メインシステム、炊飯モード起動します!
炊飯器の内釜の中へとお米を3合分入れた僕はシェイラの動画をまた再生させる。
『内釜にお米を3合入れたら炊飯器から内釜を取り出しお米を水を使って洗います。これをお米を研ぐといいますが、これをやっておかないと美味しいお米は食べられません』
な……なるほど……。
僕は試作型炊飯器から内釜を取り出すと、シンクの上へと置く。
『取り出した内釜へとお水を入れて軽くすすぎます。次にお米が完全に浸かるくらい水を入れて軽く手を回転させて中のお米をかき混ぜるように洗います』
シェイラはそう言い動画の中でお米を洗っていく。
なるほど、こういうふうにするのか……。
僕は動画の中のシェイラの見様見真似でお米を研いでいく。
『そして、一度洗ったら水を捨てて再び水を入れて研いでいきます。これを全部で3回くらいするとお米を研ぐと言う工程が終わります』
なるほど……。
僕は動画の通り内釜の中にに入っているお米を3回ほど研ぐ。
『そして、最後に水を入れるわけですが、今回はお込めの量が3合ですので、内釜の中側に書いてある3と言うメモリのところまで水を入れていきます』
シェイラはアップで内釜の中川を映すと3と書かれているところまで水を入れていく。
僕も試作型炊飯器の内釜の中側へと目をやると、確かにそこにはメモリが書かれていた。
「なるほど……、ここまで水を入れればいいのか……」
メモリを確認すると3のところまで水を入れた。
そして……次は……と……。
『水を入れましたら内釜を炊飯器本体にセットして炊飯ボタンを押します。あ、お知り合いから試作型魔動力炊飯器をもらったそこのあなた!その炊飯器でも問題なく炊けますのでご安心を♡』
「なんで知ってるのさっ!?」
僕は思わずシェイラの動画にツッコミを入れる。
この試作型炊飯器はシェイラの差し金なのか……っ!?
シェイラがノクス先輩に頼んで僕のところへと持ってこさせたやつなのか……っ!?
分からない……、シェイラ・ムーンハウル……、彼女は一体何者なんだ……?
僕は思わず息を呑む……。
「と……取敢えず水を入れた内釜を炊飯器にセットするか……」
色々思うところはあるものの、僕は炊飯ボタンを押す。
すると……。
『メインシステム、炊飯モード起動します!』
「うわぁぁぁぁぁ……っ!?」
「は……ハルト……!そいつ喋ったぞ……っ!?」
突然炊飯器から聞こえてきた声に僕とレオナは驚き後ずさると思わず抱き合う。
「あぅうあ~、うぅあぅ~」
それとは対照的にリィナだけはなぜか喜んでいた。
『試作型炊飯器の場合ですと、音声が流れることがありますが、問題はありませんのでそのまま炊けるまでお待ち下さい。なんならその間にお二人目でも仕込んでみてはいかがですか?』
「だからなんで知ってるのさ……っ!?と言うかしないよ!!」
僕は再びシェイラツッコミを入れる。
もしかしてイレーナさんまで絡んでいるのかと疑いたくなる……。
◆◆◆
お米が炊きあがるまで僕とレオナは固唾をのんでリビングのテーブル席へと座りながらキッチンに置いてある炊飯器を見つめていた。
すると……。
「お……おいハルト……!何か炊飯器から湯気が出だしたぞ……っ!?大丈夫なのか……?」
レオナに言われ僕はノクス先輩からもらった説明書へと目を通す……。
「えっと……これはそういう仕様みたいだから大丈夫みたいだよ」
「そ……そうなのか……?」
なにせ炊飯器と言う物を初めて使うため、僕もレオナもドキドキしながら炊飯器の様子を見ていた。
「あぁう~、うぶぅあ~」
しかし、そんな中リィナは炊飯器に興味津々なのか、ハイハイをしながら近付いていく。
「リィナ……!危険だっ!離れるんだ……っ!」
それをレオナが慌てて止めるとリィナを抱き上げテーブル席へと戻って来る。
その反応速度、流石レオナだと思う。
僕だったら、あそこまで素早く動けなかった。
そして、さらに暫く経つと……。
『炊飯完了、システム保温モードに移行します』
と言う声が聞こえ、僕とレオナは度肝を抜かされたのだった……!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます