第1話 王子の婚約者候補(2)


 もちろん私たちは王子の婚約者でなくなったのは素直に喜んだ。


 だって私達は誰が選ばれてもいいようにと王子妃教育を受けていた。


 厳しい礼儀作法に歴史や言語だってすごく大変だった。


 もし、王子の婚約者となればさらに厳しい教育が待っていると言われていたのだからほんと、ゾラ王女には感謝しかないんだけど。


 あれが私の婚約者なんて。


 勘弁してって感じなのよ。


 でも、決まった経緯はほとんど王命に近かったから嫌だなんて言えるはずもなく。


 彼は3人の中でも無口でどちらかと言えば冷たい感じで人と群れないと言うか、口数も少ないし横柄でとっつきにくい人だと思っている。


 何しろ一緒にいてもほとんど会話した記憶がない。


 真っ黒い髪はいつもビシッとしてて乱れていない。


 涼しいと言えば聞こえはいいが切れ長の金色の瞳は何を考えているかよくわからない感じで苦手だ。


 薄い形の良い唇からは時々意表をついたようにカミソリのような切っれ切っれの言葉が飛び出て来るので恐怖しか湧かない。


 まあ、確かに顔は良い。


 クールなイケメンの部類に入るだろう。が。



 まあ私も人の事をとやかく言えないんだけど。


 私は一見すると結構プラドが高くわがままに見えるらしい。


 これは親友のローザンヌの意見だけど。


 まあ、確かに一流デザイナーのドレスにこだわり学園では制服だけどシャツの襟もとにはダイヤをあしらったりカバンは一流ブランドの一点もので爪は今はやりのネイルに凝っているし。


 あっ、でも爪は弟の為に短くしている。


 だって可愛い弟を引っかいたりしたら大変だもの。

 まあ、こんなふうに見栄を張るのも私に取ったら人を気安く寄せ付けたくない為の鎧みたいなものだから。


 ほんと。成り上がり貴族だと馬鹿にされないようにするための苦肉の策なのよね。


 家に帰れば私はすっぴんでロニオと一緒に走り回るのが大好きといういたって普通の女子。


 まあ、強いて言えば強がっているとでも言うべきかな?




 もう一人の親友リスティによれば私の事を意外と寂しがり屋で甘えん坊なところもあるそうだ。


 なるほどやっぱり友達なだけはあると思う。


 幼いころから父はいつも仕事仕事で構ってくれなかったし母は病弱で兄妹は兄と私で6歳年の離れた兄は伯爵家を引き継ぐためいつも忙しかったし私はいつも独りぼっちだった。


 いつもベッドで弱々しい母を前にしていたせいか強がるのが当たり前になった。


 いや、弱音を吐けなかったと言ったほうがいいのかもしれない。


 それでも私が13歳の時に弟が生まれた。すごくうれしかったけどそれからすぐに母は亡くなった。


 産後の肥立ちが悪かったらしい。まったく。王妃が妊娠したからって身体が弱いのに子供を産むから‥


 でも、赤ちゃんが出来た事すごく嬉しそうだったし生まれた弟のロニオはすごく可愛いかった。


 それから私はロニオを滅茶苦茶可愛がった。


 彼は生まれも小さく母に似たのか病弱でいつも熱を出したりお腹を壊したりとにかく手のかかる子供だったが私に取ったら何より大切な家族だ。


 あっ、ちなみにこの年は他にも生まれた子供が多かった。


 確かヴィントの所も弟がいたはず、後はアントールの妹も同じ年だった。伯爵家では我が家だけだった。



 私は学園が始まるとロニオを一緒に王都のタウンハウスに連れて来た。


 だってロニオと離れ離れになるなんて出来なかったし年齢も5歳になりすっかり丈夫になったからだ。


 私は弟の前では優しいお姉さんだが他の人の前では傲慢で虚勢を張った令嬢だ。


 いいの。人がどう思おうと私にはロニオさえいてくれたら。



 我が家はお金持ちだったから欲しいものは何でも買ってもらえたから父にはお金の面ではわがままを言っている。


 何しろ他の貴族からはロータネクから金を取ったら平民に戻ると言われているらしい。


 札束で貴族の頬をはたいているとでも?そんなわけないのに。


 人の言いがかりってほんと、ひどいわよね。


 私に取ったら冷たい父だけど真面目で仕事に一生懸命で領民の事はちゃんと考えている人だと今は思っている。


 まあ、あまり愛情を受けていない分滅茶苦茶、寂しがり屋で甘えん坊なところもあってるかな。


 でも、素直に甘えるのは苦手。


 それに周りの貴族からのやっかみと蔑みには嫌気がさしている。



 それなのに私があれと婚約?


 ふたりの会話って成り立つ?


 そもそも私に公爵夫人何て務まるのかな?


 今日もランチは婚約者同士でって話になってるんだけど‥


 とにかくしばらく様子を見るしかないわよねぇ~。


 私は大きくため息をつくと遠くを見た。




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