【短編】私を捨てて本当に後悔しませんか?

花々

1.婚約者に疎まれています

第1話

「お前は本当に可愛げがないな」


 私の婚約者であるこの国の第一王子ダリウス様は、吐き捨てるように言った。


 私は首を傾げて彼を見る。



「この場面に可愛げが必要ですか?」


「そういう返しが可愛げがないと言うんだ」


 ダリウス様は不快そうに言った。しかし、これが私の仕事なのだから文句を言われても困る。


 


 我が国はルシア聖国と言って、光魔法で作られた結界によって守られている国だ。


 小さく軍事力も弱い国だけれど、代々王族が国境全体に結界を張って他国の軍や魔獣の侵入を防いできたため長く平和が続いている。


 王族は定期的に結界のそばを訪れて力を送り、壊れないように強化してきた。



 光魔法を使えるのは王族と、私の家を含む大貴族の一部のみ。そのほかは突然変異的に光魔法の才能を持った者がわずかに現れるくらい。


 光魔法を使えない者は、どんなに才能のある魔術師だとしても結界には手を出せない。


 そのため国を守る結界を維持することが出来る王族は、国民から尊敬を集めていた。



 しかし、現世代の王太子であるダリウス様は歴代の王太子に比べて魔力が低かった。


 王太子が結界を維持できないと求心力に大きく関わる。


 そういう事情から、より高い魔力を持って公爵家に生まれた私が、ダリウス様が問題なく結界を守るために補佐するようにと言い使っているのだ。




「あーあ、なぜ毎回お前も連れてこなければならないのだ。こんな結界くらい俺一人でどうとでもなるというのに」


 それなのに、ダリウス様は私を見てため息交じりに言う。


 今日も私は寝不足の目をこすって結界の強化のため辺境の森に同行したというのに、ひどい言い草だ。


 感謝まではしてくれなくてもいいから、少しくらい柔らかい態度を取ってくれてもいいのではないか。



「不快な思いをさせてしまい申し訳ありません」


「全くだ。お前が婚約者でいつもうんざりしている」


 ダリウス様は苦々しい顔で言う。


 私は冷めた思いで彼の言葉を聞いた。

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