銀の巣食う星
さてらいと
寄生
閑静な住宅街。
夜の公園にて、ヴォンという電子音の後、砂場に青い光が散った。
「痛っ!」
突如地面に転がった私の前に、3体の異界生物が集まってきた。
焦らず仲間と通信をとる。
報告。緊急事態。
縦長の星型生物2体。以下A、Bと呼称と、拘束具に繋がれた五芒星型の生物Cと接触。
おそらく有機生命。
全身が細い線状の物質に包まれたCが大きな口から咆哮を響かせ、私に飛びつこうとしている。AはCの拘束具を離さない。
A、Bの空気振動によるコミュニケーションを確認。応答せよ。
しかし仲間は答えない。離れ離れのようだ。
生物Cは臨戦体制に入っている。
こちらは損傷多数。
シュゥゥと音がする。
この世界の温度ではボディの液体金属が気化するらしい。
私は悪態をついた。
「くそ、これだけはやりたくなかったが、仕方ない。」
そういうと、私はその場から逃亡する。
CはAの拘束を振り切っておってきた。
4本の棒状機構はとても速い。
しかし、私は金属製の柵を透かし、彼らの居住区をまがり、目の前の生物に飛びついた。
「え、え!!ちょっ、これ、何!」
A、Bとちがい、身体上部の黒い繊維質が長い。
体をバタバタさせて私を引き剥がそうとするが、液体金属上の体はくっついて離さない。
やはり突起部分の多い体はやりやすい。
相手組織との結合を確認。
Cがこちらを捕えようと近づいてきている。
フッ、フッ、フッ、
鋭い息遣いが背後で聞こえる。時間がない。
私の見立てでは、奴の戦いの合図は咆哮だ。
ここは静かな居住区の真ん中、他の生物が集まってくるかもしれないが、仕方ない。
活動を停止させてやる。
私は寄生相手の興奮状態に乗じ、神経系を乗っ取った。そして、
「は?、え、あ、あ、グッ、があぁああああぁぁああー!!」
全身を開かせ大きく見せた後、とびきりの咆哮を響かせた!
ときは遡り、10分前
私は星乃やどり。青雲高校2年。女子サッカー部所属。長髪、黒髪で目の右下に泣きぼくろがある。平凡な、いやだいぶ落ちぶれた高校生。成績は悪いし、部活もうまくいってない。
塾の帰り、私は親友のミカとLIMEしながら帰路についていた。
やどり いまなにしてる?
mika スマホ眺めてたよー
やどり 私は塾帰り、まじつかれたー
mika おつかれ!やどいつも頑張ってるね!
やどはかわいいから気をつけなよ
やどり なにもおこらないって。
mika いや、私がつれさるよ!
冗談にクスッと笑う。
mika 私は医療系目指してるから!救急車で
やるよ。
ミカは人の命を助ける仕事をしたいと言って、ずっと前から医学系の仕事を目指しているのだ。
私は、その情熱が羨ましく感じた。
私には、目指したいものとか、一つ誇れるものがない。
きっとこのまま何もない人生を暮らし、死ぬのだと、馬鹿らしいことを考えては悲しくなる時がある。
もっと楽しく生きられたら、、、
そんなことを考えていたその時、
「まて!ハチ!」
目の前の角から急に犬が飛び出してきた!
「え」
それよりも驚いたのはその目の前、
大型犬くらいの銀色のスライム?みたいなのがすごい勢いで地面を這い、私の方に近づいている。瞬きする間にそいつは私にくっついた!
「え、ちょっ、むり!!」
引き剥がそうとしても取れない、銀の液体が身体中に巻きつき、体に溶け込んでいく。
ーすまん、緊急時でなー
冷静で透き通った女の声、
その声と共にからだの感覚がなくなった!
!
気づいた時には、四肢を大の字に開き、私は夜の住宅街で大絶叫していた。
え?え?
ー関節の動きになれんー
犬が怯んでも私はとまらない。
「ぐぁぁ」
獣のような唸り声とともに腕から銀色の液体金属みたいなものがでて、腕が10倍くらいのムキムキになる。
その後、犬を殴ろうとふりかぶった。
ちょ、まって!
抗おうとすると体の感覚が少し戻る。
私は咄嗟に標準をずらし、
民家のブロック塀を粉々にした。
犬はそれを見て、ビクッと体を震わして逃げた。
「おいおい、どーしたんだー?、て、え?」
2人の男が犬を見にきた。おどろいてゴリラ腕の私を指さしている。
みられた。
「なんだあれ!やば!」
男の1人がカメラを取り出す。
「やめっ!」
反射的に顔を隠そうと手を前に出そうとする。
すると、手が銀色の物質に覆われて大きく前に伸び、またも勝手に鞭のようにしなって横に薙いだ。
「ぎゃっ」
拳がモーニングスターみたいになって2人の頭を打ってしまった。2人は動かない。
え?え?私がやったの、もしかして、ころっ?
錯乱する私
ーよくやった。いったん逃げるぞー
冷静な声
あぁきっとこれは夢だ。
私はこの悪夢と、ブロック塀の損害賠償が怖くて、その場から逃げた。
ー神経系の中枢は一つ。関節は、いくつあるんだ?ー
ぶつぶつ呟く声とともに一心不乱に家に帰る。
「おかえりー」
母が夕飯を作っている。弟が居間から声をかけてくる。
日常風景。残念だが現実のようだ。
私は返事もせず自分の部屋にこもった。
はぁ。混乱しながら深呼吸して周りを見る。
すると、
「やぁ。」
目の前に髪の短い銀髪の女がいる。私と同じ制服で強気な顔。目が青い。
「私はロイコ、この姿は幻影だ。君に寄生させてもらってるよ。さっそくだが、あまり時間がない。単刀直入にいうと、」
あまりいい予感がしない。
「"狩人"という異界人が、君を殺しにくる」
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