『なにもしてないのに割れたんだよ!』/『兄弟に憧れるひとりっ子』/『今年の予定は受験勉強と美少女スケッチ』/『町おこしに迷走した地元神社の娘……』/『いや〜身長制限クリアできたら絶対滑るんだけどな〜』

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「し、知らないよ」


 明らかに嘘をついている幼馴染。


「そうだよな。知らないよな」

「そ、そうだよー」

「……もし知ってたら土下座じゃ済まさねぇぞ」

「シ、シ、シラナイヨ!?」


 幼馴染の顔色が青白くなってきた。


「今、正直に言えば……許す」

「…………キミの、運転免許証を2つに割ったの、私、です」



140字小説『なにもしてないのに割れたんだよ!』



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「好きです! 付き合ってください!」

「……まずは家族構成を教えてください」


 彼女は真剣な顔で僕に問いかけた。


「両親と妹が1人いるけど……?」

「では私のことは『お姉ちゃん』と呼んでください」

「なんで!?」


 不思議そうな顔をする彼女。


「実妹がいる方を『お兄ちゃん』呼びするのはちょっと……」



140字小説『兄弟に憧れるひとりっ子』



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「お上手ですね」


 夏の気温が下がり始めた夕暮れ。

 海岸でスケッチをしていた僕は、日傘をさした女の子に声をかけられた。


「……どうも」

「なるほど。モデルをお探しですね」

「は?」

「わかります。美少女がいいと」

「なにを」

「これも人助け。引き受けましょう」


 高校最後の夏休み、ヤバい女に絡まれた。



140字小説『今年の予定は受験勉強と美少女スケッチ』



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「全然怪しくないから!!」


 慌てふためく俺の幼馴染がとても怪しい。


「……もう1回言ってくれ」

「私と一緒に神社の池の前で」

「おう」

「お互いに預金通帳を片手に持って」

「……おう」

「月に向かってピースしてほしいの!!」

「…………で、これがなんだって?」

「私の考えた恋のおまじないなの!!」



140字小説『町おこしに迷走した地元神社の娘発案おまじない』



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「高い、ね」


 先日オープンしたばかりの大型プール施設。

 その目玉アトラクションである高層スライダーに俺たちは並んでいる。


「逃げるか?」

「に、逃げるわけなし!」


 見栄っ張りなちび娘は足を震わせ、なけなしの決意を口にした。


「いつもみたいに身長制限引っかかると思ってただろ」

「…………うん」



140字小説『いや〜身長制限クリアできたら絶対滑るんだけどな〜』



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