第7話 “がんばる”を手放して、呼吸がしやすくなった日
ずっと私は、「がんばること=いいこと」だと、どこかで思い込んでいた。
「これくらいできる自分でいたい」と思って、目標設定を上げ続け、気づけば“自分に負荷をかけること”だけが上手になっていた。
やらなきゃいけないことが増え続けて気持ちばかり焦ってしまっても、結局家に帰ると何もする気が起きない。
できない自分にやる気を起こせない自分に悔しくて、苦しくて、湯船に浸かっていたら、ふと涙がこぼれた。
身体は疲れている。
しかし、それ以上に心が疲れていたのだ。
こんな私じゃだめだ。
「もっと効率よく動こう」
「無駄をなくそう」
今度は、そうやって余力を残せるように時間を意識して行動しても、新しい“がんばること”が増えただけだった。
目の前のことを全部こなそうと、がむしゃらに動くうちに、心の中の小さなため息が増えていく。
そして、ある日、パンクした。
突然、まったく仕事が回らなくなったのだ。
私は、がむしゃらに頑張ってできることまで、自分のキャパシティだと勘違いしていた。
仕事において「目の前のことを全力でこなす」ことが、自分の持ち味だと思っていた。
でも、それは自分の身体や心を傷つけていただけだった。
その傷は、がんばることを手放して少しずつ癒えてきた。
がんばらずにいると、忙しさの中では通り過ぎていた小さな幸せに気付く。
朝ゆっくりコーヒーを飲む温かい時間や、気分が高揚するようなキレイな空の色。
ひとつ気付く度に、心の呼吸が深くなっていく。
がんばることは素敵だけど、無理してまですることじゃない。
今、私が大切にしているのは、「がんばる」よりも「心が、楽に呼吸できている」か。
たくさんの予定をこなすことも、次々と成果を出すことも、きっと意味はある。
でも、自分のリズムやペースで、余白のある毎日を選ぶことだって、ちゃんと“意味がある”って思う。
“やること”、“やるべきこと”の前に、“自分の心のこと”を考えるようになって、私は今、毎日が楽しい。
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