第9話 ジャンヌさんと……
「じゃあ、馬車を用意して……」
「馬車じゃなくて馬を飛ばせば、二日くらいで行けるだろうが」
「そうだけど……」
「グズグズするな」
「だけど馬乗れない」
「はい?」
「馬乗れない」
「はあ? それでも、タイラー大公家の人間か?」
「すみませんね〜」
「まあ、良い。私の後ろに乗れ」
「は〜い」
ジャンヌさんが
「しっかり捕まっていろよ」
「うん」
俺はジャンヌさんの腰に手をまわし、しっかりと捕まる。
「はっ」
ジャンヌさんの掛け声と共に、馬を
「ん、ジョバンニ、ん、しっかりと捕まれ!」
「えっ、何?」
風を切る音と馬の
「しっかりと捕まれって言ってるんだ! ん、私の身体を
「えっ、何?」
後でジャンヌさんに聞いたところ、俺がちゃんと捕まっていなかったので、俺の手がジャンヌさんの身体を激しく撫でる感じになってしまったそうだ。
「ごめんなさい」
「いやっ、良いんだ。大した事じゃない」
と、激しい運動をしてもケロッとした顔でこなすジャンヌさんには珍しく、上気して赤くなった顔と
途中休みつつ、馬を走らせ翌日にはタイラー大公領の農業地帯にやってくる。
「一面の緑だね」
「まあな」
専門家じゃない、俺とジャンヌさんじゃ良く分からない。結局、農家の方々に聞くと。
「まあ、今年は不作だろうね〜」
「これからの改善は難しい?」
「まあ、無理だろうね」
「そうか」
「まあ、だけど心配いらんよ。こういう時の為に、タイラー大公家は作物を保存していてくれてるんだ。餓死者など出ないさ」
「へ〜」
そうなんだ。知らなかった。じゃあ、心配いらないのかな? その後も聞き回るが皆さん同じ話だった。
そして、その夜、近くの比較的大きな街の宿に泊まる。そして、いつものクセで、ジャンヌさんと同じ部屋に泊まったのだけど……。
「ジャンヌさん、近いよ」
「そうか……。だが、私はお前の妻だ、良いじゃないか」
ジャンヌさん酔ってる? 確かに結構飲んでいたけど。
「私は、お前が前に言っていたような女とは違う、いきなりお前の前から消えたり逃げたりしない安心しろ」
「えーと、ありがとう」
どうも俺はジャンヌさんに酔って自分のトラウマを話したようだった。
「だから、お前の女性に対する不安を取り除きたいんだ……。無理に女遊びしているように振る舞わなくても良いようにな」
「えっと、ありがとう……」
ジャンヌさんには、そう見えていたのかな?
「お前のそばにいて、お前の努力を見てきた。お前は、誰よりも強い」
「えっと、ん~~」
ジャンヌさんが、俺の唇に唇を合わせる。そして、モゾモゾとジャンヌさんは動き全裸になる。
「女らしい身体じゃないがな」
「そんな事は……。ジャンヌさん、綺麗だよ」
俺も酔っているのか。引き込まれるように、ジャンヌさんと身体を合わせる。
俺は、ジャンヌさんの身体に
「うわっ!」
俺は、起きるとジャンヌの姿を探す。
「心配するな。私は、ここにいる」
「うん」
良かった。スーッと不安が静かに消えていくような気がする。自分の中で何かが変わったのか? 何かは分からないけど。しっかりしないとという思いや、自信も出たような気がする。多分。
逃げずに進もう。ジャンヌの為にも。
そして、公都ハーカタに帰ってきたのだが……。
「ジャンヌさん、何ですか、その表情は」
「えっ、いやっ、何でも、ないぞ」
「嘘です。ジョバンニ様を見る目が違いますよ」
セシリアさんとジャンヌがやり取りして、マリアさんはその二人を交互に見ている。
「いやっ、でも……。すまない」
「ふ〜んだ。あ〜あ、ますますいき遅れになっちゃいますよ〜」
「大丈夫だ。セシリアには私に無いものがある」
「そうですか?」
「ああ。その無駄に大きな胸だ」
「無駄にって何ですか〜」
「ハハハ」
「待ちなさい〜」
セシリアさんが、ジャンヌさんを追い掛け回し、マリアさんも追いかけて行った。平和だね〜。
そうだ、それよりもだった。俺は、お父様に手紙を書く。セシリアのお父さんから訴えがあったら、セシリアは俺の妻なので、俺にも連絡してほしいと連絡したのだった。
さらに、俺はタイラー大公領の役人のまとめ役を呼び出すと。
「なんか不作の時用に
「ございませんが」
「はい?」
「ジョバンニ様がそんな物無駄だからと、全て売却されましたが」
俺の馬鹿〜。終わった……。
どうすれば……。
そう言えば、ジョバンニと組んで色々悪さしてる悪徳商人がいたな〜。名は確か……。ダイコクヤ・ソウエモン。完全に名前和風だよね〜。
俺は、ダイコクヤ・ソウエモンを呼び出したのだった。ダイコクヤ・ソウエモンは、ハーカタの一位二位を争う大商人でもあった。
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