第9話
清水は力をもった魔女だった
44才で不良育ちだったが
短大まで卒業していた
その後プログラミング等の仕事をして
お金が出来たので遊んでいるのである
男は三人と付き合ったことがあった
相正悟とたまたまバスで知り合い
頭をさげあうなかとなっていた
正悟は清水の透き通った目に
自分を超える知性があるのではないか
と感じていた
正悟にとって清水は教えをこう相手である
清水は街でプラプラしていた
一人が平気なのである
格闘技をやったことはなかったが
イザとなれば相手の目に爪を立ててやろうと思っていた
相正悟の永遠の愛のような物語には純粋に感動していた
清水は今彼氏がいなかった
すこしづつくる美貌の衰えに対して焦りを感じていた
正悟はおそらく清水のような女性から
「強引さ」などを教わる必要がある
「強引さ」を知らない正悟は
清水にとっては世慣れしていないという印象であった
だが正悟は最近清水が自分に対して
「自分の方が上」だと思いたがっていることを知っていた
正悟が力を身につけてきている証拠である
清水と正悟は互いの目をみて「潔癖さ」
を競うことがあった
今まで二人とも
汚れた感情を見せたことは一度もなかった
その点
二人は理解しあっていた
相正悟は清水の目に
全てを呑まれたことがある
相正悟は生まれたての子供になっていた
争いはこの世になかった
清水は相正悟を好きなように出来るはずである
「どうしようかな」
と清水は考えた
清水は愛に溢れた女性であった
相正悟に悪さをするつもりはなかった
ただ清水は少し欲望を感じていた
相正悟をどうにでも出来るのである
清水は相正悟を育てようかと考えた
「マニアックだなー」
と思った
だがこうしていれば世の中の全ての事から
相正悟を守ることができる
彼に敵は多いかも知れなかった
「ほどほどにしなければ」
清水は自制した
相正悟は子供であったが
体は大人であった
今までの穢れが清水によって洗われていた
相正悟は解放された
清水は相正悟を本人の家に返した
それは清水の役目であった
清水に子供はいなかったが
相正悟の親のような気になった
ある日
清水は16号のバスに乗った
鶴ヶ峰から横浜に向かったのである
服をかうつもりだった
その中で偶然にも神様にあった
神様は清水の美しさをみて
一目惚れした
そして清水の前でわざと転んだ
清水はビックリして助け起こした
水戸黄門のようななりをした神様は
大袈裟に痛がった
「大丈夫ですか」
と清水
神様は何とか立ち上がった
「ありがとうございます どうかお礼をさせて下さい」
「いえ お気持ちだけでじゅうぶんです」
「私は神だ」
と神様は言った
清水はビックリした
「はあ」
としか言葉が出なかった
「着いてきて下さい 1億円差し上げよう」
と神様
「えっ」
と清水
「そんないただけないです」
「気持ちじゃよ 何か別のお礼でもよい 何でも叶えてやるぞ」
「うそでしょハハハごめんなさい」
清水は言った
「お姉さん 本当だ 着いてきてくれ」
「すいません 忙がしいんで」
と清水
「ではついていってもよいかの」
「いえ 困ります」
「何でも買ってやるぞ」
「本当ーですか」
「もちろんもちろん わしは神様だ」
「まかせてくだされ」
清水はビックリした
少しだけ付き合ってみようと思った
二人は横浜駅で降りて歩き始めた
清水は少し後悔した
こんな老人とデートするのは少し恥ずかしい
でも親子と思えばよい
と気を取り直した
本当に何でも買ってもらえるのか
「元町に行こう」
と神様は言った
「は、はい」
清水は言った
二人は電車に乗った
「お姉さんお名前は」
「清水と言います」
「名字だけでよい」
と神様
「今日は何でも買ってやる」
元町で二人は色々な店を回った
清水は嬉しかった
本当に何でも買ってくれたのである
だが今日これだけで終われるのか心配になった
夕方になった
「電話番号だけ教えてもらえるかの」
と神様
「それくらいだったら」
と清水は本当の電話番号を教えた
「わしの電話番号も教えておこう」
「何かあったらまた言ってくれ」
と言って二人は別れた
清水は少し悪いことをしたような気になった
こんな事があるとは
ラッキー
清水は思った
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