第23話 究極奥義・ブラックホール!
「『黒炎』に続いて『浄化の光』って卑怯すぎっっっ!!」
俺様、大ピーーーーーーンチ!!
ーーーーー
浄化の光は瞬く間に俺様とセイナを包み込む様に広がっていき、セイナは俺様のすぐ後ろで縮こまって震えていた
白金の光は神々しく輝き、聖職者なら涙を流して悦び自らその光に身を委ねるだろう
セイナだって散々言われはしても天使族の一員だ、従来ならば神の思し召しと目の前で手を組み祈りを捧げていてもおかしくはない
だが今は違う、その矛先が自身に向けられセイナは怯え悲しんでいる……
「セイナ、お前はどうしたいんだ?」
「・・・・・」
返答は無い、セイナはただ悲しみにのみ込まれようとしていた……
「セイナお前は天使族で俺様は悪魔族、何処まで行っても相容れぬ立場かもしれねぇ……だがな!」
俺様はとんだお人好しだぜ! 毛嫌いされようが憎まれ口を叩かれようが、共に過ごしてきたこの数カ月間!
完全無欠な奴なんてこの世にはいねぇ! お前も俺様もお互いに納得いかねぇ事ばかりだろうよ!
「だが、今の俺様はそんなお前でも仲間だと思っている!」
「悪魔、、、、」
俺様の身体が痙攣を起こし始めていた!
俺様はここで終わっちまうのか、悪魔の俺様が天使を庇って死ぬなんてあり得ねぇ話だってぇのに……
「アギト!!」
「セ、、セイナ……」
セイナが俺様を名前呼びした事にビックリしちまった!
いや! それよりも!
「アギト、私は、私は、、生きたい! 生きて私という命がこの世にあった証を残したいですわ!!」
セイナは俺様の首に腕をまわし抱きつくと
セイナの肉厚な唇はしっとりプルプル、まさに『エンジェル・リップ』!!
そしてだ! そして俺様の胸に押しあてられる『たわわなスイカップ』!
セイナ! お前さんは何てエロチィックなボディの持ち主なのだ!
これぞ
「きたきたきたきたーーーー!! セイナ、お前はぜってぇ俺様が守ってやる!!」
みなぎる力! 溢れる魔力! 今の俺様なら神をも凌ぐ!
ミカエルのオッサン! 消される側の気持ちを教えてやるぜ!!
「the void of
俺様は右手に魔力・精神力・生命力、俺様の全てを集中させる!
生半可なヴォイドでは大天使の浄化の光に対抗できる筈もない!
幼少の頃、一度だけ大叔父が見せてくれたヴォイドの究極奥義『ブラックホール』だ!
俺様の右手に小さな黒球が現れた!
ブラックホールは周りの全てを吸い尽くす! 光とて例外ではない!!
「なんだと!? まさか奴がここまで出来るとは!?」
「ア、、アギトぉ! その技は本気でヤバイでぇ!!」
大天使ミカエルは驚愕した!
ついでに悪魔王サタンも驚愕した!
太古の昔、堕天使討伐戦で堕天使軍を地獄の一歩手前まで追い込んだミカエル達天使軍は急遽撤退を余儀なくされるはめとなる!
堕天使軍ルシファーの放った一撃! それがヴォイド最終奥義『ブラックホール』だった!
その一撃は敵味方を問わず辺り一面を喰らいつくし……そして何もかもが無になった……
後にその場所に造られたのが悪魔族の首都へルシティだと言われている
「セイナ、俺様にしっかり掴まっとけよ! ブラックホールに吸われたら一巻の終わりらしいからな!」
黒球は周りにある光や空気さえも吸い込み続ける! 大天使ミカエルさえも対象外ではない!
ブラックホールの吸引はミカエルの放った白金の光さえも吸い尽くしてしまう!
