第27話「ゴブリンの脅威」

 私は北の森に入りましす。

 最近は初心者たちが小物を狩っているので、私は【俊足】で一気に森を突っ切り山岳部を駆け上がりました。

 途中遭遇したDやE級の魔獣をさくっと倒して、山の泉を目指します。


 昔は黄色い光ばかりだったのですが、以前よりもさまざまな色の精霊が増えています。

 これは、【探査】とまた別の魔力なのよね?

 いつものように水の中に入って北方の状況を探ります。特に数は増えていてないようですが、一部北西の方へと流れができていました。


「開拓地の西側の森に行ってみましょうか」


 今まで北ばかりに注意していましたから、西側がどうなっているか確認しましょう。

 一度開拓地に戻ってから農道を通って西の森に入りました。すぐに小物の魔獣が目につきます。次々に狩りながら私は先へと進みました。


「うん?」


 広域の【探査】に小物と戦っているパーティーが引っかかりました。


「まずいわね」


 C級が一匹接近中です。後続がいるかもしれません。

 私は一気に最高速度で走り始めます。

 小物を狙っていたのなら、多分初心者なのでしょう。接近に気がつけば逃げるのですが、そうならない可能性が高そうです。

 なおもC級は接近中で、初心者パーティーに動きはありません。

 悪いことに、後続に反応が二つ続いています。


「くっ……」


 さらに速度を上げます。体が過剰に発熱をはじめました。

 何とか間に合わせますっ!

 私は飛ぶように森を走り抜け現場に急ぎます。

 三人が尻餅をつき剣士が一人、前衛で踏ん張っていました。

 仲間をかばうように立ちはだかって、剣を振り回しています。まだ子供たちでした。


 相手は――。


「ゴブリン!」


 私はそのまま突っ込み、そのゴブリンの首を跳ね飛ばしました。

 すぐに後続の二匹が現れます。

 これも最下級のキッズゴブリンですが、初心者パーティーならば逃げるしかない相手です。

 人間の子供程度の体。上半身は緑色の表皮がむき出しで、下半身は毛皮で覆われています。今は素手ですが、知恵を付けてそのうち人から奪った武器を使い始めます。鋭い爪で人間を引き裂く魔獣です。


「下がって!」

「お、おうっ!」


 私の登場で、ほうけていた男子が我に返ります。続けて現れた敵を、【超高速】で瞬殺しました。

 これでひとまず安心でしょう。何とか救出は成功です。


「あなたたちの力では、こんなところまで来ちゃダメよっ! リーダーは何を考えているの!」


 十二、三歳くらいの子供たちです。ちょっときつめに怒っちゃいました。命に関わる問題ですから。


「すいません。小物を追いかけていてつい……。ここまで来たら、薬草があったんだ」


 少しだけ森が開けている場所で、所々薬草が生えていました。


「オッツォが行こうって言ったんだから。私は止めたのよ」


 四人共に、特に怪我はないようですね。よかったです。


「さっ、早く立ち上がって。ここは危ないわ」


 彼らの装備はボロでした。重剣士役の盾は壊れかけています。リーダーに意見した射手の弓は、明らかに体格に合わない小さなもの。魔導士の杖は、魔石はありますが子供の練習用ですね。


「リーダーは急いでゴブリンの魔石を拾って。あげるわ」

「えっ? いいの?」

「獲物の横取りはマナー違反だしね。今回は特別よ」

【探査】に反応です。また魔獣が来ましたね。

「早くっ! 新手が来たわ」

「おうっ!」


 リーダーが慌てて魔石を拾いました。

 四人で開拓地に戻り向始めた頃、奥から猪が飛び出してきました。

 私は飛び込んですれ違いざまに剣を抜き、魔力の螺旋で包み込み瞬殺します。

 子供の前だからって、カッコつけすぎですね。かなり過剰な討伐方法です。


「すげえ……」


 私は魔石をつまみ上げました。


「これは私がいただくわ。横取りじゃないしね」


 私たちは開拓地へ急ぎました。もう追ってくる魔獣はいないようです。


「薬草採りに熱中するのはいいけど、魔獣には注意しなきゃダメよ」

「全員で警戒しろって言っただろ。なんで誰も気がつかなかったんだ」

「「「……」」」


 初心者ですねえ。


「リーダーのあなたも全員の一人でしょうに。こんな時は【探査】が一番得意な人が警戒に集中するのよ。他の人が採取するの」

「そうか……。そうやるんだ!」


 やれやれ。年齢からして仕方ないのでしょうか、本当にド初心者パーティーなのですね。


「魔石を換金したら、もっと装備を整えなさい。お小遣いにしちゃだめよ」

「うん」


 リーダーの表情からして、これは買い食いに全部使っちゃいそうですねえ……。


「何食おうか?」


 仲間たちはシラけきっています。射手の女子はすまなそうに私の顔色をうかがいました。


「森を抜けたら、パーティーの戦い方をちょっと教えてあげるけど。どお?」

「ぜひっ! 簡単に稼げる方法が知りたいな」


 仲間をかばってゴブリンの前に立ちはだかる姿には感心しましたけど、なんだかダメリーダー匂いがしますよ。


「よろしくお願いします。私たち、もっと強くなりたいです」


 とは魔弾射手の女子です。


「俺たちの村を守りたいんだ。教えてください」


 重剣士は熱い男子のようですね。


「私も家族の皆を守りたいです!」


 魔導女子は家族思いですねえ。

 さすが開拓地の子供たちです。素晴らしいですね。約一名を除いて。

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