第21話
「ダリウス様、事情とはなんなのですか?」
気になって、リアムの後ろから尋ねる。ダリウス様は忌々しそうに答えた。
「結界になかなか魔法がかからないのだ。お前のおまじない程度の強化魔法でも案外役に立っていたらしい。また遠征に同行させてやるから、ルシア聖国に戻ってこい」
「はぁ……」
先ほどまでわけがわからなかったけれど、ようやく納得出来た。
つまり、結界を維持するのにノーラの補助だけでは無理だったから、私を連れ戻して今まで通り働かせたいのだ。
光魔法を覚えたばかりのノーラで大丈夫かとは思っていたけれど、やはりうまくはいっていなかったらしい。
私はその答えに納得してしまったけれど、ちらりと見上げたリアムの顔は引きつっていた。
「ダリウス様。申し訳ありませんが、私はもうルシア聖国に帰る予定はございません。ほかの解決策を見つけて下さらないでしょうか」
「な……っ! 俺が直々に迎えに来てやったのだぞ!? それを断るのか!?」
「ええ。もう私たちは赤の他人になりましたし……」
躊躇いがちに答えると、ダリウス様は怒りに顔を歪ませて言う。
「祖国を捨てて帝国に寝返るなど呆れた女だ! お前は我が国が他国に攻め入られ、魔獣の被害に遭っても構わないと言うのか? それでも我が国の貴族なのか!?」
結界を張るのに同行しなくていいと言ってきたのはそちらの方なのにと、納得のいかない思いでダリウス様を見ていると、リアムがダリウス様の前に出て彼の腕を掴んだ。
「ダリウス様。スカーレットを侮辱するのはおやめください。彼女は私と婚約してこの国に移り住むと言ってくれました。もうアウロラ帝国の人間です」
「そんなこと認められるか! スカーレットは俺の……」
「俺のなんです? スカーレットはすでに私の婚約者になったと申し上げたはずですが」
リアムは氷のように冷たい目でダリウス様を見下ろし、腕をぎりぎり締め上げながら言う。ダリウス様の顔が痛みに歪んでいくのがわかった。
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