『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』

焼豚の神!

プロローグ

おはようございます。


新作投稿開始します!


よろしくお願いします~。('◇')ゞ


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――それは、始まりの終わり。




焼豚のような顔をした、ひとりのオーク族の男がいた。




名はない。だが今や、名は必要なかった。誰もが彼を知っていたからだ。




アークランド王国最大の冒険者ギルド《鋼鉄の杯スチール・ゴブレット》。


そのさらに上、頂点に君臨するクラン《無銘の牙むめいのきば》――


その創設者であり、現リーダーが彼、“ナナシ”だった。






クラン創設から五年。


今や【無銘の牙】は唯一無二のブラックダイヤモンドランクを保持し、王国内でも知らぬ者はいない存在となっていた。




――そんなナナシが、今朝もまた、静かにうたた寝から目を覚ました。




「ご主人様、起きてください」




ふわふわした甘い声が耳に届く。


目を開けると、執務室の椅子に寄りかかるようにして眠っていたナナシの視界に、青みがかった銀髪に透き通るような肌。優しく清楚な美女が俺に向かって優しく微笑みかけていた。






実は彼女は、元は一匹の小さいスライムだった。今は進化して俺同様に擬人化した姿へと変貌を遂げているが、寝起きに見るには、些か心臓に悪いことこの上なしだ。


そんな美女へと変貌を遂げた“プルリ”が、彼の顔を覗き込むように微笑んでいた。

顔には出さないが、今も心臓の音がうるさくて仕方がない。






「……ああ、悪い。少しボーッとしてただけだ。ありがとうな、プルリ」




「うふふ、いいえ」




そのやり取りの最中、執務室の扉が勢いよく開かれ、バタバタと音を立ててこれまた二人の美女が飛び込んできた。




一人は犬耳に元気いっぱいの笑顔、元コボルトの“ミミ”。


もう一人はクールな目元にスラリとした体躯、元リザードの“ルルカ”。




「ご主人様、大丈夫~? なんか顔赤かったよ!」


「……もしかして熱とかあるんじゃない?疲れてるなら帰って休んでもいいわよ?」




「いや、平気だ。ちょっと考え事してただけだ」




ミミは一歩進み出て、いたずらっぽくウィンクした。


「なら今日は、ミミとお風呂入ろっ! 背中流してあげるからさ!」




「ちょっとミミ姉、待ちなさいよ! 昨日どさくさに紛れて入ってたでしょ!


今日は私の番!」




「えぇ~、ルルカってば頭かたいな~。なら一緒に入ろう!」




「それなら……まぁ、いいけど」




「いやいや、話が早すぎる。まず俺の意思を聞いてない時点で却下だ却下」




「「えぇ~! ご主人様の意地悪~!」」




「プルリ姉からもなんか言ってよ~!」




プルリは一瞬きょとんとした後、穏やかに微笑んだ。


「……それなら、三人で入れば問題ないのではありませんか? 問題解決ですね」




「いやいや、むしろ問題が倍加してる」




ナナシは思わず頭を抱えた。




三姉妹はそこで顔を見合わせて、くすくすと笑う。


だが、その笑顔の裏には、微かに競争心が滲んでいた。




――ミミは密かに、誰よりも早く“ご主人様”に気に入られたという自負がある。


――ルルカはクールを装いつつも、些細な仕草を逐一観察し、心の中で一喜一憂している。


――プルリは姉としての包容力を見せつつも、ときおり視線を逸らすように頬を染める。




そんな彼女たちに、また一つ、波風が立つ出来事が訪れる。






執務机の上に置かれた依頼書になんの気なしに目を向けると一枚の封書がナナシの目が留まる。


王国印の封が押されたそれは、直々の護衛任務依頼だった。




「ご主人様。……この依頼ですが……王国からの直々のご指名です」


プルリが少し渋い顔で報告する。




「ふむ、護衛対象は?」




「第一王女様です」




「はぁ……またか」


ナナシが額を押さえる。王女は以前の任務で一度顔を合わせたことがあるが、その時から彼に興味を持っている様子だった。




「ご主人様、この依頼……断りましょう。危険な香りがします」


ミミが鼻をひくつかせながら呟く。




「おいおい、王国からの直々の依頼を断れるわけねえだろう。断るにしても、ちゃんとした理由が必要だし、第一この前大規模な仕事が終わったって相手方も知っているから、俺らに声をかけてきたんだろうしな」




「……ッチ、あの女狐め」(ルルカが小声で毒を吐く)




「かしこまりました。多少思うところはありますが、受理すると返事をしておきます」




「ああ、そうしてくれ。それと、今回はアイクとメイリも同行させる。そろそろあいつらにも護衛任務の経験を積ませたいしな」




「アイクが金等級で、メイリも銀等級……あと少しで金に届く実力ですからね。妥当な判断かと」




「ああ、相手方への連絡はプルリに任せる」


「お任せください」


「ああ、ミミもルルカも後輩たちの修行だと思って任務にあたってくれ」




「は~い」


「わかったわ」




「ああ、よろしく頼む。さて...。」




ナナシは窓の外へ視線を移す。


差し込む陽光にまぶたを細めながら、彼は静かに記憶を手繰った。




(――そうだ。あれが始まりだったな)


(あのギルドの門の前で、こいつらと出会った、あの日から……)




物語はそこから遡る――。


そう、ギルドの門の前で、勇気を出して声をかけていたこの三姉妹と出会ってからすべてが始まった。


(続く)

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ここまでお読みいただき、ありがとうございます!




新作の構想が思いついたので、ついに形にしてみました!


話のストックもできているので、エタることなく更新できると思います!




毎日朝7時10分に更新予定です!


筆が乗ったら、もしかすると多めに追加投稿できるかもしれません!

そんな今日は投稿初日。つまり、筆が乗っています。

つまり、もう1話投稿しやす(/・ω・)/



でも、無理なく更新していきますので、どうぞ長~くお付き合いくださいませ~(^^)/




引き続き『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』略して『ナナクラ』をよろしくお願いいたします(^^)/


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