ちょっとしたものをおいておこうかとおもいました

🕰️イニシ原

アイス

冷たくて、甘い。アイス。奴にはすごい能力がある。

それは、己の存在を消す事だ。

私がコンビニへ買い物をしに行くと、奴は買っていけと

言わんばかりの存在感を私に投げ掛けてくる。


そこまで言われると私もついつい手を伸ばし買ってしまう。

しかも、2つ、3つと手に取る事も多い。

そして、溶けてはならないと思い足早に帰途につく。


うーん、ちょっと柔らかくなってしまった。

冷凍庫に入れてしばらくしてから食べますか。


そこまでは、私の意識は奴を溶かしてはならないと思い

奴の存在をひしひしと感じていたが、冷凍庫の扉を閉めた瞬間

あたかも私の心の中で奴の存在が溶けるかの様に消えて行く。


あれほど溶けまいか心配して止まなかった、奴の存在が無くなるのだ。

もしかして奴は来るべき所に来て安心をして、

眠ってしまったのであろうか。冷たく暗い部屋で眠るのだ。

私がふと思い出して、冷凍庫を開けるそのときまで。


私にはこんな出来事が良くある、他の人の事は知らないが

私の場合は毎回と言って良いほどなのだ。


まぁー、こんな事を話しても奴が自ら存在を消す事が出来る

なんて誰も信じないだろう。

でも私はそれでも構わない、存在を忘れていた奴に出会えた

時の嬉しさは私だけのものだから。

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