第3話初討伐依頼とバーサーカー伝説の始まり

宿で朝食を取り、ギルドに向かう。

(正直気が乗らないが、スローライフする程度は日々稼がないとな)

カウンターの受付嬢が俺を見つけるなり駆け寄ってくる。

「あれ?俺なんかしちゃいました?」

嬢「うるせぇ黙れ」

「アッハイ…。」

嬢「ギルドからの指名依頼です。今日はこれをお願いします。」

(手渡された依頼書を読む。

「森のモンスター討伐?」

嬢「近隣の貴族が森で狩りを行うのでその狩りに先駆けて森の危険なモンスターの相手をします。他の冒険者にも声をかけてますが、亮さんは指名依頼、つまり実質強制参加です。」

「なして?」

嬢「ファイヤーボールです。」

嬢「基本的にそれほど脅威になるモンスターは居ないと思いますが、万が一の場合にはファイヤーボールが使える魔法士が居れば前衛の危険度を大幅に下げることが期待できますし。」


(この受付嬢、ギルドの事務員だとばかり思ってたが実はバリバリ戦闘指揮とかするタイプだ!?)

嬢「貴族はすでに森に向かう準備をしているいるようなのでこちらもすぐに向います。」

「了解っス」

(ブランとグリムに宿屋待機を指示して森に向かう。ほどなく草原の端森の入り口に着くと試験の時の褐色少女と合流した。流石に今日は木製のナイフじゃないな、ってグルカナイフじゃん!なんかえらい様になっている。)

(目が合ったので軽く会釈したが目を逸らされてしまった。まだちょっと怒ってる?)

(こりゃ真面目にやって多少なりと株を上げておきたいとこだ。)

他の冒険者も来てるようだがまだ誰もモンスターとエンカウントはしてない様だ。)

嬢「まもなく貴族の先鋒が後ろから追いついてくると思います、このまま森の奥へ進んでください!」

(嬢の指示で冒険者が移動を開始する。俺も奥へと足を進める。)

(まもなく前方の冒険者がモンスターとエンカウントしたようで怒号が聞こえてきた。)

(俺のすぐ後方から何やら名乗りの声が聞こえてきた。もう貴族が追い付いてきてしまったようだ。)

前方では数名の冒険者が犬頭の子供のような体格のモンスターと戦ってるのが見えた」

「ありゃコボルト、か?冒険者側が優勢のようだから慌てて援護する必要はなさそうだ。)

そ(そう思った刹那、俺のすぐ横で鋭い風切り音が聞こえたかと思うと前方の冒険者とコボルトが悲鳴を上げてもんどりうった。」

(!?貴族の野郎、冒険者もろともに矢を射かけやがった!?

「何してやがる!?」

貴族「わしの獲物じゃぁ!」俺を無視して貴族は駆けていき倒れているコボルトに嬉々としてとどめを刺して回っている。

貴族「わしはもう3匹狩ったぞぉ!」なるほどこれが貴族の狩りなのか。」

(取り急ぎ矢を受けた冒険者の救護に走る。

手当してやりつつ見ると受付嬢が肩を震わせながら俯いている。表情はここからは伺えないが泣いているのか怒りに震えているのか。)

あいつら貴族だけで奥に進ませて、強いモンスターとエンカウントして痛い目見ても自業自得ってことでほっとけばいいんじゃねぇのか。)と思ったが、ギルドとしてはそういうわけにもいかないんだろなぁ。

進行方向のモンスターだけでなく後方の貴族にも気を配って戦わないと余計なダメージ受けそうだ。)


ラナのそばで亮より数日だけ先輩の冒険者アベルとビリーの二人組もこの依頼に参加していた。



コボルトの片付けが済んで、ひと息ついたその時だった。

森の奥で、誰かが叫ぶ声が聞こえた。


「オークだぁっ!」


アベルとビリーは顔を見合わせ、慌てて武器を構える。

注意喚起の「声の方向に」目を凝らすと、確かにいた。3メートルはある豚面の巨体。あれは……オークだ。


アベル「やばくね? あれ……やるの? こっちで?」


ビリー「無理無理無理。あれはタイマンじゃAランクでもやばい……本来ならパーティ全体で囲んで削るやつだ」

亮もオークを視認していた。身長3mはあろうかという豚だか猪だか判らん頭のモンスターだ。あれがオークか。)

(なるほど、体格からして普通に近接で戦うのは辛そうだ

(俺のファイヤーボールの出番かな?受付嬢に視線をやると目が合い、俺に指示を出そうという意思が見て取れた)

