第2話 入学理由 ➀望海
「お前なんか産まなければよかった」
「きったね〜見ろよこいつヤバくない」
「近づかないで」
「見ないで、あっちいて」
「お前の担任になったせいで人生めちゃくちゃだ不登校になってくれないか」
人生どうでもいい。
自分は悲劇のヒロイン、そう思えばつらくない。中途半端な愛よりはマシだろう。
先生に嫌われているんだから勉強したってオール1だろう。
好きな時間に学校行って、授業中寝て、
お昼食べないで、好きな時間に帰って、もういいんだ。
でも、死にたいとは思わない。
なぜだろう…本当に謎だ。
私の名は鈴木望海(すずき のぞみ)
父は私が5歳の時死んだ。
母はどっかにいる。たまに帰ってくる。
何してんだろう、キャバクラとかやってるわけじゃなさそうだし、男もいなそう。
ダサい服に化粧なし。何やってんだろう。
母は名門のお嬢様だったのに…
学校帰り、私は必ず海に寄る。
寄るっていっても通学路は海に沿っているから、寄り道ともいわないだろう。
そして海の絵を描く。
絵は得意じゃ無い。だけど描くと落ち着く。
(海さん、私を吸い込んでよ)
家に帰ると3か月ぶりに母がいた。
「望海、おかえり」
低いトーンで話す母は久しぶりに会う娘に対して冷たい。
「 ただいま」
「進路決めたの?」
「いや、」
「そう、ならお父さんの母校に行きなさい」
「どこ?偏差値は?」
母は黙って箱を指さした。あれは確か私の小さいころの思い出の品やアルバムを入れた箱だ。
「お父さんの遺品、あのネックレスをつけて海に聞きに行きなさい」
父の遺品であるネックレスは小さい頃貰って宝物として大切に保管していた。
(どういうことなんだろ)
ネックレスをつけて海に近づくと海に道ができた。
(モーセの海割りみたい…)
夢だろうか…
進んでいく、前に
すると建物が見えた。
そこには自分と同じぐらいの4人の学生がいた。
建物はまるで学校、だった。
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