第7話 反社会組織
彼の所属している組織というのは、
「反社会組織」
ということで、
「ハンシャ」
と呼ばれているところであった。
それが、そもそも、どういう種類のものなのかということになると、それは、
「今の時代における、複雑な移り変わりを理解し、その中で、どこから派生したものなのか?」
ということを調べないと、実態は分からないだろう。
バブル崩壊の中で、
「吸収合併」
などが繰り返されることで、
「元々の会社がどこだったのか分からない」
といってもいいようなものだ。
これは、政党にも言えることで。
「そもそも、どこから別れたものなのぁ?
ということを考えた時、たいていの場合、
「分裂や併合を繰り返している場合、それを取り巻く環境が、よくなかった」
というのは歴然とした事実だろう。
ということで、
「政党なども、分裂や合併を繰り返してきた政党は、ろくなものではない」
ということは証明されている。
特に、ある時期に
「いたるところから、政党が生まれた時期があった」
といってもいい。
昔、特に戦後は、確かに分裂、併合はあったが、そこまでひどいものではなかった。
というのも、
「五大政党」
というものがあり、ほとんどの五つに限られていただろう。
しかし、
「野党が徹底的に分裂したり」
あるいは、
「与党が、枝分かれする形で、新党結成ということで、野に下ったりした」
ということで、政治の世界が、ぐちゃぐちゃになったことがあったが、逆に、
「国民が政治に興味を持った」
というおかしな時期もあった。
そんな時期も、そもそもが、
「魑魅魍魎のいる世界」
などという人もいて、もちろん、少数派ということであるが、興味を持ったはいいが、中途半端な興味の持ち方だったことで、結局、
「一票の重みが軽くなる」
ということであったり、
「差が出てくる」
ということになったりと、結局は、混乱を招くことになるだけのことだった。
政府であったり、反社会勢力、それと同じレベルの、
「世間での悪」
というと、
「他のモノにも言えることである」
のだが、すべてではないということで、
「宗教団体」
なども、言えることであろう。
特に、
「新興宗教」
と言われたり、
「カルト宗教」
と言われるものは、その中には、
「霊感商法」
であったり、
「家族を拉致監禁のよぷな形にしている」
と騒がれたりしたところもあり、ひどいところは、
「テロ行為」
というものを引き起こすことになったりした。
そういう意味では、
「なるほど、そんな新興宗教だからこそ、裏で政治と絡んでくるんだな」
という納得がいくわけで、今回の、
「久保青年が入っていた」
といわれる、
「反社会組織」
というものが、どこからの流れなのかというのは、
「表から普通に見た分には分からないだろう」
それこそ、
「まるぼー」
と呼ばれる暴力団関係の捜査をするところに聴かないと分からない。
ということで、確認してみると、
「どうやら、政府関係に近い」
ということであった。
そこまでくると。さらに分からなくなった。
「そんな政府関係に接点がある組織が、そんな、連続暴行事件に絡む」
というのはおかしいのではないか?
