王女の初恋奮闘記

深山珞 Sachi Miyama

Prologue1 王女の結婚宣言

「期限は半年。それまでに証明してみせろ」


ギンッと音を立てて突き刺さるくらいの視線を投げかけてくる長兄にして国王であらせられるルシアン兄様。

重みのあるひと言に続いた「安心しろ、最悪、王命で従わせればいい」は聞かなかったことにしておこう。


「大丈夫ですよ。半年あれば余裕です」


甘く優しく世の女性を魅了しまくる笑顔で微笑んでくる次兄にして王弟ヴィクトル兄様。

流れる動作で私の顎をくいと上向きに持ち上げ耳元で「焦ることはありません。抱きついて、押し倒してしまえば良いんですよ」なんて甘い囁き声でとんでもない助言をしてくださる。


瞬時にカアっと耳まで赤く顔を染める私を見て、その続きはわかりますよね、と意地悪く笑う顔すら完璧に絵になるんだから、本当に質が悪い。

しかしここで怖気付いていてはこの2人の妹なんて務まらない。


こうなったらやるしかない。


結婚しよう、してやろうじゃないか。


決めた。


私は少し涙目になりながらも完璧な淑女の礼でもって高らかに宣言した。


「私、ローズ・セリーヌ・バルバストル、必ずや、彼の方の心を手に入れて、いいえ彼の方を落としてみせます」


そうこれは王家の末っ子長女である私の初恋成就奮闘記ーーー

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