第12話 計画
「僕は、君と結婚したいんだ。」
「これが黒田の声です。」
古田が、補足する。ICレコーダーから流れる音に集中する。
「でも、私には夫がいます。」
「君から離婚を切り出せ。」
「なんて言って離婚してくださいと言えば?」
「理由はなんでもいいんだよ。旦那は、家事とか育児とか全然やらないんだろ。」
「それは、私が専業主婦だから。」
「それに、君の料理がまずいって言ったんだろ。最初に来た時、聞いたぞ。」
「まずいんじゃなくて、あまり上手ではないと。」
「ほら、そうだろ。ワンオペ家事育児を妻に押し付けるモラハラ夫だ。それを
理由にして離婚を切り出せ。」
「でも、夫が離婚に、同意するとは思えません。」
「それでいいんだ。離婚協議はできるだけ引き延ばすんだ。」
「意味が分かりません。」
「いいかい。俺たちが、幸せな結婚するには、金がいるんだ。モラハラ夫からは、慰 謝料、財産分与、そして、婚姻費用、養育費全部いただくんだ。」
「財産分与と婚姻費用?」
「財産分与は、夫婦のお金を半分に分けるのは、分かるだろ。婚姻費用は、君は専業主婦だから、離婚が成立するまでは、君と娘を養育する金を旦那は払う義務がある。つまり長くなれば、それだけ多く請求できるという理屈だ。だから、離婚を切り出したらすぐに別居しろ。俺のところに住めば、家賃を払うとしてその分請求できる。」
「そ、そんな・・。」
「罪悪感があるか。ハハハ。」
「バレないように、離婚を切り出すまで、関係は、もたないようにするから、今日は帰るんだ。また連絡する。」
「は、はい。」
ガチャ。戸が閉まる音がして、あとは、路上を歩いているような音が続く。
古田が、停止ボタンを押した。
「ということです。」
「この2人の目的は、真田さん、あなたのお金を奪い取ることです。」
「こいつらの思うようにはさせません。」
怒りで足が震えた。
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