第8話 魂喰らいの少女、リーヴェ

神殿から出たレイナは、ひとまず街外れの廃寺院に身を寄せていた。

神子を倒し、異端審問官たちをも圧倒した噂は、すでに街中に広まりつつある。


「静かだな……追っ手が来る気配もない」


神龍シエルの声が脳裏に響く。


「神殿側も戸惑っているのだろう。貴様のような存在は、神々の理の外……対処法がない」


「……私、本当にこのまま上を目指せるのかな」


ふと、レイナは呟いた。


自分はまだ《反逆》Lv3。森羅拒絶も1対象まで。

神の世界には、もっと“強大な理”を持つ存在がいる。


そのときだった。


ヒュゥ……という風の音と共に、冷たい気配が背後に忍び寄った。


「……ようやく会えた、レイナ・ミゼリス」


レイナが振り向くと、そこには銀髪の少女が立っていた。


10代半ばのような風貌。

淡い緑色の瞳は、まるで生気のない湖のように静か。

その身体からは“神の気配”も“人の気配”も感じられない。


「……あなたは?」


「名はリーヴェ。魂喰らい――この世界の枠外に生まれた存在」


レイナは警戒しつつ距離をとる。


「魂喰らい……? どういうこと?」


「神にも人にもなれなかった存在。代わりに、“魂”を糧として生きる」


その瞬間、リーヴェの周囲の空気が変わった。


──ズッ


足元に広がる影から、いくつもの“魂の手”のようなものが這い出てくる。

霊魂、記憶、存在の核すら貪る“異界”の力。


「あなたの魂、強い。試させてもらうわ」


◆敵スキル発動:《魂襲葬界》

→対象の魂に直接干渉。肉体防御を無視する“魂ダメージ”!


「来るっ……!」


レイナは即座に《森羅拒絶》を発動。


◆対象設定:【魂への干渉】

→拒絶成功。魂干渉を完全遮断!


「ふぅ……助かった……」


「……やっぱり、おかしい。あなたの魂、世界の理に属してない……」


リーヴェが興味深そうに首を傾げる。


「あなた、“神の魂”すら喰らえる可能性がある。そんな存在、私しか知らない」


「……それ、褒めてるの?」


「ううん。警戒してるの。だから——」


バシュッ!


次の瞬間、リーヴェはレイナの背後に回っていた。

動きにまったく音がない。まるで魂そのものが動いているかのよう。


「《魂断剣》」


冷たい斬撃が放たれた——が、


◆《反撃蓄積》MAX

→自動反撃発動!


ドガァンッ!!


リーヴェの攻撃が弾かれ、逆に“魂圧”が身体を貫いた。


「く……っ、魂を……跳ね返された……!?」


よろめくリーヴェの表情に、驚愕が走る。


「ただの反撃じゃない……この力、神さえ拒む……“全否定の理”……」


レイナは、彼女の言葉に静かに応えた。


「あなたを傷つけたいわけじゃない。でも、邪魔するなら——容赦しない」


次の瞬間、リーヴェはポツリと呟く。


「……そう。なら、試験はここまで」


スゥ……と影に沈み、その姿は霧のように消えた。


(“試験”?)


意味深な言葉を残して消えた魂喰らい。

だが、その再登場は、そう遠くない。


🆙レイナの成長

《反逆》Lv3 → 維持(ゲージ進行中)


蓄積上限MAX → 自動反撃発動解禁(Lv3能力)


【魂干渉】が森羅拒絶可能な対象に分類(特殊系統の拡張)

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