第4話 自走車の確認

僕はダンジョンを出ると、ダンジョン入り口の管理棟に行って

無事帰還したことを告げる。これを怠るとダンジョン内遭難を疑われて捜索隊が出るなどの騒ぎになったりする。大目玉と多額の罰金を払わされることになる。

最近では冒険者カードに追跡位置確認機能がついているらしいが罰金を払わされるのには変わりない。


この管理棟でも採取品やドロップ品の買取をしているので剣以外は全て売った。魔核を壊されたスライムからも壊れていない魔核がドロップしたので助かった。ボスの魔核は高く売れるのだ。

今日の売り上げは150万ミールだった。スキルオーブを使わずに売ったら200万ミールはゲットできたのだが自分が強くなるための投資をしたと思えば惜しくもない。


人気のない森の奥にちょっとした広場が有ったのでそこに自走車を出した。

形を見るとトヨタハイエースとか日産キャラバンのようなバンタイプの車だった。中を見ると運転席と助手席の後ろに常設ベッドと小さなキッチンが作られていた。地球の冷暖房エアコンがついていた。車の中に入ったら付いている設備の使い方と魔力で動くものだと解かったのだ。換気扇も空気取り入れ口もちゃんと付いている。カーテンがすべての窓に付いている。虫よけの防虫網も付いているのでガラス窓を開け放しても虫が入ってくる心配は無い。走行中は2人乗りだが、僕だけのものだから構わない。


但しもっとレベルが上がると、空間拡張機能を使って座席やベッド増やせるようだけど、今の僕には必要無い。


それとベッドの下が異空間収納庫になっていて、欲しかった釣り具が入っていた。渓流釣りも海釣りも池や湖での釣りも出来る竿も、糸や釣り針、錘などの沢山の小物も入っている。胴長ゴム靴も入っていた。更に冬用の寝具とか夏用のタオルケットなんかも入っている。

ありがたいのは生きたままの釣り餌が保存出来るポケット付きのクーラーボックスがはいっていたことだ。ゴカイも青イソメもブドウ虫も川虫も入っていて元気に動いている。使った分は自動で補充されるらしいので現地調達する必要もない。

僕みたいなものぐさ釣り師にとっては大変ありがたい。


ジェイミー神様ありがとうございます。


そして驚いたことにこの車はただの車ではなく。船にも飛行機にもなるらしいのだ。しかも隠形結界も付いていて僕以外の人間にも、動物にも魔物にも気付かれないらしいのだ。でもぶつかったりすることは無いらしい。ぶつかる寸前に異空間に転移してしまうのだそうだ。


でもテイムした聖獣とか魔獣には見えるらしい。


早く300万ミール以上のお金を貯めて異世界釣行に行きたいものだ。


さて夕食を作って食おう。

魔力コンロはまるでIHヒーターみたいで炎を出さずに直接鍋やフライパンやヤカンの中身を熱くしてお湯を沸かしたり。調理できる優れものだった。よく見たら電子レンジも付いている。便利この上ない。

車の中に食糧庫もついていて冷凍おにぎりとかカップ麺、袋麺もはいっていたのがありがたい。

今回はインスタント袋麵を煮て、生卵を落として頂いた。

美味い!。前世のアパートでの独身生活の再現だ。後でどんな食材が入っているのか調べておこう。


寝る前に風呂に入ってトイレに行きたいなと思ったらバストイレ空間に転移出来た。日本のアパートやマンションに付いているトイレと風呂場は別々の部屋が出来ていた。洗面台も脱衣所に設置されている。洗濯機は設置されていなかった。


僕はここでこの身体になってから初めて鏡を見た。

訓練所には鏡はついていなかった。とんでもなく高価だからだそうだ。

鏡に映った僕は顔は中性的、どちらかと言うと女の子っぽい。今は黒髪の短髪だから男と認識されるが、これが長髪で化粧なんかしたら女の子と言っても信じられそうだ。胸は無いけどね。腹筋バキバキだし。

僕の前世とは似ても似つかない顔形だ。


洗濯、乾燥は魔法で出来るので洗濯機が無くても困らない。

それは車から降りても転移できるようで現地の宿に泊まった時にも使えるので。トイレを使わずに済むし風呂にも入れる。

いいことずくめだ。

 後でわかったのだがこのバストイレ空間はオーブで手に入れた【魔法創造】で僕自身が創り出した空間魔法だったらしい。

もう1度スキルを見直すと【魔力増加・魔力供給】もスキル化していた。

 なんか怖い。下手なことを想像したり願ったり出来ないな。


それにつけても未だに【人畜無害】の中身が見えてこない。

一体どういったギフトなんだろう?


まあいいや、D級ダンジョンに行こう。


ところで、飛行機になったり船になったり車になったりするこの機械を自走車と呼んでてもいいのだろうか?飛んで走る船だから【飛船車】とか【飛走船】とかはどうだろう?

いっその事ジェイミー神様のお名前を借りて【ジェミー】とか?

すると頭の中に『【ジェミー】がいいわ』と声が聞こえた。

頭の中を見られてたのか!気を付けよう!

ということで【ジェミー】と命名したのだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る