第38話 お風呂の必要性
どうやらペリオス、ペリーナがコボルトたちの手伝いで材木を集めるついでに、ペロとモラクスに魔法を教えるようだ。
「そっか、せいじゅうの魔法だものな?」
聖獣の魔法を教えるのはやっぱり聖獣の役目だ。
「こんど、ノエルがおしえてもいいかも?」
僕もかなり猫魔法を練習しているので、モラクスやペロよりもうまいと思う。
逆に人族の魔法はよくわからないので、ティルや母様に教わった方が良い気がした。
それからティルはリラやミアたちにも話しを聞く。
リラもミアも、エルフの子たちと一緒で不満はないようだ。
次にティルに尋ねられたコカトリスたちは、最初は何もないと言っていたが、
「新入りだからって遠慮する必要はないぞ。何でもいいから言ってくれ」
と言われて少し考えてから、
『……それなら』『すなあびば』「ぴぴぃ」
砂浴び場を希望した。
「…………」
僕はちらりとアオたちを見た。
「な?」「みゃ?」「にゃ?」
「なんでもないよ~」
砂浴び場ができたら、アオたちは喜んで遊びに行ってゴロゴロして砂まみれになりそうだ。
「…………」
猫なのでお風呂を嫌がるし、砂を落とすのが大変そうだ。困る。
そんなことを考えていると、
「砂浴び場か。いいね。作るのは難しくないから作ってみようか」
『ありがと』『すぐじゃなくていい』「ぴよぴよ」
砂浴び場は作られることに決まってしまった。
コカトリスは砂浴びが好きみたいだし、仕方ない。
砂まみれになったアオたちは清浄の魔法でなんとかするしかないかもしれない。
砂対策を考えていると、
「砂浴びと泥あびができるようにしようか」
ティルが凄いことを言い出した。
『! いいの?』『ありがと』「ぴよ~」
「いいってことさ」
僕はちらっとアオたちを見る。
「な?」「みゃ?」「にゃぁ?」
アオたちは泥浴びはは好きだろうか。
猫だから、濡れるのが嫌いだし、きっと嫌いに違いない。
そう信じたいとおもっていたら、
「ぁぅぁぅ」
ガルガルが嬉しそうに尻尾を振っている。
「そ、そうだった」
ガルガルは砂浴びはしないかもしれない。
でも絶対に泥浴びはする。
泥だらけになって嬉しそうにはしゃぐガルガルの姿が目に浮かぶようだ。本当に困る。
なんとかしなければ。
そうだ。風呂が必要だ。
アオたちは嫌がるだろうけど、ガルガルはきっと風呂も好きだ。
お風呂があれば、泥だらけになったガルガルをきれいにすることができる。
「フィロとカトリーヌは? 何かないかな?」
ティルが父様と母様に尋ねたってことは、次はノエルの番に違いない。
絶対お風呂を希望しよう。
「今すぐに欲しいものはないな」
「ええ。私も新しい設備の必要はあまり……」
「そうか。なにか気づいたら教えてくれ」
じーっとティルを見つめていると、
「ノエルは何かある? 何でもいいよ。言うだけならただだからな。大変ならそういうし」
「えっとー」
「わふ~。わうっ!」
答えようとしたら、興奮気味のガルガルが自分にも聞けとアピールし始めた。
「もちろんガルガルも何かある? アオとクロと、シロも何かあればいってね」
「わふ~」
アピールしたのに、ガルガルは特にないという。
ティルにかまってほしかっただけなのかも知れない。
「なぁ」「みゃ」「にゃ」
アオたちも特にないという。
「そっか。今はなくても、気づいたらすぐに言ってくれ」
「わふ」
ガルガルは満足げに「気づいたらすぐに言う」と尻尾を振った。
泥浴び場ができる前に、しっかりと要望を出さなければなるまい。
「あのな、ノエル、……おふろ、はいりたいな?」
「…………お風呂か」
「ところでお風呂とはなんだ?」
ミアが首をかしげながら尋ねてきた。
「そっか、腐界では水が貴重だからお風呂とかないのか」
ティルの言うとおり、腐界では水は貴重なようだ。
ママも僕もガルガルも、魔法で水を出せるので水に困ったことはない。
だけど、エルフたちは魔法が使えないので、水は井戸を掘って何とか手に入れていたらしい。
しかも苦労して手に入れた井戸水も、少し瘴気に汚染されていたみたいだ。
瘴気の汚染がましというだけだ。
だから、水は美味しくない。
そんな水でも美味しいご飯を食べるために香辛料をたくさん使ってカレーにしたのだ。
「大きな鍋みたいなものに、お湯を入れてそこに入るんだよ」
ティルは少し考えて、お風呂を知らないミアにもわかりやすく説明する。
「…………水がもったいなくないか?」
「井戸水しかないなら、もったいないけどな。今は俺が水をいくらでも出せるし」
「のえるも、みずだせるな?」
だから、お風呂をに使う水には困らない。
「そうだね。ノエルも得意だな」
「なー? おふろなかったら、みあは、どうやってからだあらってた? まほうもないのに?」
僕やママ、そして多分ティルも清浄の魔法が使える。
だから、ガルガルやアオたちがうんちの上で転んでも、きれいにできるのだ
ミアやミーシャたちはお風呂に入ってないし清浄の魔法も使えない。
なのに臭くないし、良い匂いなのだ。
「ん? 石鹸草というものがあってだな」
どうやら石鹸草という名の魔草を採ってきて、それを揉み込んで体を拭くという。
「そうすると、さっぱりするし匂いもとれるんだ。昨日も石鹸草で拭いたんだが」
そういうと、ミアはティルに袖の匂いを嗅がせている。
「な? 臭くないだろう? 服を洗うのにも石鹸草を使う」
「くんくん。……たしかに良い匂いだな。便利な草があるんだなぁ」
「そうなんだ!」
それがあれば、お風呂入らないのかもしれない。
だけど、ガルガルは絶対泥だらけになるし、お風呂は気持ちが良い。
だから、絶対に必要だとアピールしなければならない。
「でもでも、おふろはきもちいものな? つくるかちはあるとおもうな?」
「まあ、そうだね。作ってみるか」
「やったー」「がうがう」
ティルがお風呂作りを認めてくれた。
これでガルガルが泥だらけになっても大丈夫だ。
「ガルガルもお風呂好きなの?」
大喜びしているガルガルにティルが尋ねた。
「わぅ!」
ガルガルはお風呂に入ったことはないけど、好きとはしゃいでいる。
「まあ、ガルガルも気に入ったら入っておくれ」
「わふ!」
お風呂を作るのなら石鹸もほしい。
清浄の魔法もあるけど、石鹸を使った方がさっぱりするに違いないのだ。
「なー、みあ。せっけんそうってどれ?」
「ああ、石鹸草なら――」
僕はミアに石鹸草の見分け方などを教えてもらった。
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