第4話 太古の神バオバオ復活

第4話 太古の神バオバオ復活

【アクシオム帝国暦2847年 午前7時42分】


世界中の守護者たちが覚醒する光景を目の当たりにした私は、自分の使命の重大さを改めて実感していた。しかし、太古の神ガーディアンの次の言葉は、私の想像を遥かに超える展開の始まりを告げていた。


『面白い展開になってきたな。だが、これで我々の計画の第一段階が完了した。』


ガーディアンの声に、勝利の確信が込められていた。


『貴様らが守護者システムを起動させたことで、この星の古代エネルギーが活性化された。これで、我が主たる古代神が復活する条件が整った。』


私は背筋に寒気を感じた。私たちの反撃が、実は敵の計画の一部だったとは。


【古代神復活の兆候】


その時、地球全体が異様な振動に包まれた。これは地震ではない。惑星そのものが何か巨大な力によって共鳴しているのだ。


エジプト方面から巨大な光の柱が立ち上がった。それは単なる光ではなく、次元の境界を破る何かだった。


パヤナークの声が緊急警報のように心に響いた。


『天水よ、急げ!古代神バオバオが復活しようとしている!』


「バオバオ?」


『かつて帝国が封印した最強の古代神の一柱。エジプトの地に眠っていたが、守護者システムの大規模起動により封印が弱まった。』


私は愕然とした。私たちの勝利が、より大きな災厄を招いてしまったのか。


【エジプトへの緊急転送】


「どうすればいいのですか?」


『汝の卍の印を最大出力で発動させよ。帝国の緊急転送システムが使用可能になる。』


私は額の卍の印に意識を集中した。すると、印から青白い光が放射され、私とジェットの周りに複雑な魔法陣のような図形が浮かび上がった。


『エジプト、ギザ地区へ転送開始。』


光に包まれた次の瞬間、私たちはエジプトの砂漠地帯に立っていた。しかし、そこは私が知るエジプトではなかった。


【変貌したエジプト】


ピラミッドは本来の姿を現していた。それは単なる石造建築物ではなく、巨大な帝国の技術的装置だった。表面に無数の卍の印が刻まれ、それらが一斉に光を放っている。


スフィンクスも同様に変化していた。石造の像ではなく、黄金に輝く巨大な生きた守護獣として立ち上がっていた。


しかし、最も驚くべきは、それらすべてが巨大な亀裂に向かって防御態勢を取っていることだった。


【古代神バオバオの降臨】


亀裂から這い出してきたのは、想像を絶する存在だった。


全高100メートルを超える巨大な人型の存在。頭部はワニのような形状で、身体は人間のものだが、全身が古代エジプトの王が纏うような豪華な装束に包まれていた。


しかし、その装束は布ではなく、宇宙空間に浮かぶ星々そのものでできているように見えた。


『久しいな、この星の感触は。』


バオバオの声が響いた。それは単なる音声ではなく、現実そのものを震わせる何かだった。


『帝国の小僧どもよ、よくぞ封印を解いてくれた。礼を言うぞ。』


私は理解した。私たちは完全に罠にかかったのだ。


【スフィンクスとの対話】


『恐れるな、若き選ばれし者よ。』


巨大なスフィンクスが私に語りかけた。


『我は帝国守護神スフィンクス。汝と共に戦う。バオバオの復活は予想されていた事態だ。』


「予想されていた?」


『帝国皇帝アクシオムは、この事態も計算に入れていた。バオバオの復活によって、古代神たちの本拠地への道が開かれる。我々の真の目的は、敵の本拠地を発見し、根絶することなのだ。』


