第6話 バンファイパヤナーク作戦開始

アクシオム帝国暦2847年 午前10時15分】


レンの皇帝遺伝子覚醒により、私たちの戦力は飛躍的に向上した。しかし、創造神の本格的な攻撃はまだ始まったばかりだった。


その時、私の額の卍の印が特殊な通信波を受信した。それは遥か彼方の帝国本部からの緊急指令だった。


『全守護者へ告ぐ。バンファイパヤナーク作戦を開始せよ。』


【帝国本部からの指令】


パヤナークの声が緊急事態を告げた。


『天水よ、ついに帝国最高司令部が動いた。バンファイパヤナーク作戦とは、地球周辺の全守護者を統合した第二段階作戦だ。』


「第二段階?」


『そうだ。我々の戦いは、まだ序章に過ぎない。真の戦争は、これから始まるのだ。』


レンが地面に複雑な図形を描きながら説明した。


「この作戦の目的は、太古の神々の侵攻ルートを完全に封鎖すること。そして、彼らの本拠地への逆侵攻ルートを確保することよ。」


【タイへの帰還指令】


スフィンクスが重要な情報を伝えた。


『天水よ、汝はタイに戻らねばならない。』


「タイに?なぜですか?」


『タイの地には、バンファイパヤナークの真の力が封印されている。それを解放するには、汝の力が必要だ。』


私は困惑した。バンファイパヤナークとは、単なる作戦名ではないのか。


【バンファイパヤナークの真の意味】


レンが詳しく説明してくれた。


「バンファイパヤナークは、タイ語で『パヤナークの光の玉』という意味。でも、帝国の古代語では『龍神の究極覚醒』を意味するの。」


つまり、パヤナーク自身がさらなる進化を遂げるということだった。


『その通りだ。我はまだ真の力を発揮していない。天水よ、汝と共に、我は最終形態へと進化する。』


【タイへの緊急転送】


私、レン、スフィンクス、そして愛犬ジェットは、帝国の転送システムでタイに向かった。


しかし、到着したタイは、私が知る故郷とは大きく変わっていた。


【変貌したタイの大地】


タイの大地全体が、巨大な魔法陣のような模様で覆われていた。メコン川は黄金色に輝き、チャオプラヤ川は青い光を放っている。


「これは...」


「パヤナークの真の力が目覚めつつある証拠よ。でも、まだ完全じゃない。」


レンの分析通り、この変化は序章に過ぎなかった。


【地元の人々との再会】


私の故郷の研究基地に到着すると、懐かしい人々が待っていた。


研究所の同僚たち、近所の人々、そして地元の僧侶たち。彼らはみな、不思議な出来事について語った。


「天水さん、川の龍が本物になったんです。」


「お寺の仏像が光り始めて。」


「夜空に巨大な蛇の影が見えるんです。」


【僧侶からの重要な情報】


地元の高僧が私に重要な情報を伝えた。


「天水さん、古い経典にあなたのことが書かれています。『額に聖印を持つ者が現れし時、パヤナークは真の姿を現す』と。」


私は驚いた。古代の経典に、現代の私のことが?


【古代遺跡の発見】


僧侶の案内で、私たちは秘密の地下遺跡に向かった。


そこには、これまで見たことがない規模の帝国遺跡があった。エジプトの地下神殿を遥かに上回る巨大さだった。


「これは...帝国の東南アジア総本部だったのね。」


レンの分析に、私は感嘆した。


【パヤナークの真の歴史】


遺跡の奥で、私たちはパヤナークの真の歴史を知った。


彼は単なる地域の守護者ではなく、帝国の東南アジア全域を統括する最高位の守護神だった。


『我の真の名は、パヤナーク・ラーマ・インドラ。帝国東南アジア方面軍最高司令官なり。』


【新たな仲間の合流】


遺跡で、私たちは新たな仲間と出会った。


カンボジアからアンコールワットの守護者、インドネシアからボロブドゥールの守護者、ベトナムからハロン湾の竜神。


東南アジア全体の守護者たちが集結していた。


「これが、真のバンファイパヤナーク作戦ね。」


レンが興奮していた。


【太古の神々の新戦術】


しかし、私たちの作戦を察知した太古の神々も、新たな戦術を展開してきた。


空間に巨大な亀裂が現れ、そこから現れたのは、これまでとは全く異なる敵だった。


人間の姿をしているが、その目は虚無に満ちている。


『我らは虚無の使者。存在そのものを否定する者たちだ。』


【存在否定の脅威】


虚無の使者たちの攻撃は、物理的な破壊ではなく、存在そのものを消去するものだった。


攻撃を受けた物体は、存在した痕跡ごと消えてしまう。


「これは危険よ。通常の戦闘では対処できない。」


レンでさえ、困惑していた。


【パヤナークの部分覚醒】


危機に際して、パヤナークが部分的に覚醒した。


『虚無に対抗するには、絶対的な存在肯定が必要だ。』


パヤナークの力により、私たちは虚無の攻撃から守られた。


【東南アジア連合の力】


各国の守護者たちが連携して、虚無の使者たちと戦った。


アンコールワットの守護者は時間操作、ボロブドゥールの守護者は空間制御、ハロン湾の竜神は現実固定の力を発揮した。


【レンの新たな発見】


戦いの中で、レンが重要な発見をした。


「虚無の使者たちは、創造神の直接の分身じゃない。もっと根深い、宇宙の基本原理に関わる存在よ。」


つまり、私たちの戦いはさらに複雑な様相を呈していた。


【一時的な勝利と新たな課題】


東南アジア連合の力により、虚無の使者たちは一時的に退却した。


しかし、これは序章に過ぎなかった。


『天水よ、次はもっと強力な敵が現れるだろう。我々は準備を急がねばならない。』


【真の覚醒への準備】


パヤナークの真の覚醒には、まだ時間が必要だった。


そのためには、東南アジア全域の古代遺跡を活性化させ、地域全体を巨大な魔法陣として機能させる必要があった。


【次の段階への布石】


第6話の終わりに、私たちは次の目標を定めた。


インドへの進軍だった。そこには、さらに強力な帝国の守護者たちが眠っているという。


「いよいよ、本格的な戦争が始まるのね。」


レンの言葉通り、私たちの戦いは新たな段階に入ろうとしていた。


【続く】

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