【特別編 第2話】月と太陽

海の見える公園で、私たちはずっと夜明けを待った。雨が上がった後の夜空が晴れている。私の隣にいる彼女の体温は羽のように軽くなって、消えてしまいそうに淡い夏の空へとどこまでも上っていくようだった。


私たちは不意に思いついてブランコに腰掛け、ゆっくりと足を揺らした。私たちが揺れるたびに少しずつ夜の影が形を変えて、それがおかしくて私たちは笑い合った。


澄み渡った空は本当に綺麗だった。

夜空に散った無数の星たちが、果てのない静けさの中で私たちを浅い波のように包んでいた。


その泣きたくなるような優しさには、『ethereal』という単語が不思議なほどよく似合った。


遠くに見える海はやや白んで、夜明けの気配をそっと宿していた。


「朝になったら星は消えるの?」


と私が尋ねた時、そうだね、と言って、彼女はこう続けたのだ。


「海を想像してみて。そこには波が立ってる。」

「暗い波。悲しい波。そこには空の星が映っていて、だけど風が吹くたびに消えるから、決して届かない。」

「だけど波は踊るの。いつまでも。」


「どうしてだと思う?」


「なぜかというとね、ほら、波を見てると空に手を伸ばしてるみたいでしょう。」


届かない星に手を伸ばすためだけに波は踊るんだ、と言って、彼女は彼女のお話を締めくくった。それは美しい想像だと私は思った。


空が、星が、夜明け前の薄い光が、私たちを天上の透明な美しさで包んでいた。



私たちはまだ、ブランコに腰掛けたままでいた。朝だね、と私が言った時にも、まだ。

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