私は戦慄した。皇帝アクシオム様の計画の深さは、一体どこまで及んでいるのか。


【バオバオの真の力】


バオバオが片手を上げると、周囲の砂漠が一瞬で緑の大地に変わった。しかし、それは生命の力ではない。古代の混沌の力だった。


『この星を、かつての混沌の時代に戻してやろう。秩序など、この宇宙には不要だ。』


バオバオの宣言と共に、空間そのものが歪み始めた。彼の力は、現実の法則を書き換えるレベルに達していた。


【多次元戦闘の開始】


私は直感的に理解した。この戦いは、通常の物理的戦闘では勝利できない。


「パヤナーク様、力をお貸しください!」


『既に準備は整っている。汝の卍の印を通じて、帝国の全守護者と繋がるのだ。』


私の額の卍の印が激しく光ると、世界中の守護者たちとの精神的なリンクが確立された。


富士山の八咫烏、インドのナーガ、北欧のヨルムンガンド、そして他にも世界各地に配置された無数の守護者たち。


【統合守護者システム起動】


『統合守護者システム、第二段階起動。』


パヤナークの声と共に、私の身体に今まで以上の力が流れ込んできた。


しかし、それは単なる個人の力の増強ではない。世界中の守護者たちの力が一点に集約されているのだ。


私の右手に現れたのは、黄金の光の剣ではなく、虹色に輝く多次元の刃だった。


【古代神との直接対決】


「バオバオ!帝国皇帝アクシオム様の名において、あなたを再び封印します!」


『小僧が何を言うか。』


バオバオの巨大な手が私に向かって振り下ろされた。しかし、その手は私の多次元の刃によって切り裂かれた。


『何だと!?』


バオバオの驚愕の声が響いた。


『貴様、まさか...統合守護者システムを使いこなしているのか?』


私は理解した。この力は、個人の力を超えた何かだった。


【帝国の真の意志】


戦いの最中、私の意識は拡張し、皇帝アクシオム様の意志に直接触れることができた。


皇帝様は、遥か遠い帝国本部から、この戦いを見守っていた。そして、次の段階の指示を私に送ってきた。


『天水よ、バオバオを完全に倒してはならない。彼を通じて、古代神たちの本拠地を探るのだ。』


私は戦術を変更した。完全な破壊ではなく、制圧と情報収集。


【バオバオの屈服】


多次元の刃で次々と攻撃を加えながら、私はバオバオの力を徐々に削いでいった。


世界中の守護者たちが私を支援している。この力の前には、古代神といえども抗えない。


『く...これが帝国の真の力か...』


バオバオが膝をついた。


『だが、これで終わりではない。我々古代神の本拠地には、もっと強大な存在がいる。』


私は機会を逃さなかった。


「その本拠地はどこにあるのですか?」


『...第十三次元の彼方、混沌の渦の中心だ。そこには、創造神そのものが眠っている。』


【重要な情報の入手】


バオバオから得た情報は、帝国にとって極めて重要だった。


古代神たちの本拠地が第十三次元にあること。そして、そこに宇宙の創造神が存在すること。


これは、宇宙の根本的な秩序に関わる情報だった。


【バオバオの再封印】


『天水よ、情報は十分に得られた。バオバオを再封印せよ。』


パヤナークの指示に従い、私は多次元の刃でバオバオを囲む封印の魔法陣を描いた。


『待て、小僧。我はまだ...』


バオバオの言葉は、封印の光に包まれて途切れた。


【新たな仲間の加入】


バオバオの再封印が完了すると、スフィンクスが私の前に歩み寄った。


『天水よ、汝の戦いぶりは見事であった。我もまた、汝と共に最終決戦に挑もう。』


スフィンクスの申し出は、私にとって心強いものだった。


『そして、我には一つ提案がある。』


「提案?」


『エジプトの地には、帝国の古代技術が多数眠っている。それらを発掘し、最終決戦に備えるのだ。』


【古代技術の発掘】


スフィンクスの案内で、私たちはピラミッドの内部深くに向かった。


そこには、現代の技術を遥かに超える帝国の古代兵器群が保管されていた。


次元間移動装置、時空操作デバイス、そして最も重要なのは、創造神に対抗できる唯一の武器「真理の剣」だった。


『この剣こそが、宇宙の創造神を倒せる唯一の武器。しかし、使用には大きな犠牲が伴う。』


スフィンクスの警告に、私は身が引き締まる思いがした。


【第十三次元への準備】


古代技術の発掘を終えた私たちは、第十三次元への進軍の準備を始めた。


しかし、その前に解決すべき問題があった。


地球上にはまだ多数の太古の神の手下たちが残っている。それらを一掃しなければ、地球を安全な拠点として使用できない。


【地球浄化作戦の開始】


『全世界の守護者たちよ、最終作戦を開始する。』


私の呼びかけに、世界中の守護者たちが応答した。


これより、地球規模での太古の神の残党一掃作戦が始まる。


愛犬ジェットも、すっかり戦いに慣れて、勇敢に私を支援してくれている。


【次なる試練への覚悟】


バオバオとの戦いを通じて、私は古代神たちの本当の恐ろしさを理解した。


しかし、同時に帝国の力の偉大さも実感した。


皇帝アクシオム様の計画は、常に私たちの想像を超えている。


次の戦いは、宇宙の創造神との直接対決となる。それは、存在そのものを賭けた究極の戦いだ。


【仲間たちとの絆】


エジプトでの戦いを終えた私は、仲間たちとの絆の重要性を改めて感じた。


パヤナーク、スフィンクス、そして愛犬ジェット。そして、世界中の守護者たち。


この絆こそが、帝国の真の力の源泉なのだ。


【続く】

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