第13話
佐野志保、鈴木美保との個別の時間を経て、俺は今、菊池緑の部屋にいた。夏休みに入ってすぐ、緑から「家で、一緒に、ゲームでもしませんか?」という、たどたどしいながらも明確な誘いがあったのだ。以前の、男性が苦手で目を合わせることもできなかった彼女からは想像できない積極性。俺は、彼女の大きな精神的成長を感じ取り、喜びと期待を抱きながら彼女の家へと向かった。
緑の部屋は、彼女の個性と、以前の地味な印象が融合したような空間だった。可愛らしい動物のぬいぐるみがベッドの枕元に並び、机の上には、真面目な参考書と共に、人気のゲームソフトが置かれている。窓辺には、俺が以前ショッピングで勧めた、淡いグリーンのカーテンが揺れていた。
今日の緑は、ゆったりとしたTシャツに、ショートパンツという部屋着姿だった。そのふくよかな体型が、柔らかく生地に包まれている。俺の顔を見ると、以前のような極度の緊張は見せず、はにかむように微笑んでくれた。
「本田くん、今日は、ありがとうございます……。あ、あの、早速ですが、ゲーム、しませんか?」
彼女の声は、まだ少し小さかったが、その瞳には、俺との時間を心から楽しみにしていることが見て取れた。二人でゲームを始めると、緑は意外なほど熱中し、時には興奮して小さな悲鳴を上げたり、俺の腕を叩いて悔しがったりした。そのたびに、彼女の身体が俺に触れる。以前は反射的に身を引いていた彼女の身体が、今は俺の接触を自然に受け入れている。その温もりは、彼女の男性への苦手意識が完全に克服されたことを、俺に実感させた。
ゲームに負けると、緑は俺の肩にふわりともたれかかってきた。
「んー、本田くん、ずるいです……! 私、もう、疲れてきちゃいました……」
その甘えるような仕草に、俺の心臓は高鳴った。彼女は、俺に安心しきっているのだ。その身体的な接触から、彼女の精神的な成長と、俺への深い信頼が伝わってきた。
ゲームが一段落ついたところで、緑はふっと息をつき、俺の顔を見上げた。
「本田くん。私、もっと、あなたの全部を感じたい。私の身体、どうかな?」
彼女の声は、甘く、誘惑的だった。その瞳は、俺の返事を待っている。以前のように「彼氏が欲しい」という切実な願望からではなく、自身の身体を肯定し、性的な喜びを素直に表現できるようになる精神的な成長がそこにはあった。
俺は、彼女のふくよかな身体の隅々まで、優しく愛撫し、時間をかけて深く快感を与えることを重視した。緑の性的な反応は、美保とは異なり、ゆっくりとした刺激で長時間継続することで、より大きな快感を得られることが、俺には分かっていた。
俺の愛撫で、緑の身体は次第に熱を帯びていく。肌は桃色に染まり、うっすらと汗が浮き出る。彼女の甘い喘ぎ声は、最初は小さく、控えめだったが、次第に大きく、情欲に満ちたものに変わっていく。俺のペースに合わせて、緑は次第に理性では抑えきれない快楽に溺れていく。その身体は、以前よりも素直に快感に反応し、その喜びを全身で表現した。
「んんっ……あぁっ……本田、くん……もっと……!」
緑の声が、甘い喘ぎ声の連続へと変化し、快感に震える。俺は、彼女の純粋な成長と、性的な喜びを素直に表現する姿に感動を覚えた。
行為後、俺は緑を抱きしめながら、彼女の髪を優しく撫でた。
「緑、本当に変わったな」
俺が言うと、緑は俺の胸に顔を埋めたまま、小さな声で話し始めた。
「……うん。私、温泉旅行で、本田くんと鈴木さんや志保ちゃんの行為を見た時、本当は、つらかったの……。すごく、悲しくて、どうすればいいか、分からなくなって……」
その言葉に、俺の胸が締め付けられた。優柔不断な俺が、彼女を傷つけていたのだ。
「でもね、本田くん。そのことが逆に、本田くんなら、少なくとも隠し事はしないって、信用できたところもあるの。だから、あの後、少しだけ、安心した……」
緑は、ゆっくりと顔を上げた。その瞳は潤んでいるが、そこに、俺への深い信頼が宿っているのが分かった。
「まだ、ほかの男性に対しては、苦手意識はあるの。でも、本田くんなら信用できる。本田くんとなら、自身の身体に自信を持てたし、性的な喜びを素直に表現できるようになったの……」
彼女の言葉に、俺の心は温かくなった。性的な行為が、彼女の「悩み」の完全な克服と、自己肯定感の向上に繋がったのだ。
「だから、本田くん。これからも、嘘と隠し事だけは、やめてほしい……」
その真剣な願いに、俺は強く頷いた。
「一つだけ、追加でお願いをするとすれば……私が本田くんを独占できる時間を、確保してほしいな……」
緑は、少し照れたように、しかし、切実な願いを口にした。
「本田くんに選んでもらい続けるために、私も頑張るから……」
彼女はそう呟いて、俺の胸に顔を埋めた。
俺は、緑の精神的な成長と、彼女の純粋な愛情表現に、男性としての深い喜びを感じていた。彼女に「選ばれ続ける」ため、彼女の成長を優しく見守り、支える存在でなければならないと改めて自覚する。俺たちのこの関係が、緑にとっての「安全基地」となっていることを、俺は確信した。精神的にも肉体的にも、より深く、温かい絆が俺たちの間に生まれたのだ。
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