ということであった。
「じゃあ、久保青年の単独犯なのか?」
と考えると、
「自殺の否定論」
に対して、どう説明すればいいのか?」
ということになり、
「元々、最初からこの組織と、暴行事件は関係ないのではないか?」
ということになるのだろうが、
「だったら、久保の行方がずっと分からなかったというのはどういうことなのか?」
ということになり、まるぼーに聴いてみると、
「やつらは、いざという時の鉄砲玉にするか、あるいは、事件が起こった時に、犯人として突き出すための。一種の時間稼ぎということにするんじゃないか?」
ということであった。
とすれば、
「そんな男に、勝手な行動をさせる」
ということ自体がおかしなわけであり、逆にいえば、
「今回の事件が、何かをごまかすためなんじゃないか?」
と、まるぼーはいうのだった。
「それもありえるな」
と、樋口刑事は、笑いながら話したが、
「顔は笑っていなかった」
といってもいいだろう。
そんなことを考えていると、
「自分の推理が、真相に近づいているのか?」
あるいは。
「事実を見ようとしている目を持とうとしているのか?」
ということを考えさせられるのであった。
今回の事件を思い返してみると、
「婦女暴行」
というものが、
「近いところではあるが、管轄をまたいでいる」
ということが、樋口には気になっていた。
「別に犯人には、警察の管轄なんて関係ないんじゃないか?」
ということになるのだろうが、
それは、警察の勝手な考えであり、もし、相手が、
「頭のいい」
という相手であれば、
「警察がこのことにこだわらない」
ということを思うかも知れないが、警察とすれば、
「管轄意識」
というものは、それこそ、
「やくざの任侠」
と同じくらいにG大切なものだといってもいいだろう。
「つまらんプライドだ」
ともいえるだろうが、それを知っている相手、つまりは、
「同じように、縄張り意識というものを大切にする組織」
ということであれば、やつらにとって、
「計算ずく」
といえるのではないかと考えると、
「警察も、反社会組織」
というものも、
「同じ穴のムジナだ」
といってもいいだろう。
それを考えると、
「反政府組織」
というもの
「反社会組織」
というもの、似たような言葉で、
「なぜ名前が違うのか?」
ということになるのだ。
「名前なんて、別に気にしなくてもいいではないか?」
ということを考えると、
「そういえば、最近、似たようなことを考えたことがあったな」
と、樋口刑事は考えたが、
「それが何だったのか、思い出そうとすると、その寸前で思い出せなくなってしまっているのだ」
それを考えると、
「まるで寸止めではないか?」
と思うようになり、
「自分にとって、思い出せないというのは実は、真相に近づいている時だ」
ということにハッキリ気づいていないようだった。
だが、
「それを思い出していくうちに、分かってくるというものもある」
というもので、それが、
「男女雇用均等法」
というものにおける、
「名前の変革」
というものではなかったか。
つまりは、
「スチュワーデス」
というものを、
「キャビンアテンダント」
と読んだり、
「看護婦」
というものを、
「看護師」
と呼ぶなどという、本当であれば、
「呼び名などどうでもいいではないか?」
と思えることにこだわっていることが、却って、その問題に無関心な人から見れば、
「どっちでもいいことではないか?」
ということになるに違いない。
それをこだわるということは、
「しょせん、肩書がなければ、戦うことすらできない」
ということを、自分から告白しているようなものだといえるのではないだろうか?
そんな反社会組織であるが、やはり、連中には、
「バックに」
というか、
「表に」
「カルト宗教団体」
が絡んでいた。
実際には、
「反社会」
ではあるが、政府とは、密接に絡んでいる。それが、
「団体を継続させるために、政府を利用する」
ということで、
「政治家に対する金の授受」
つまりは、
「贈収賄」
というものが、組織と政治家との間で成立しているということであろう。
ただ、その資金をどうするかというと、そこで利用されたのが、
「宗教団体」
であった・
信者を利用し、金を貪り、それを政府への金として一部を利用する。もちろん、残りは、組織の上層部の懐にという手はずだが、これほど、悪徳なことはないと言えよう。
だから、
「反社会」
あるいは、
「反政府」
などとわざと言わせて、
「政府とは関係ない」
と思わせ、さらに
「宗教団体の特権を利用し、政治家と癒着する」
そんな奴らが、今の時代に君臨していることが、問題だった。
ただ、そのあたりのことは、警察や公安も目をつけていた。
「いよいよ、大規模な摘発を」
と思っていたところで、F県で、
「連続暴行事件」
というものが発生した。
これは、最初の犯罪こそ、
「久保による犯行」
ということであったが、あとのものは、実際には、
「模倣犯」
であった。
ただ、それは、
「変質者によるもの」
ということではなく、あくまでも、
「公安や警察の目を他に逸らせよう」
とする、一種の
「陽動作戦だった」
といってもいいだろう。
それを考えると、
「久保を自殺に見せかける」
ということには、二つの理由があったのだ。
一つは、
「すべての罪を久保に擦り付ける」
ということ。
そして、もう一つは、組織の関与を闇に葬るための、久保への口封じ」
ということであった。
どちらにしても、組織にとっては大切なことであり、さらに、彼等にとって、
「それを世間が知ったところで、パニックになるだけだ」
という正当性のようなものを、
「自分たちの中で思っているのだから、これほど厄介なものはない
といってもいいだろう。
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