第2話 違和感



「あれ、ここは」



目が覚めて周りを見渡した。

なんの変哲もない質素な部屋。



「起きた?」



辺りを見渡すと1人の女性が覗き込んできた



「おはよう美月」



にこやかに挨拶を返す自分

(今のは?)



勝手に口が開きその女性の名前が出てくる

(なんだ…………?)





「今日は私の家族に挨拶しに行く日じゃない

ぼーっとしてないで準備しなきゃね

ほら起きて!」





いきなりの事で頭が追いつかない…




家族に挨拶?




何を言ってるんだこの美月……さんは。




付き合ってるのか?俺は?






【──────タイ──────】





「………タイ……」






なんだ今のは…………






「タイ?晴翔君がどうかしたの?

本当に晴翔君好きだね

なんか用事でも思い出した?」






「いや…………なんでもないよ」







タイは僕の後輩で………





なんだ?今日は記憶が混同してるような…
















━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━





無事美月のご両親に挨拶させてもらい

帰路に着く





今日は朝から変だった






いつも通りに起きたはずが

まるで記憶喪失のような感覚になってしまうなんて……





最近は仕事が忙しすぎて仕事以外に目を向けられなかったから、頭が疲れてるのかもな……






これから入籍だってするのに………




















……もう入籍はしてたんだっけ






















結婚式はどこでしようかな…








赤色に光る信号が見えブレーキをかける





「…………スゥ」






隣で寝てる美月を見つめた






本当に可愛い……

この人が僕の奥さんに……






決して短くは無かったはずだ






会社に入り一目惚れからの猛アプローチ





初めての会話は会社近くの公園だっけ……





あの後勢いで連絡先も交換して……




誘いは断られる日が多かったが、田井に協力してもらってなんとかお付き合いまでできて…




プロポーズも何回か断られたっけ…?





今思えば昇格するまで待っててくれたように思う






「あの時の僕はダサかったけど努力は報われたんだなぁ……」






寝ている美月の頭を撫でようとした時

信号が青に変わってしまった






なんてタイミングだ…






アクセルを踏み込んだ瞬間






プァーーーー!!

   ドンッ

    ゴシャアッ!!







ガラスが砕ける音と同時にハンドルが勝手に回る。




焦げた匂い、締めつけられるような痛み。






何だ…何が起きた………?






全身が痛い………






事故か……?自分の車が……?






突っ込まれたのか……?







美月…………美月は無事か……?





割れたフロントガラス


煙の匂い


痛みの中助手席に目を向けた







「………美月…………?」









だめだ………僕ももう意識が…………






第2話   終

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