「アギト! ストップやストップ、お前の勝ちや! ミカもそれでエエやろっ?」
「しょ……しょうがありませんね」
サタンが仲介に入りミカエルも渋々といった表情で承諾した
「やりましたわね旦那様!」
「アギト、グッジョブ!」
ブラックホールの勢いは未だまだ止まない状態だが、RACEメンバーも喜んでくれている
「ありがと、、アギト、、、」
俺様の首にしがみついているセイナが小声で言った……
「おいアギト! もぉエエからブラックホール解除したれや!」
大叔父サタンがブラックホールを解けと叫んでいる……
しかしだ……
「大叔父ーっ! コレどうやって解除するのぉ!?」
「「えーーーーーっ!!」」
そうだ、俺様はブラックホール解除の仕方なんて知らねぇ勢いで発動しちまった……
その間にもブラックホールは辺りを吸い続ける! ミカエルのオッサンも青い顔をして必死に逃げようとしていた……
「お前! 解除の仕方も知らんと使ったんかい!!」
ブラックホールは止まらない! 俺様の魔力も意識も全てを持っていきながら!
「ア、、アギトあなたミイラみたいになってきてるわよ!」
俺を見るセイナが凄い表情になってます!!
ブラックホールが俺様の全てを食らい尽くしミイラみたいになってるらしいっ!!
「ちょっと待っとれやアギト! こんなとこでお前を死なせる訳にはいかんからな!」
大叔父サタンがブラックホールに吸い込まれないように慎重に俺様の方へと近付いてくる……
【兄上早くしてください! 私も限界が近い!!】
なんだなんだ!? 大天使が見せたことのない表情で慌てふためいている……お、、面白ス!
いやいや! 面白がっている場合じゃ無かった!
俺様はセイナが吸い込まれない様にセイナの腰をガッチリと抱いて離さない!
セイナはミイラみたいな男に抱かれているのは少し嫌みたいだがな……
「やっと着いたでアギト! お前の右腕ごと渡せ! ワイが何とかしたる!!」
俺様は大叔父サタンに脱着可能な右腕を渡すと大叔父が腕を呑み込み融合した!
大叔父サタンはブラックホールを何度も使用済みらしく、右腕ごと一緒に取り込んだブラックホールを解除できたのだとか……
【ブラックホールとは、サタンとんでもない技を伝授してくれたな!】
【ほんと、国際問題級の事件ですわよ!】
大天使ミカエルは冷汗を拭いながら語気を荒げ、他の族長も呆れた様子で苦言を呈す
【教えたんやない、コイツが勝手に覚えとったんや!】
元々ヴォイドとは誰でも使えるスキルではない、古来より使用できる者はサタン一人だった
サタンと言えばヴォイド、ヴォイドと言えばサタン! サタンが悪魔の王たる所以と言っても過言では無いレジェンド級のスキルなのだ
アギトが産まれこのスキルを所持していることが判明したとき世界が揺れた
敵対国からすればサタンがもう一人誕生した事になるのだから!
絶対の力を持つ悪魔王サタンが一つの国に二人存在するともなれば世界のパワーバランスが大いに狂う!
大戦中とはいえ、急遽国際会議が開かれ秘密裡にこの問題が話し合われた
話し合いの内容は紆余曲折あったのだが今は割愛する
結果としてサタンの提案により、大戦中はアギトを政治・戦闘共に参加させない
ヴォイドの使い方は一切師事せず戦闘員として育てないとの条約が裏条約として締結されたのだった……
【せやけど、ブラックホールまで使えるようになるとはなぁ〜、、死にかけとるけど】
【兄上! このまま放置されては困りますよ!】
【そうですよね、これが世間に知れたら大問題ですわ!!】
族長達は念話で話しているのだが、RACEメンバーには青ざめ固まり微動だにしない族長達くらいにしか見えていないのだった……
俺は悪魔族アギト、戦闘力ゼロ・甲斐性ゼロ・金なし家なし女なし
クソが付くほど『片腕無くしてミイラみたくなった俺様を忘れてないかぁ?』と嘆く男だぜ!
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