気づいたら最強攻略者!?〜迷宮の壁に沿って動いたら〜
暇人(ひまひと)
プロローグ: 20歳の誕生日と新たな扉
杉田小丸、20歳。ごく普通の男子大学生だ。実家暮らしで、朝食の味噌汁と焼鮭の匂いに包まれて迎える誕生日は、いつもと何も変わらないはずだった。
「小丸〜、誕生日おめでとう!」
「ありがとう」
食卓には好物のエビフライやカキフライが並び、母の温かい声が響く。テレビでは朝の情報番組が流れていて、そこで特集されていたのは、もちろん『迷宮』だった。
10年前、突如として世界各地に出現した『迷宮(ダンジョン)』。それはSFやファンタジーの世界だけのものだったはずなのに、いきなり現実に現れた。各国が軍を派遣し、混乱を乗り越え、今ではWDO(世界ダンジョン機構)という国際機関が管理する日常の一部となっていた。子供の頃から迷宮のニュースやインターネットで交わされる情報、そして冒険譚に胸を躍らせていた。それはまるで壮大な物語が現実になったような出来事だった。
「小丸はやっぱり迷宮には行くのかい?お母さんとしてはちょっと心配だけど…」
母の問いに、小丸は箸を止める。
「とりあえず行ってみようとは思ってるよ。せっかく迷宮探索ができる歳になったんだから」
そう、20歳。それは、迷宮への入域が許される年齢だ。
かつては遠い存在だった迷宮に、自分も足を踏み入れることができる。その事実に、小丸の胸は期待と、ほんの少しの不安で膨らんでいた。
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