セイロンティーと秘密の午後

SE//ティーポットにお湯を注ぐ音


「……お待たせいたしましたわ。こちらが、

わたくしの“ひみつのティールーム”ですの」


「このお部屋……幼い頃から、

誰にも見せたことのなかった場所。

大切に大切に、そっと守ってきた、

わたくしの宝物」


「音が吸い込まれてしまうような静けさと、

空気にほんのり漂う紅茶の香り……それら

すべてが、わたくしの秘密そのものですの」


SE//椅子を引く音


「どうぞ……おかけになってくださいませ」

「いつもの席……ではなく、

今日はわたくしの少し近くに、いらして」


「本日の紅茶は、

すこし特別なセイロン・ティーですわ。

午後の柔らかな光と溶け合うような、

優雅な香りが特徴ですの。

ほんの少しだけ、バニラのような甘さを

感じる瞬間がございますのよ」


SE//カップに紅茶が注がれる音


「……ところで、お坊ちゃま。

ティーカップの持ち方、ご存じでしょうか?」


SE//椅子がきしむ音


「こうして、取っ手に親指と中指を添えて……薬指でやさしく支えるのですわ。

うふふ、

まるで繊細なバレリーナを抱くように」


SE//布越しに触れ合う肌の音


//演技依頼:少し近めの距離感で、優しく囁くように

「……あら、手が少し震えていらっしゃる」


「わたくし……怖い、ですか?」


//演技依頼:息を吸い込み、柔らかな微笑みを込めて

「ふふ……そんなに緊張してくださるなんて。とても光栄ですわ」


「でも、安心なさって」


「あなたは、

わたくしの“大切なお客様”ではなくて――」


「……同じ時間を紡ぐ、“特別な方”ですの」


「時計の針が音を潜めるこの午後に、

あなたとふたり。

それだけで、

わたくしの胸は静かに高鳴ってしまうのです」


SE//カップをテーブルに置く音


「耳、少しだけ失礼いたしますわね」


//演技依頼:吐息を含んだ声で、ささやくようにすぐ耳元で

「ごきげんよう、わたくしのお坊ちゃま。

ここへ来てくださるのを、ずっと……

ずっと待っておりましたの」


SE//午後三時を告げるベルの音


「ティータイムの作法なんて、

すぐに覚えなくても大丈夫ですわ。

わたくしも最初は、

紅茶に砂糖を三杯も入れてしまって……

ふふ、今でも少し恥ずかしい思い出ですの」


「紅茶は温度も香りもとても繊細ですが……」


//演技依頼:耳に触れるほど近く、甘く囁く

「一番大切なのは、

“誰と飲むか”ということですの」


「……そして今、このカップの中には、

あなたとわたくしの時間が満ちております」


SE//カップに紅茶を注ぐ音


「……あら、その手、

少し冷たくなってしまいましたね」


「失礼いたします……

少しだけ、包ませていただきますわ」


SE//布の擦れる音


「こうして触れていると、心の奥まで

じんわりと温まる気がいたしますわね……」


「ねえ……あなたは、わたくしのことを、

どう思っていらっしゃいますの?」


//演技依頼:間を取りながら、甘くやわらかく

「上品? お嬢様らしい? それとも……

少し遠い存在に感じてしまいますか?」


「……本当のところ、わたくしはずっと、

誰かに触れられることを夢見ておりましたの」


「誰にも見せたことのない秘密の場所。

誰にも語ったことのない、揺れる気持ち――」


「……それらすべてを、

あなたにだけは知っていただきたいのですわ」


//演技依頼:息を吸い込む音とともに

「……次のお部屋には、わたくしの一番の

お気に入りの特別な椅子がございます」


「どうぞ……ご一緒していただけますか?」


SE//扉が開く音

SE//足音

SE//カーテンの揺れる音


「ここから先は、

“わたくしたちだけの秘密の空間”」


「少しだけ、

声を落としてお話ししましょう?」


//演技依頼:囁くように、微笑みながら

「ふふ……さっきより、

あなたの鼓動が少し速くなっておりますわね」


SE//椅子が揺れる音


「お坊ちゃま……この部屋は、

わたくしの宝箱のような秘密の場所」


「誰にも見せていない、

わたくしだけの特別な空間」


「壁に飾られた絵も、

わたくしがこっそり選んだお気に入り。

柔らかな光を映すステンドグラスも、

昼下がりの空気をやさしく包む

レースのカーテンも……」


「すべて、あなたと過ごす時間のために

用意したものですの」


「……この絵をご覧になって。

金色の縁、青い空を映した湖畔の風景――

まるで、あなたと出逢う前の

わたくしの心のように静かでしょう?」


「けれど今は、そこに色が差しましたの。

あなたが、

そっと光を灯してくださったから……」


SE//窓の外、風が枝葉を揺らす音

SE//小鳥の羽音


「だから、どうかゆっくりなさって……

ここでしか味わえない、

静かで甘いひとときを」


//演技依頼:言葉をひと呼吸置いて、深く優しく

「そして、これからも――」


「わたくしのそばにいてくださいませ」


//演技依頼:少しの間とともに、そっと息を吐くように

「……この空間に、

わたくしたちの鼓動が重なるたび、

過去も未来も静かに溶けていくような

気がいたしますわ」


「大人になってから気づいたのですの。

誰かの隣で、

ただ“静かに時を重ねること”の尊さに――」


「この午後も、そして明日も。

あなたと重ねる時間が、何よりの贈り物」


SE//風がカーテンを揺らす音

SE//遠くで時計の秒針が刻む音


「……ねえ、お坊ちゃま。

あなたが初めて扉を開けてくださった日、

わたくし、本当に嬉しかったのですのよ」


「このティールームも、わたくしの心も、

ずっとあなたをお待ちしておりましたの」


「どうか、またいらしてくださいませ」

「この部屋は、いつでも……

あなたの帰りをお待ちしておりますの」


SE//窓の外、小鳥のさえずり

SE//紅茶のカップに最後の一滴が注がれる音

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