だが、そこでバカでかい声が背後から響いた。


「ひゃははあ大物じゃあああ! あのオークはわしの誉じゃ、わしが討つッ!!他の誰も手を出すこと許さん!」」


例の貴族だ。矢を持って、嬉々として駆けていく。どう見ても無謀だった。


アベル「……あいつ、マジで何考えてんだよ あのバカ貴族の命はどうでもいいしほっといてもいいがが死にでもしたらギルド的にはやばいことになるぞ」

ビリー「といっても手を出すなと命令されたんじゃどうしようも…」


だが、事態はもっと最悪な方向へ転がった。

さらに貴族の怒鳴り声が飛ぶ「ラナ!どこじゃ?貴様その身をもってあのオークの気を引けぇい!」「わしの矢が外れぬように抵抗せずオークに身を委ねるのじゃ!」


「……っ、なに言ってやがる……!」


振り返ると、件の少女──褐色肌の小柄な剣士、ラナが蒼白な顔で震えながら立っていた。

その足取りは明らかにおかしかった。ふらふらとオークへと近づいていく。顔面蒼白で食いしばっている唇からはすでに血が伝っている。


「おい、まさか……奴隷契約、してんのか?」


「マジかよ……」


(亮がもう一度受付嬢を見る。やはり蒼白になり目の前の現実を受け入れられないといった風情で小さくいやいやと首を振っている。)

オークが歩み寄るラナに気づき、一瞬にやりと嗤ったように見えた。

(亮の頭の中で先日耳にした奴隷紋という単語と目の前の状況がやっと結びついた。)

オークが無造作にラナの肩を掴んだ所で俺の限界が来た。止める。許さない。それ以外のことは全て頭の中から吹っ飛んでいた。

次の瞬間にはもう俺はオークの顔面に拳をめりこませていた。自分でもどうやって間合いを詰めたのかわからない。拳を振りぬきながら次に拳を打ち込む場所を考えていた。そうしてもう一発、さらにもう一発と拳を繰り出しつづけ、ようやく自分の拳がぐちゃぐちゃに砕けていることに気づいて止まった。

オークももう動いていなかった。

オークがラナの肩を掴んだ。

──そこまではアベルとビリーも観ていた。

次の瞬間、空間が軋むような音とともに、一人の男が、オークの眼前に現れた。

その男がどこから現れたのかはみえなかった。


「っ……え?」


“拳”が、オークの顔にめり込んでいた。

アベル「あいつ、どこから…現われた?


ビリー「わからん、見えなかった。」


男の拳がひしゃげているのが見えた。

それでも止まらない。

何発目かもわからない。どちらのものかわからない血が飛ぶ。もはやオークの顔面は原形を留めていない。


アベル「人間が素手で、オークを殴り殺すだと…!?」


亮の顔は見えなかった。

アベルは震えていた。


アベル「あれ……魔法じゃねえよな?」


ビリーも答えられなかった。ただ見ていた。


ようやく拳が止まり、男がゆっくりと後ずさり、脱力するようにその場に座り込んだ。

オークはもう動かない。

(全身がだるく力が抜けその場にへたり込む。その時になってようやくチート魔法で頭を吹っ飛ばすという方法もあったことに気づいて苦笑する。あるいはシステムに介入して自分の拳を鋼のように固くしてもよかったかもしれない。



周囲が凍り付く中、ラナががくりと膝をつく。

受付嬢も、言葉にならない声を漏らしながら、ラナへと駆け寄っていった。





さっきの位置で貴族がなんか叫んでいたが、俺が怒りを込めて一瞥すると悲鳴に変わり、這いずる様に逃げて行った



この手治るかなぁ。まぁシステムに介入すりゃ何とかなるか? 見るとラナと受付嬢が抱き合ったまま子供のように泣いていた

(いつの間に来たんだ嬢。)



その後はずいぶん遅れて追いついてきた貴族の護衛が腰を抜かして動けない貴族とそれまでに狩ったモンスターを回収していった。

ちゃっかりオークも持ってってやがる

幸い冒険者に死人は無し。

矢を受けた奴を含めても一番重症なのが俺というありさまだった。」

ギルドに戻ってから治癒魔法をかけてもらい、手は一応元の形に戻っている。

(砕けた骨をバキバキと音させながら強引に元に戻す施術はもう二度と受けたくない。)

流石にまだすげぇ痛いし動かしちゃいかんらしいが2週間くらいすりゃ完全に元通りになるらしいすげぇな治癒魔法。」

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