ギャルとコインランドリーで仲良くなったら
ラングドン
第一章
プロローグ
「やっぱこのクラスの女子レベル高いよな!」
「それな!このクラスでまじよかった」
「まじサイコーなんだが」
進級してクラス替えが行われてから1週間ほど経った教室で、近くの男子がそんな会話をしているのが聞こえてくる。
よくもまぁそんな事を大きな声で言えるもんだと、ある意味感心しながら彼らの視線が向いている方を見てみると数名の女子が楽しそうに会話をしていた。
クラスで中心とも言える女子のグループである。
確かに可愛い子が揃ってる。まぁ、彼らの言うことも分からんでもないと思いながら彼女達を見ていた。
しかし、すぐにある事に気付いて慌てて視線を逸らした。
「やっぱ
「いやいや
「
「お前ギャル好きだもんなぁ」
「悪いかよ!」
さっきより大きな声で彼らはそんな事を言い出した。
絶対今の彼女達にも聞こえているだろう。
いや聞かせているのか?
ということはアピール合戦か何かかな?
もしアピールなら逆効果じゃない?
などと考えてしまい全く関係ない自分が何故か恥ずかしくなってくる。
近くに居るだけで仲間だと思われないだろうか?などと意味のない事を考えてしまう。
さっさとここから立ち去った方が良さそうだと考えていたら、彼らの中の誰かがひときわ大きな声をだした。
「でも一番は
その名前が聞こえた瞬間、自分でもビックリするぐらい表情も身体も固まってしまった。
「めっちゃ可愛いんだよなぁ!」
「わかる!」
「あの清楚な感じがいい!」
「スタイルもいいしな!」
「まじこのクラスサイコーじゃん!」
「それな!!」
すぐ近くで固まったまま動けない人間がいる事になど気付かず、彼らは楽しそうにサイコーアピールを続けていた。
こんなことならもっと早くに立ち去るべきだったと後悔が押し寄せる。
俺は彼らとは関わり合いなどない。
たまたま近くに居ただけだ。
一緒にサイコーアピールをしていたわけでは断じてない。問題ないはずだ。
にも関わらず何故か頭の中で警報が鳴り響いている。
この状況はまずいと!
その時、ポケットの中でスマホが振動した。
思わず肩を揺らして驚いてしまった。
この振動を俺は知っている。
メッセージが届いた事を知らせる振動だ。
送り主の顔が一瞬チラついたがすぐに違うと自分に言い聞かせる。
それにしてもさっきの反応はよくなかった。
もし送り主が想像した人物だった場合、俺が
メッセージに気づいたと丸わかりではないか。
何たる失態。。。
落ち着こう。まだそうと決まった訳ではない。
恐らく何かの公式からのお知らせのはずだ。
そのはずだ。
いや、スーパーからの特売のお知らせかもしれない!そうに違いない。
メッセージが届いた事を知らせる振動が複数回続いているが気のせいだ。
特売品が多いのだ!そう信じたい。
出来ればこのままメッセージに気づかないフリをして無視を決め込みたい。
特売品の確認など家でもできるからだ。
だが、特売品のお知らせでは無かった場合、
このまま無視を続ける事はとても危険である。
さっきの俺の反応で、メッセージに気付いている事を送り主も分かっているはずだ。
そんな状態で無視を続ければ、正直何をされるか分かったもんではないからだ。
というか今もめちゃくちゃ視線を感じるのだ。
この感じは気の所為などではないはずだ。
俺は観念してスマホをポケットから出すと、
祈るようにメッセージアプリを開いた。
俺は思わず天を仰いでしまった。
残念ながら特売のお知らせではなかったのだ。
俺の祈りは届かなかったようだ。
画面にはいくつかのメッセージが表示されている。
『このクラスサイコーなんだって』
『確かに可愛い子多いもんねぇ』
『その中でも白瀬が一番なんだって』
『白瀬が一番!』
『よかったねぇ!』
『一番だよ』
『い・ち・ば・ん!』
ここまで読んで俺はどうしていいかわからくなっていた。
サイコーアピールしていた彼らとは何にも関係ないはずだ!たまたま近くに居ただけだ!
にも関わらず何故か俺が『白瀬が一番』というアピールを聞いて喜んでいるように受け取られているのだ。
それどころかまるで俺が『白瀬が一番』と声高にアピールしていたかの様に錯覚してしまう。
辱めを受けている気分になる。
今すぐに、走り去りたくてたまらなかったが、
俺は何とか持ち直して顔をあげ、恨めしげにメッセージの送り主に視線を送る。
するとメッセージの送り主は、それはそれはいい笑顔でこちらを見ていた。
そう!ニヤニヤしているのである。
何たる屈辱!!
するとまたスマホが振動した。
俺は恐る恐る画面を見る。
『今日もいつものところで待ってるから』
思わずメッセージの送り主を見てしまう。
すると彼女は先ほどまでのからかう様な視線ではなく、どこか期待する様な眼差しでこちらを見ていた。
俺は恥ずかしさからその眼差しを直視出来ず、目を逸らしてしまった。
彼女を見ることができなくなった俺は
『わかった』
とだけ返信した。
すると彼女から何かのキャラクターが犬の頭を撫でているスタンプが送られてきた。
ついに俺は耐えられなくなり机に突っ伏してしまった。
完全敗北である。
何故こんな事になってしまったのか。
俺はこうなってしまった原因である春休みの出来事を思い返していた。
=====================
初投稿になります。
完結目指して頑張ります。
ブックマーク、いいね、コメントしてもらえると嬉しいです。
宜しくお願いします!
=====================
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます