3.恋とは何か?

意識が戻り目を開けると、自動車工場に着くところだった。最初に案内人の人が自動車工場の紹介動画を見せてくれた。だがその時、桜さんの隣には、座れなかった。なぜかというと桜さんの友達が桜さんを守るかのように座ったのだ。なぜだろうと考えたが、バスの中で僕と桜さんで話しすぎていたのかもしれない。その動画が終わって見学するときも桜さんは、友達と楽しそうにしゃべっていた。だが僕は僕で芳樹や他の友達とも喋れた。最初は、楽しかったが後半になると桜さんがここにいればもっと楽しいだろうに、と思ってしまった。


これが恋というやつなのだろうか。


 自動車見学が終わりまたバスに乗った。バスの席は、桜さんの隣だ。桜さんが


「自動車見学楽しかったね。」


と言った。それを言ったときの桜さんの笑顔がとても可愛くてこれまで一度しか気を失わなかったことを誇りに思えてくる。


「いやーあのプレスした後の鉄板をくっつけるロボット可愛くなかった?」


と今さっき桜さんが友達の真由さんに言っていたことをそのまま言ってしまった。ごめんね。桜さんと心の中で思っていた。


「ほんとにあの動き方が可愛いよね。」


と桜さんが百点満点の答えを返してくれた。


こんな感じでいろいろ話していたら、㋪食堂が見えてきた。その瞬間桜さんと僕のおなかがなった。


恥ずかしくて桜さんが、顔を赤らめていると、


「ふふふっ、あははははは」


と僕が笑い出したら、桜さんも恥ずかしそうに笑い出した。そして桜さんが


「一緒にお腹が鳴っちゃうなんて、私たち食いしん坊だね。」


と僕を見てきた、その言ったときの桜さんの可愛さにやられないようにするだけで精一杯で笑うような余裕がなくなってしまい、硬くはなってしまったが、僕も笑った


「アハハハハ」


「㋪食堂楽しみだね。」


と言いながらバスから降りた。食べるときは、同じ班で食べる。嬉しいことに桜さんの隣りに座わることが出来た。桜さんとクイズをしながら待っていた。そしたら、とてもおいしそーな匂いがしてきた。一品目は、超巨大なエビフライ凄くデカくてびっくりしたが。初めて口いっぱいにエビフライをほうばれたのはうれしかった。二品目は、いろいろな新鮮な魚の刺身盛り合わせだった。海なし県では、味わえない新鮮な味だった。三品目は、僕の大好きなあら汁だった。これで〆ると本当に美味しくて美味しくてたまらないんだ。ほんとにこれを出すということは、僕と同じ趣味の人が経営しているということだろう。なぜかそれから経営している人に会いたくなってしまった。僕が食事に夢中になっていると、桜さんが


「ルイジ君意外と可愛いところあるね。」


と言ってきたのだ。そんなことを言われた僕は、頭から湯気が出てきてしまった。そして僕はもう、食べ終わってしまっていたので、余った時間で、また頭の中でどう告白しようか考えていた。桜さんは、国語が好きで前、尊敬する人を聞いた時、夏目漱石だと言っていた、ということは、


「月が綺麗ですね。」


がいいかもしれない。きずかないとしたら、名古屋港でストレートに言ってみればいい。と考えていたら先生が、


「ルイジさっさとバスに乗らないとおいていくぞー。」


と言われた。僕は、きずかないうちに置いて行かれそうになっていたのだ。


そのあとバスに乗り、桜さんが夏目漱石の「あの」エピソードを知っているのだろうかの確認で


「そういや桜さんて夏目漱石好きだったよね。」


と僕が言うと、桜さんが


「うん。好きだよ。それでどうしたの急に。」


と言った。


「いやー夏目漱石が訳した月が綺麗ですねってどういう意味だっけー。」


と僕が言った。


「月が綺麗ですねは、アイラブユーを夏目漱石が訳した言葉だよ。」


と桜さんが言った。よかった。桜さん知っていたんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る