第8話 背中あわせ

 山からの帰り道、ザックがやけに重かった。まるで誰かを肩車をしているかのような、ずっしりとした重みだ。


 写真を見返すと、私の背中に、知らない手が添えられていた。友人に


「連れて帰っちゃったんじゃない?」


 と笑われた。その軽い言葉が、逆に不安を掻き立てる。怖くなって、ザックをベランダに出した。けれど、夜──目が覚めると、背中がじんわり熱い。


 服の上からでもわかる、生ぬるい体温が張り付くようだ。誰かが、内側から、背骨をなぞっている。それは、まるで新しい脊髄を組み込むかのような、気持ち悪い感触だった。

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