たぶん」
ナオはため息をつきながら、ルカの布団の端を持ち上げた。
ルカはそれを力なく引き戻して、枕に顔を埋める。
「起きろ。今日はお前が前線だろ」
「お前が行けばいいだろ……俺、今日“引きこもり任務”にする……」
「却下。引きこもるのは雪だけで充分だ」
「一人でも二人でも変わんねぇって……」
「誰にも迷惑かけてないだろ、雪は」
「俺、かけてない……ほっといてくりゃいいよ」
「かけてるだろうが。事実として」
ルカが枕の奥で吹き出した。
ナオは黙って、掛け布団を引きはがす。
「三分経った。立て」
「うっわ冷た……っ! 拷問……っ! ナオ……俺を殺す気か……!」
「五秒以内に立たなかったら、顔に水ぶっかける」
「待て、交渉しよう、ダーリン!」
「四、三、二――」
「うおおお起きた! 起きたから! 顔洗う! 起きたってば!」
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