『夏の朝は無防備で無警戒』/『最近俺の本棚で見つけた初見タイトル「健康は最大の女子力」「鈍感は……』/『男女の友情否定派。最後の抵抗』/『僕の好みを探ろうとする大学の先輩』/『苦手な好意の受け取り方』

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 俺たちは今年も夏休みのラジオ体操に参加した。

 小学生に混ざって無言で体操をこなし、参加スタンプを回収して帰宅。


「あんたが参加するから付き合ってるけど、なんで無言なの?」

「お前が元気にラジオ体操する姿で泣きそうになって」

「健康優良児になに言ってんの」

「……明日はもう少し厚着してきて」



140字小説『夏の朝は無防備で無警戒』



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「本棚を見ればその部屋の主がどんな趣味嗜好かわかるらしいよ」


 いつかの昼休み、女子たちがそんな話をしていたのを思い出す。


「……あのさ、毎日なにしてるんだ?」


 最近、俺の部屋に乗り込んできては、飽きずに本棚を物色してくる部活バカに声を掛ける。


「ち、違うし! 本を増やしたりしてないし!」



140字小説『最近俺の本棚で見つけた初見タイトル「健康は最大の女子力」「鈍感は罪」「バカはカワイイ」』



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「私たちの距離感、絶対おかしい」


 友達が僕に近寄って、腕を掴み、問い詰めてきた。


「そ、そんなこと、ない」

「……ほんとに?」


 目をそらす僕と、どうにか視線を合わせようとする友達。

 追い詰められた僕は情けなく叫ぶ。


「お、女の子とは、さ、3メートルは離れないとダメ!」

「私たち友達だよね!?」



140字小説『男女の友情否定派。最後の抵抗』



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 1人暮らしを始めて数ヶ月、僕は困っていた。

 今日もベランダに『妙に色っぽい靴下』が落ちている。


「くそっ!」


 常備しているトングで靴下を挟み、急いで部屋を飛び出し、隣の玄関ドアを蹴り飛ばす。

 ゆっくりとドアから顔を出した女性がため息をついた。


「46秒。その靴下はキミの好みじゃなかったか」



140字小説『僕の好みを探ろうとする大学の先輩』



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 姉の友達が苦手。


「あたしも『お姉ちゃん』って呼んで!」

「無理っす、先輩」


 部活の先輩なのに『お姉ちゃん』呼び希望なのが苦手。


「あたしの弟なの!」

「虚言っす、先輩」


 嘘ばかりでからかってくるから苦手。


「あたしたち……恋人みたいだね」

「妄言っす、先輩」


 これが冗談じゃないとかやっぱり苦手。



140字小説『苦手な好意の受け取り方』



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