第8話 憂鬱
人生がそううまくいくものとは限らない。
これからも自分なりに強くなっていけば良い。
頑張った人間にのみ勝利の女神は微笑む。
神内はそう思って、ぐっと堪えた。
堪えるばかりではいけないことも分かっているが、そんな事も堪えて消した。
要するに、現実から逃げた。
「……能力がうんこなだけで、俺はまだうんこじゃない」
●本当にそうかな…?
●かわいい
●大豆にまけないで頑張ってほしい
神外はモンスターを倒し続けた。
+36の強化はちょっと体調がいい日の体力というくらいで、別段大きな強化ではないように思えた。
それでも戦うことができた。
神外の戦闘力は異能由来ではなく、素の物であった。
それに、精霊の声を聞くボサノバでもある。
それがあれば、神外にとって異能などハゲ頭にとっての後ろ髪と同じようなものであった。
倒して、倒して、倒し続けた。
〈スリーダイス〉との付き合い方もわかってきた。
あまり頼りにしてはいけない能力だ。
精霊が教えてくれるのは敵の位置。
異能はあんまり使えない。
握れる拳はふたつだけ。
●強すぎる
●なんでカスみたいな能力でモンスターと渡り合えるんだ
●こいつもしかして人間じゃないんじゃないか?
●あんまりすぎるよ
同時接続数2000人を迎えたところで、狂化で現れたモンスターをひととおり潰し終えた。
モンスターの大量発生が収まると、深呼吸をする。
「まだまだだな」
●まだまだなのぉ……?
●もういいだろ
●まだ強くなろうとしてるのこわい
●こいつを見た身体強化系異能の初心者が素手でモンスターに立ち向かっていって生死をさまよう重傷を負ったらしい
●草
●おバカちんかな?
●こいつって人に真似できないことやってんの?
●膂力とかももちろん凄いんだろうけど、ぶっちゃけこいつの強さって、モンスターの攻撃に対応できる反応速度と判断の速さだと思うわ。すくなくとも俺はそういうのできない
●精霊の力でしょ
●こいつの精霊敵の場所しか教えない人間の屑だぞ
神外は呼吸が整いきると、歩き出した。
第2層に向かう。第2層では、狂化の影響でモンスターがひしめき合っている。
神外はまたダイスを振った。
どうやら、この〈スリーダイス〉は強化の効果時間が3分しかないらしく、また身体を強化したい場合はまたダイスを振らなければならないらしい。
今回は、5・1・3。つまり5×1×3=15となる。
振り直すことは出来ない。
●うんこみたいな能力
●かわいそうすぎるだろ
●+15なんてないに等しいだろ!
●これもう無理だろ
「……やるしかないのか」
少しばかり憂鬱になる。
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