第33話 サンドイッチ
モニファスの授業が終わってからも、みんなが質問する。
それを聞きながらのんびりしていると、ママが拠点にやってきた。
見回りに行っていたジルカとペロの両親も一緒だ。
僕とガルガル、アオたちはママの元へと駆け寄った。
「ママ、おはよう!」「がうがう!」「なぁなぁ」「みゃ」「にゃ~」
「おはよう、子供たち。今日は何をしていたのだ?」
「ママ! えっとねー、ノエルな? 薬草のみわけかたべんきょうした!」
「おお、それは偉いな」
ママは僕の匂いを嗅いでくれた。
「がうがうがう」「なあ」「みゃみゃ」「にゃあ」
一生懸命報告する弟妹たちのことを、ママは「そうかそうか」といいながら舐めていた。
ゆっくり歩いて、拠点の中心近くに行くと、お昼ご飯の準備をしているティルが言う。
「シルヴァ。おはよう。久しぶりの一頭で過ごす夜はどうだった?」
「うむ。さみしくはあるが、同時にのんびりもしていたな」
「そっか。ちょうどお昼ご飯ができたところなんだ。食べていってくれ」
「お言葉に甘えて、いただこうではないか」
お昼ご飯という言葉が聞こえたのか、子供たちが駆けてくる。
「おなかすいた!」「もっもー」
「今日のお昼はサンドイッチだぞ」
「たくさん食べてね! いっぱいあるから」
「やった!」
それから皆でいただきますをしてお昼ごはんを食べる。
とてもおいしそうで、具だくさんなサンドイッチだ。
サンドイッチという呼び名も、過去の転生者が伝えたのかもしれない。
「おいしい!」
『チーズとトマトがあうわんね!』
エルフのみんなもコボルトたちも大喜びだ。
「口に合って良かったよ。モニファスも、牛乳をわけてくれてありがとうな」
『絞らないといたくなるから助かる』
「そうなのか。こちらこそありがたいよ。おお、うまい」
ティルもサンドイッチを食べて感動している。
どうやらモニファスが分けてくれた牛乳でチーズを作ったみたいだ。
モラクスがまだお乳を飲む赤ちゃんなので、モニファスはお乳が出るらしい。
「ガーリックバターもいいね。モニファス、ありがとう。とても美味しいよ」
「いくらでも食べられそうだ」
リラとミアもおいしそうに食べている。
僕はサンドイッチの外見をじっくり観察して目で楽しんでから、一口食べる。
こんがりと焼いたパンにガーリックバターが塗られており、香ばしい。
中の具は魔猪の肉と魔トマトと魔トマトと魔レタス、それにモッツアレラチーズだ。
魔猪の肉は醤油ベースの味付けがされている。
「ふゎぁぁ」
ものすごく美味しかった。
死の山で食べるご飯も美味しかったが、焼いただけの肉や焼いただけの野菜が多かった。
素材の味が良いので、それはそれで美味しい。
だけど、ちゃんと調理されたご飯は、それとは違ったおいしさがある。
美味しい素材を、美味しく調理しているので当然かもしれない。
「ノエルはどう?」
リラに尋ねられた。
「……とても、とてもおいしいな? チーズがすごくおいしい」
「僕もチーズすきー」「ばたーもいいかんじ」
『うまいわん!』
子供たちもコボルトたちも嬉しそうだ。
「ティル。おかわりしていい?」
そう尋ねたのはミーシャだ。
「もちろんだよ。たくさんあるからね」
「やったー」
「みんなもおかわりしたかったら遠慮しないでね」
それは良いことを聞いた。僕もおかわりしたい。
三つぐらい食べられそうなぐらい、ものすごく美味しいのだ。
ちらっと横を見ると、ペロやガルガルたち肉食組のサンドイッチの具は肉が多めだった。
逆にモラクスとモニファスの草食組のサンドイッチには肉が挟まれていなかった。
肉食組も草食組も、モッツアレラチーズは挟まれている。
みんな聖獣なので、普通の動物と食事の好みは違うのかもしれない。
「ノエル、おかわりする」
「うん。どんどん食べなさい。はい、どうぞ」
「ありがと! ほんとうにおいしいなぁ……ティルはりょうりの天才だな?」
「作ったのはリラだけどね」
「そっか……リラはてんさいだな?」
「ふふ、ありがと」
父様と母様もサンドイッチを食べて、
「本当に美味しいな。王宮のシェフが作った料理よりうまい」
「ええ、本当に」
と感動していた。
腐界の外のご飯より、拠点のご飯は美味しいのかもしれない。
「おいしいね! とうさま! かあさま!」
「ああ、美味しいな。いっぱい食べるんだよ」
「美味しいわね。ノエルはチーズすき?」
「すき!」
お腹いっぱいお昼ごはんを食べた後、みんなでお昼寝をすることになった。
エルフの子供たちとガルガルとアオたちとママ、父様と母様と一緒に家に入る。
モラクスとペロはティルと一緒に何かするらしいのでお昼寝はしないみたいだ。
「ゆっくりねよな?」
「ねようねー」
僕はミーシャと一緒に魔獣の毛皮を敷いた板の間にごろりと横になった。
ママは近くで香箱座りをしているし、父様と母様も近くでのんびり座っている。
「きもちいいな?」
夏なので外は結構暑い。
だけど、家の中は日陰だし、開いた窓から気持ちの良い涼しい風が入ってくる。
「にゃあ~」
「お、シロもきもちいいか?」
シロだけでなく、アオとクロも、ママの近くでゴロゴロしている。
ママはそんなアオたちを優しく舐めて毛繕いしてあげていた。
一日ぶりなので、アオたちはママに甘えたいのだ。
「ぁぅ」
「ガルガルもねむるといい」
のんびり横になるガルガルに抱きついてみる。
「もふもふ~」
ミーシャもガルガルのもふもふが気に入ったようだ。
ミーシャを含めた僕に近い年齢の子たちは、近くでゴロゴロしている。
少し年上の子たちは横になったり、静かに座ってお話ししたりしていた。
全体的に静かで、風が気持ちが良い。
ガルガルのモフモフっぷりも気持ちが良い。
「しょうきが……ないのがいいな?」
「しょうき、くさいもんね」
ミーシャが真面目な様子で言う。
「うん。くさい」
「ぁぅぁぅ」
ガルガルも「臭い臭い」と言っている。
「ティルの結界ってすごいなぁ」
「すごいけど、リラのごふ? とかいうのがないと、ティルでも結界をつくれないみたいだよ」
「そっかぁ。リラもすごいなぁ」
護符を作れると考えると、神官になるのも悪くないかもしれない。
神官兼魔導師もいいかも。そうすれば、一人で結界装置をつくれそうだし。
「……むむぅむずかしい……もんだいだな?」
そんなことを考えている間に、僕は眠ってしまったのだった。
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