第54話「情報の対価」

#第54話「情報の対価」


 ハンター協会ビルの高層階、朝倉さんのオフィスにて俺、ひより、エリナさんが並んで座り、これまでの成果を報告した。


「おかげさまでレベル3になりました」


「ハンターを始めてから1年とのことだったよな。レベリングなしでレベル3とはたいしたものだ。しかも使役モンスター込みだからとんでもない話だな」


 まず、俺とラム、リンがレベルアップしたことを報告すると朝倉さんが高く評価してくれた。レベリングなしでのレベルアップはやはり大変なことらしい。しかも俺は2つレベルアップしたので評価が高いのだと思われる。

 更には使役モンスター込みだから前例がないのかもしれない。


「あと新しい情報として、ラムとリンが武具を装着できることも分かりました。やはり今回も金箱が出て……理由は不明ですが私がすでに装着している武具の武器が出てダブったので試してみたら装着できたという次第です」


「ほう、君が既に武器を出しているなら次の武具は被らず防具かブーツが出るはず。それなのに武器が出たのか?それは聞いたことないな」


(武具は”武器、防具、ブーツの3種類。基本的に全部揃うまではダブることはないと言われていたが今回はその法則性が崩れた状況となっている。その理由は分からないがやはり使役モンスター絡みなのだろうな)



「しかも、使役モンスターに武具というのも聞いたことがない。それは凄い情報だ。エリナ君、それは間違いないのか?」


「ええ、私も見ていたから間違いないわよ。使役モンスターが武具装着とか初めてで、びっくりしたわよ」


 俺の言葉だけだと信用できないかもしれないがさすがにエリナさんからの報告だと信用せざる得ないようだ。朝倉さんはかなりびっくりしている。でも情報はもう1つある。



「また使役モンスターのラムとリンが言葉を発するようになりました。私だけでなくエリナさんやひよりとも普通に意思の疎通ができます」


「なにっ!使役モンスターが言葉を発するだと……海外ではそういった事例があるとは聞いていたが本当だったのか。エリナ君、それも間違いないのか?」


「ええ、間違いないわよ。ほんとレンと一緒にいると常識が壊れそうよ。とんでもないことばかり起きて飽きないわ」


 ラムやリンが言葉を発し他の人とも意思の疎通ができる。それを聞いて朝倉さんは再びびっくりしたようだ。エリナさんもびっくりしていたからやはりレアケースなのは間違いないらしい。



「どうやらステータスにある<FS>の数字が、使役モンスターの何らかの成長段階を示していると思われます。FS4になると会話が可能になる。たぶんFS3で念話ができるのでしょう。一方でFS2とFS1で何が違うのかは不明です」


「またFS3とFS4になった時は共にラムとリンのレベルアップ時です。もしかしたら使役モンスターのレベルアップがこの数字変動の鍵を握っているのかもしれません」と俺は説明を加えた。


 ちなみにロアはFS2で念話も会話もできないことも説明を付け加えた。他の使役モンスターはFS1らしいがどうやったらFSの数字が増えるのかは俺にも不明だ。


「情報が多すぎて整理が追いつかないな……」と朝倉さんも少し苦笑する。俺たちもダンジョン内では混乱していたのだ、驚くのも当然だと思う。


その後に提示された報酬額に、思わず声が裏返った。


「まず、使役モンスターに武具を装備させられること。そして会話ができるようになること。この2つで500万円の情報料を提示したい」


「500万円、そんなにいいんですか!?」


「何を言っているの?レン。これは日本ではおそらく初めての情報よ。500万円でも安いぐらいよ。全く問題ないわ」とエリナさん。


 1日目は6時間でようやく350円だった。1年目で稼げるかも分からない、1年で駄目だったら諦めようと思っていたのに……1年目でもう年収1000万円を超えたことになる。これで弟や妹にも、やりたいことをさせられるかもしれない。


 とは言え1年目の収入のうち800万円は情報料だ。継続的な収入ではない。次はダンジョンで実力で稼ぐ必要がある。



 なお今回の情報についても秘密厳守ということになった。


「使役モンスターが武具を装着できる。そして成長に応じて会話ができるという情報の両方共に秘密にして欲しい。今後、協会上層部で情報をどのように扱うか協議がなされるだろう。結論が出るまで待って欲しい」


「だから、できるだけ、使役モンスターに話をさせないでほしい。もちろんどうしても意思の疎通が必要な時は仕方がないが」


「分かりました。今でも念話での会話は可能なので、基本的に会話はしないように念話で意思疎通するようにとラムとリンにも言っておきます」


 情報を守るためにもラムとリンとの会話はできるだけ控えておくのは当然だろう。そもそも念話で済む話だ。特段の問題はない。


 最後に、来週から恩方ダンジョンで活動する予定を伝えた。


「来週からは恩方ダンジョンで活動します。最優先はロアのレベルアップ、そして俺とラム、リンのレベルアップをその次に優先します」


「そうか、本当に君は堅実だな。レベル3になった今でも使役モンスターのレベルアップを優先するか……でも、だからこそ強くなったのだろう。その方針で構わない。頑張って欲しい」


 朝倉さんからも了解を得た。おそらくは方向性は間違っていない。


 ハンター2年目になる。


――でも、まだまだここからだ。現時点ではまだ財閥企業系ハンターの足元にも及ばない。できる範囲で頑張って追いついていこう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る