第4話 お姉さんの話
次に隣に座ったのは、さっきの大きなおっちゃんとは真逆にとても細い、制服を着たお姉さんだった。
お姉さんの顔は暗くて、髪はボサボサ。制服も所々破けてる。
血のついた袖からでてる手にもまた花があった。
「お姉さん、血がついてるよ。怪我したの?」
「......うん」
「痛くない」
「......痛いよ」
「切っちゃったの?」
「......切っちゃったの」
「それ...ユリの花?」
「......そうだよ」
「綺麗だね」
「......そうだね」
「......お姉さんはどこに行くの?」
「......どこかな」
「決まってないの?」
「......どうでもいいの」
うーーん......続かない。
すぐに会話が終わってしまう。
答えてはくれるけど、どうにも話が広がらずムズムズした。
そこでボクは今日覚えたあの話題をふった
「ねぇねぇ、花言葉って知ってる?」
「......少し」
「お姉さんの持ってるそのユリの花の花言葉ってなーに?」
「......純潔とか無垢とか」
「...どういう意味?」
「......お前は馬鹿だね」
「...え、悪口?」
「......お前は甘くて、世間知らず。お前より辛い人は沢山いるぞ」
お姉さんはずっと遠くを見て、ボクじゃない誰かに話してるみたいだった。
それからボソッと呟いた
「白じゃなくて黒だったらよかったのに」
「......黒だと違うの?」
「......復讐」
「じゃあボクが黒く塗ってあげる!」
「......塗っちゃうの?」
「白がダメならボク達で塗っちゃえばいいよ。......悪いことかな?」
「......ううん。悪いことじゃない。
でも君はしなくていいよ。」
「いいの?」
「うん。......君を巻き込めないから」
お姉さんはふっと口角を上げて笑った。
電車のアナウンスが流れる。
「ありがとう。ちょっと勇気でた。」
「...うん。バイバイお姉さん。」
「ばいばい」
手を振ってくれたお姉さんは入ってきた時より凛として綺麗だった。
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