第14話 狂人ヨハン

 今日はジャミルたちと待ち合わせして、狩りに出かけようとしていたそのときだった。


「ミリアは人狼だ!!!」


 聞き捨てならない暴言が聞こえてきた。何故それを知っているんだ?リリーナから漏れたか?


「ああ、あいつは村長の息子で狂人と呼ばれてるヨハンだ。ああやっていつも占い師の真似をして人を陥れようとするんだ。年中働かずにふらふらしているような奴だ」


 狂人か。本物の占い師だったら俺は死んでるだろうし、偽物だろうな。人狼裁判では心強いが、平時では鬱陶しいだけだな。さて、ヨハンを無視して狩りに行くか。


 ……狩りから帰ってきたら、ミリアが泣いていた。


「ミリア、どうした。何があったんだ?」


 俺はミリアに聞いた。


「ミリアお姉ちゃんのところにヨハンが来て、お前人狼だろって言い放ったの。それがショックだったみたい」


 アンネがミリアの涙の真相を語ってくれた。ヨハンめ、許さんぞ。


「でも誰もそれを信じてないし、ヨハンは村長に殴られてたの」

「ちょっと村長のところへ行ってくる」


 一言文句を言ってやろう。俺は村長の家を訪ねた。


「おお、マックスか。ヨハンのことじゃな……」

「ああ、今俺は怒っている。ヨハンがミリアを怖がらせたことにな!」

「すまんな、マックス。ヨハンにはきつく言っておくからの」

「また今回のような騒ぎを起こしたらヨハンを村から追放してもらう」

「なっ?!ちょっとそれは厳しすぎるぞ!儂の息子なんじゃ!許してくれ!」

「騒ぎを起こさなければいいだけだ。できないのか?」

「むむむ……、正直ヨハンが何を考えてるのかわからん。いつもぶつぶつ独り言を言ってるし……」

「今回は許すが次回は許さないからな」


 俺は家に帰った。

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