静かな町は、青春の舞台となる。④
俺が執筆に集中し始めると、家から出ないなんてことが頻繁に起きる。
家で最低でも一か月間籠っても食料が尽きないよう、今日は不本意ながら、騒がしい牧峰一丁目へ足を運んでいた。
頭の中の買い物リストを確認する。おにぎり全種を三個ずつ、カップ麺三十個、エナドリ五十本。これでも足りない気がするが、たくさん買いすぎると店員に変な目で見られる。それは避けたい。
田舎にしてはそこそこ大きいであろう、スーパーマーケットで買い物かごに商品を入れていく。二万円で足りるだろうか。計算が苦手なので、ドキドキしながらレジへ向かう。
足りなかったら何を減らそうか......と、不安に思っていたら、すでに店員による商品のスキャンは終わっていた。
「お会計、一万七千二百三十円になります。有料のレジ袋はいりますか?」
どうやら足りたらしい。安心して返答する。
「大丈夫です。二万円でお願いします。」
「ありがとうございます。こちら、お釣りの二千七百七十円です。」
「どうも」
「すみません、お客様。失礼ながら、お住まいはどちらですか?」
商品とお金を受け取って立ち去ろうとすると、店員に呼び止められた。
なぜそんな質問をされるのか分からないが、隠すようなことでもないので、普通に答える。
「牧峰二丁目ですが......。なにか?」
「お客様、申し訳ないのですがバックヤードでお話を聞いていただけないでしょうか?」
「すみません、急いでるんです。次のの機会にお話しましょう。」
もちろん嘘だ。しかし......。
「申し訳ありませんが、二丁目に在住されるやつらに拒否権はありません。」
「やつら!?いやちょっ、まっ!」
店員の引きずられる形でバックヤードへ連れていかれる。
なんで?
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