転生したら関西弁のポニーだったが、元戦国武士です〜リセマラ失敗から始まる馬生〜
赤栗ハイツ@文体実験
第1話 “プリンちゃん♡”と呼ばれた元戦国武士
──戦国武士だったワシが、ポニーとして第二の馬生を始めるなんて聞いてへん!
【転生の瞬間】
我が名は──加賀美左馬之助(かがみ・さまのすけ)。
武芸に励み、忠節を尽くし、幾たびの戦場を駆けたこの身に……悔いなど、あるものか。
いざ、参らん──!!
(ザシュッ!!!)
(……暗転)
《……》
《……なんやこれ》
《体が重い……》
《ていうか、なんか変やないか? 足》
《しかもなんで四本あんねん。手ぇどこ行ったん?》
《……視界が低い。床が近い》
……なんやこれ。完全におかしいやろ。
(ワサッ……ワサッ……と藁の上を歩く音)
《……なんか爪先に重いもんついてるし》
《……て、鉄?》
《これ、もしかして、馬の……?》
《……いや、まさか。ワシが、馬て。そんなバカな》
(すぐそばに水桶があることに気づく)
《……ちょ、なんか水あるやん。とりあえず飲むか──》
(水面にゆらりと何かが映る)
《……は?》
《……ちょ、待って》
(ぴょこんと立った耳。長すぎる顔。くりくりの目)
《……誰やこの馬ヅラ!?》
(沈黙)
《……いや、ワシやんかあああああああああ!!!!!!》
《なに!? なんで!? どこで!?》
《ていうか、なんで馬?、話し方、変やん!?》
《ここ、地獄か!? それともギャグ漫画の中か!?》
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【ニンジンの屈辱】
(
「あっ、プリンちゃーん! おはよう〜♡」
《……え、今なんて?》
《……プリン?》
《……誰がプリンやねん。お菓子か。ワシは》
(スタッフが
「プリンちゃん、今日から
《……いや、ワシに聞いとらんやろそれぇぇぇ!!!!!!》
《ってか、ここどこ?
(スタッフがニンジンを差し出す)
「プリンちゃん、とりあえずニンジン食べる〜?」
(ゴトッと桶に落ちるニンジン)
《……なんや、ワシに向かって差し出しとるの、これ……ニンジンやんけ》
《馬扱いも大概にせぇよ……いや、馬やけども!》
《こんなもん、食えるか……! 武士に対する侮辱や!》
(じー……と見つめる)
《……けどまぁ、一口くらい……な……な? 武士も腹は減るし……》
(ポリッ)
《……う、うまっ!》
《……って、うま!? ウマだけに!?》
(バンッと自分でツッコむ)
《やかましわァッ!!!!!》
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【ツアーデビューと“関西弁の謎”】
(馬のつなぎ馬でトレッキングツアーに参加する親子連れに説明する牧場スタッフ)
スタッフ:「はーい。皆さん『
子供:「あっ、プリンちゃん、鼻鳴らしてる~♡かわいい~♡」
《いや、ちゃう。これは抗議や。抗議のブーブーや。かわいいとかちゃうねん……いやまぁ、かわいく見えるのか……? ……いやでも!》
(ブーブー再び)
子供:「ふふ、なんかお話してるみたい~」
《……あかん、通じてへん。いやもう、ええわ……好きに思といて……》
(スタッフに連れられ列に加わる)
スタッフ:「じゃ、プリンちゃんは最後尾でね~。よろしく~!」
《……ああ、よろしくて……おお、ワシ今、馬として正式に“社会人デビュー”したわけか……はぁ……》
(歩き出しながら)
《……でもやな。ひとつ、どうにも気になっとることがあるんや》
《ワシ……なんで心の声、関西弁なん?》
《出身は
なんで今、“せやな〜”とか“ちゃうやん”とか言うとんねん!?!?》
(動揺して足を滑らせる)
子供:「きゃー! プリンちゃん、びっくりしたよ!」
《ちゃうねん! ワシがびっくりしとるんやあああああ!!!》
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【草の匂い、あの戦場】
スタッフ:「はーい、みなさん!ここで休憩タイムでーす。この原っぱね、戦国時代に武田信玄っていう武将も通った場所なんだよ〜」
参加者、子供:「えー、すごーい」
(足元の草の感触にふと、過去の風景が重なる)
(回想:戦場の草原。風が走る。馬のいななき)
《あの匂い……》
《あの戦……従兄弟の
(現在に戻る)
《……あいつ、どうなったんやろな。あの戦のあと、生きとったんか……死んだんか……》
《いや、もうええ。今さら知ったところで、どうにもならんやろ。でも……》
(風が草を揺らす)
《なんやろ、この風……どっかで、また会えるような気がしてな……》
(列がゆっくり動き出す)
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【おじいちゃん、て!? 年齢据え置きの絶望……】
(ツアー終了後。親子連れとスタッフの会話)
子ども:「ねぇ、このお馬さん、なんさいなの?」
スタッフ:「んー、プリンは……30歳くらいだね」
子ども:「30って、おとな?」
スタッフ:「うん、すごいおとな。人間だったら……80歳くらいかなあ(笑)」
(プリン、静かに振り返る)
《……なんで?なんでや?!……なんで転生してんのに年齢据え置きなん?しかも馬年齢的には爺さんて、何やねん!!!》
(鼻をブーブー鳴らす)
子ども:「プリンちゃん、鼻鳴らしてる〜♡かわいい〜♡」
《いや、ちゃう。これは抗議や。抗議のブーブーや……いやまぁ、かわいく見えるのか……? ……いやでも!》
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【夜が明けて、また一歩】
(翌朝、厩舎前のつなぎ場。スタッフたちが手綱を準備中)
スタッフ:「プリンちゃん、今日はトレッキング引率お願いしまーす! ……あ、ごめん、最後尾だった(笑)」
《ちょい待ち! 今日は引率ちゃうんかい! ワシ、またいちばん後ろかい!》
(列がゆるやかに動き出す)
(足元の草を踏みしめる)
《でもまぁ……草の匂いも風の感触も、わるうないな……》
(前を歩く子どもが振り返る)
子ども:「ママ、プリンちゃん、ちゃんとついてきてる〜!」
母親:「うん、安心ね〜」
(プリン、ゆっくり首を上下に振る)
《……よっしゃ。しゃーない。今日はワシが最後尾、務めさせてもらいますわ》
(風がそよぎ、草が揺れる)
《いざ参らん……いや、行ってくるで……新たな馬生、第一歩や》
(つづく)
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