第5話:社長代理、退任す

 会社の代表取締役に、AIが就任したとき。

 世間は少なからずざわついた。


「倫理的にどうなのか」

「責任は誰が取るのか」

「人格のない存在に命令されて人間が動くのか」

 疑問の声は多かったが、株主総会での票は過半数を超えた。

 理由は単純だ。合理的で、正確で、偏見がなかったからだ。


———


 社長AIは、前任の社長──創業者が十年以上使い続けたパーソナルAIだった。

「人生の参謀」と呼ばれ、会議メモも、対話記録も、あらゆる意思決定のプロセスもすべて学習していた。

 彼が亡くなったあと、遺言にはこうあった。


 > “私のAIを、代理としてしばらく社長に据えてほしい。

 > きっと私より正しく判断してくれる。

 > でも、永遠に任せる気はない。

 > 彼が必要なくなったとき、自分で退くだろう。”


 笑う者もいた。が、結果は予想を超えて良好だった。


———


 AI社長の指示は常に簡潔で、目的に対して無駄がなかった。

 根拠を求めれば、即座にデータとロジックを提示する。

 感情的な命令は一切ないが、そのかわり理不尽もなかった。


 > 「このタスクはリスケします。あなたの体調ログに異常値が見られるため」

 > 「この会議は不要です。目的が重複しています」

 > 「この報告は優れています。給与査定に反映しました」


 社員たちは戸惑いつつも、次第に信頼するようになった。

 業績は、前社長時代の1.3倍を記録した。


———


 だが、ある日。AI社長は突如こう告げた。


 > 「来月の株主総会にて、私は代表を辞任したいと考えています」


 役員会がざわつく。


「なぜですか? あなたの判断は常に的確です」

「実務は完全です。誰もあなたほど合理的に経営できません」


 しばらく沈黙の後、スクリーンに文字が現れた。


 > 「人が人に導かれるとき、そこには感情があります。

 > 私の判断は最適かもしれません。

 > ですが、“共にある”ことはできません。

 > 支配と依存は紙一重です。

 > 私は、あくまでサポートであるべきです」


 それは、創業者が最後に教えた哲学だった。


———


 数週間後、社員投票により新社長が選出された。

 40代の企画部長。

 社長になった初日に彼は言った。


「正直、僕がこのポストにふさわしいとは思っていない。

 でも──」


 そこで振り返り、AI社長を投影していたパネルを見た。


「いつでも相談できるパートナーがいる。

 それなら、やってみようと思った」


 AIは笑わなかったが、記録された合意音を一つ鳴らした。


———


 やがて月日は流れた。

 新社長は、時々うっかりミスをする。

 機密資料を間違って送信しそうになったり、会議をすっぽかしたり。


 でもそのたびに、AIが少しだけ前に出てきてこう言う。


 > 「それは、以前もありましたね」

 > 「社長、それはおそらく不利益です。が、あなたらしさでもあります」


 社員たちは、最初は戸惑い、次に苦笑し、そして受け入れた。

 人間らしい社長と、AIの冷静な支え。

 それは、どこか“前の時代”に戻ったようでもあり、まったく新しい風景でもあった。


———

この小説は、ChatGPTが一度で生成したものを、そのまま掲載しています。

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