第4話 この世界を知ろう!

 私は軽くなった財布と怪しい錬金釜を携えて家に帰ってきた。


「あー疲れたぁ!地味に重いんだよこれ!」


 机の上に買ってきた錬金釜を置いてみる。

 サイズで言うとゴミ箱ぐらいだろうか、そんなに大きくないやつ。

 ランタンみたいなデザインでちょっとかわいさもあるし、錬金釜として使えなかったとしてもセンスのありそうなインテリアにできるかも!


「って、今は使えないものはどうでもよくて、調べものしなきゃなんだった!」

 

 そう、私にはこの世界の錬金術や魔法について調べる必要がある。

 そして調べものっていったら図書館!さっそく向かおう!広場の近くに見つけたあそこはまだ空いているはず!


 さてやってきました第十三区図書館!名前がシンプルだね!

 初めての場所は緊張するけど、頑張っちゃうぞー!おー!

 感動の一歩目を私は歩んだ!


「うわぁー、すごい!絵本で見る世界みたい!」


 中で私が目にしたのは天井に届くまでずらぁっと並ぶ本!本!本!

 ここまでの図書館は前世でも見たことがない!

 できれば一日中図書館を探索したかったけど目的もあるしここで中断!錬金術についての本を探そう!


「えーと、ここは建築、ここからは、あ、あった!錬金術・魔法のコーナー!やっとだよー!」


 陰キャが人に場所を聞けるわけもなくそれっぽいのがありそうなところを巡った結果、四回目くらいでようやく見つかった!

 ええっとー。とりあえず錬金術基礎と、魔法学基礎、あとは歴史の本があればいいかな。

 選び抜いた三冊をもって近くの椅子に座る。


「ふむふむ、錬金術の仕組みについて......」


 すごい、この本に載っているだけでも私の知らなかったことがたくさんある。

 例えば錬金術と魔法の原理は一緒だとか。根源物質というすべての物質の素があって、それを扱って事象を発生させているということまで。

 今までふわっとしか頭になかったことがちゃんと説明できるぐらい言語化されたのを感じる。これが知識を得るってことなんだ!


「基礎でこれだけの内容があるって、一日じゃ読み切れないよね。レンタルとかあるかな。いやでもレンタルって司書さんとかに話しかけなきゃいけないんでしょ!?ムリムリ!」


 それでもこの世界で生きるためには知識が必要だし、頑張れ私!無理じゃないぞ!

 近くを通りかかった司書さんらしき人に勇気を振り絞って話しかける。


「あのー!」


「図書館では静かにしてください」


「あっ、はいすいません......あの、この本のレンタルがしたいんですけどぉ......」


 司書さんが私のことをじろっと見ている気配がする。疑われてるんだろうか、もし怪しいって認定されたら捕まったりするのかな。それはちょっと怖いな。

 びくびくしながらうつむくしかできない私の臆病さが憎い......!


「わかりました、ではこちらにどうぞ」


 案内されるがままについていくと、そこには機械が一台。

 少し大き目なパソコンみたいな見た目をしている。これで何をすればいいんだろう。


「こちらの機械に本を入れていただければ、コピーしたものが出てきますので。それをお持ち帰りください」


「ありがとうございま!あっ、ありがとうございます」


 大声が出そうになったのを慌てて抑えて小さめな声で感謝を伝える。

 司書さんに見られながら本を機械に投入、本当にコピーが出てきた、よし、あとはこれを持って帰るだけ!


「で、ではありがとうございましたー」


 走ったら怒られそうなので、すこし速足で図書館を出て帰宅する。本を借りるだけでこれとか私大丈夫!?


「ま、成果はあったよね。少しずつ前進前進!」


 心地の良い疲労感に支配されながらゆっくりと眠りにつく。

 司書さんに縛り付けられて捕まる悪夢を見た、私のメンタル弱すぎ!

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