第7話 勇往

「(ボコボコにするとは言ったが、流石に3対1はキツ過ぎるな、それに体格差がありすぎる)」

 当時の僕は身長160cmしか無く、相手は全員170cmはあった。

「お前ら囲め、リンチにするぞ」

「いいぜ、来いよ(冷静になれ、まず、正面から殴り合っても勝ち目は無いな、だとしたら急所を突くしか無いか……」

「殺しても構わん、死体はパパに消してもらう」

「いいんですね、九条さん」

 必死に言い訳してた方の取り巻きが、拳を振りかざし前に現れる。※紛らわしいのでここからはAと呼びます。

「すまねぇな天宮、家の家族はコレで食ってるんだ」

「チッ(速い、でもギリギリ見切れる)」

ガシッ

 Bが背後に移動し、羽交い締めにしてきて、ガッチリホールドされた。

「(足音がしなかった、マズイ)」

ドンッ

 右ストレートが頬に直撃し、流れるように左アッパーが鳩尾に突き刺さった。

「離れろよ!」

ガンッ

 Bの足の甲を思いっ切り踏み抜く。

ポキッ

 Bの足から鈍い音が鳴る。

「フー、痛いじゃないか」

「うるせぇ、ボケ!2対1は卑怯だろが。何より一番気に食わないのは……」

 足に力を込め、一気に踏み込む。

「お前だよ、九条!」

ガシッ

 しかし、既の所でAに服を掴まれた。

「離せよ!」

 立ち止まり、Aに肘鉄を飛ばす。

ドンッ

 Aを押しのけて、九条に拳を振りかざす。しかし、Bが間に入って来た。

「九条様、お守りします」

「天宮ぁ!」

 Aがタックルを仕掛け、吹き飛ばされた。

バンッ

 運悪く机に頭をぶつけてしまい、頭から血が流れる。その時、頭に登った血がゆっくりと下って行くのを感じた。

「(何だ?急に周りが一段スローに見える)」

 気がつくと椅子に手が伸びていた。

「オラッ!やるよ」

 手にしたパイプ椅子を三人に目がけて投げる。

「お、お前正気か?」

 九条がビビり散らかすが、AとBは動じない。そのまま、椅子が飛んで行くと同時に前に出る。

「……」

ガシャン  チリリリ

 Bが何も言わずにパイプ椅子を上に蹴り上げた、そしてパイプ椅子が火災報知器に当たり、その衝撃で報知器が鳴り響いた。

「こんだけ騒がしけりゃ、先生達も気づくよな!」

 Bにぶつかる直前、パイプ椅子を掴む。

「コレやるよ」

ガシャァン

「クッ」

 すんでの所で腕を入れたが、Bが吹き飛び、壁にぶつかる。

「滅茶苦茶しやがって!クソ野郎がぁ!」

 焦ったAが拳を飛ばす。

「技術はたしかだけど、動きが単調だ」

 しゃがみ込み、足先でAの股間を蹴り上げる。

「ウッ」

「意識が下に行ったな、勝負有りだ」

 喉を突き、流れるように顔面に膝蹴りを決めた。

「あ゙ぁ、カヒューカ(鼻骨が折れた、それに喉を突かれて息が……)」

バタン

 Aが首と顔を押さえて倒れた。

「お前を守る壁が居なくなったな、九条!」

 胸ぐらを掴み、拳を振り上げる。

「まっ待て、落ち着けよ永夢、な?」

「うるせぇ、雑魚」

 九条を思いっ切り殴ろうとした時、九条がニチャァと笑った。

「は?まさか…」

 振り向くとカッターナイフを手にしたBが立っていた。

「ヤバい」

 反射的に左腕を出したが、切りつけられた。腕からポタポタと血が滴る。

「バッサリ切りやがって、殺す気かこの野郎」

「椅子でどついてきたあんたに言われたく無いね」

ガラガラ

「キミ達!何をやってるんだ!!城守くん?血が出てるぞ、大丈夫か?」

「僕は大丈夫です(こんだけ騒いどけば、そりゃ来るよな)」

 多くの先生が集まって来た。






















 


 

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