王子様系隠れ巨乳に傘を貸したらいつの間にか仲が進展していた件について
自由 山明
第1話 出会いと奇跡
四月某日。
僕、
この学校には僕をいじめていた奴もいないし、定時制だからクラスメイト同士の交流も希薄だった……。
しかし、過去のトラウマはそう簡単に消えるものではない。
明日も大丈夫、そう強く言い聞かせながら玄関を出ようとすると、後ろから何かが近づいてくる気配がする。
まさか、敵か!?
「君、すまないが折りたたみ傘を持っていないかい?」
敵……ではない?
むしろイケメン高身長王子様系女子でタイプ——ンッ、いや、まだ完全に敵じゃないと決まったわけじゃない……。
いやいや、いつまでも卑屈になっていちゃダメだ、取りあえず何か言わないと。
そう思いながら警戒を解かずに静かに折り畳み傘を出す。
「傘ですね、ありますよ。どうぞ」
僕が取り出した折り畳み傘を渡すと、彼女は優雅にお辞儀をする。
僕はそんなの彼女の姿をじっと見てしまった。
「ありがとう! じつは、困っている子に傘を貸してしまって帰れなかったんだ。助かったよ、君、名前は?」
「山極蒼です」
「蒼君か、改めてありがとう、助かったよ! 私の名前は
そう言うや否や六門寺さんは急いでいるらしく、足音を響かせながら足早に去っていった。
何だか嵐みたいな人だったな。
……はっ、いけない、僕も早く友達と一緒に帰らないと!
そうして僕も足早に友達の元へ向かうのだった。
「よ、蒼! 遅かったじゃんか、何かあったか?」
そう言って声をかけてきたのは友達の一人である
彼とは中学生の頃からの友人の一人で、僕なんかと……っとしまった、また卑屈に……僕と友達でいてくれる貴重な存在の一人だ。
「いや~、なんか傘を貸してくれって言われちゃってね。貸していたら時間がかかったんだよ」
「そうか、お前の鞄って結構なんでも入っているもんな、お前に持っているかどうかを聞いて正解だったな、その人は!」
「ちょっと、僕を何でも出てくる猫型ロボットだと思っていない? 流石に何でもは出てこないよ!」
そんなことを言い合いながら和気あいあいとふざけ合う。
こんな普通の日常がずっと、末永く続けば……。
そうして、ゆったりと話しながら別れるまで時間を潰す。
残念ながら五分もしないうちに分かれ道に着いたため、そこからは一人で帰るのだった。
そうして 翌日、学校のオリエンテーションが始まるのだった。
「よーし、お前ら初めにこの学校の仕組みについて教えるぞ~」
そうして、長い長いオリエンテーションを受けて高校生活二日目が終了した……。
「おーい、蒼。今日は一緒に帰るか?」
「ごめん!今日はやることがあるからあいつと一緒に先に帰っていて」
誘いは大変うれしいが、今日はやらなければいけないことがあるのでもう一人の友達と帰るよう言う。
周りを不審者のようにキョロキョロと確認してから、ノートを取り出して今日の大反省会を始める……。
「うわー……今日初めての高校生活で緊張しすぎて喋り方が若干怪しかったよ……」
僕のネガティブモードが発動し、一気にマイナス思考になる。
湧き出てくる反省点を反省ノートにつらつらと書き続けることはや十数分。
反省点を書くことに集中しすぎて後ろからひっそりと近づいてくる存在に気が付くことができなかった。
「蒼君……? 何だかすごく思いつめているようだけど大丈夫かい?」
なっ、み、見られた……!
見つかった驚きで心臓の鼓動が一段と速まる。
ノ、ノートの内容まで見られていないよね?
「……ノートの中身、見ました……?」
「……すまない、失礼ながらノートの中身を見てしまった……」
み、見られたぁ~!
うわああぁぁぁぁ!
ど、どうしよう、こんなことしているって言いふらされたら入学早々に絶対周りから変な目で見られちゃうよ……。
慌てているのが顔に出たのか、六門寺さんはすぐに僕を落ち着かせる言葉をかけてくれた。
「あぁ、誤解しないでくれ、私はこのことを誰かに他言しようとは考えていないよ。だから安心してくれ」
そう言いながら六門寺さんは僕の頭をナデナデしてくれる。
「よ、よかった~。開始早々高校生活が終わるかと思——何で僕の頭を撫でているんですか⁉」
「すまない! 弟と似ていてつい撫でてしまった! 不快に思ったなら申し訳ない……」
いや、嫌じゃないけど……むしろナデナデされて嬉しかったけど……って何考えているんだ僕!?
いけないいけない、こんなこと考えちゃダメだ、もっと落ち着かないと……。
「いえ、大丈夫ですよ。それで、六門寺さんはこんな時間に何を……?」
「あぁ、そのことか。実は生徒会に入らないかとお誘いが来てね、その誘いを快諾してきたところだよ……その方が生徒会の用事を理由に色々断れそうだし……」
最後の方はよく聞き取れなかったけど生徒会に入るなんて六門寺さんはすごいな~。
まあ、僕は友達とひっそり学生生活を送れればいいから関係ないね。
「そう言えば、蒼君はこのあと予定はあるかい? もしよければノートを見てしまったお詫びに私と近所の公園にでも行かないかい? 君の気晴らしにもなるし、悪くない話だろう? 行くかい?」
え、それってつまり……デ、デデデデデデ、デートなのでは!?
僕のタイプの人にデー……いやいや付き合っていないからデートではないか。
お出かけに誘われるなんて、こんな……こんな夢のような展開……逃すわけにはいかない!
「行きます! ぜひ行かせてください!」
そうして僕はノートと筆記用具をしまい、六門寺さんと一緒に人気のなくなった学校を出たのだった。
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