第64話 捨てた夢

9回裏ツーアウト満塁点差は3点ここでホームランを打たなければ負けるなか打席にむかったのは三枝右京さえぐさうきょうだった。

三枝さえぐさは向かっている途中昔を思い出していた。


あれは13年前、三枝さえぐさが4歳の時に安河やすかわと出会った。

三枝さえぐさ安河やすかわはすぐ仲良くなった。

でも、もし三枝さえぐさ安河やすかわと出会わなければ、“あんな夢”を抱かなかっただろう。


8歳の時安河やすかわ三枝さえぐさは地元の少年野球チーム内藤ないとうボーイズに所属した。

当時の三枝さえぐさは下手だった。ボールにかすりもせず、ティーバッティングで打ってもても全てゴロになってしまうからである。

対する安河やすかわは違った。ボールにはほぼ当たり、ティーバッティングで打つとほぼ長打コース。更に投げても一流だった。

けんちゃんなんでそんな上手いの?」

「サイノウってやつかな」

と笑いながら返した。

安河やすかわは最初はピッチャーだった。

だが三枝さえぐさ安河やすかわはコンビになれるポジションにつきたかった。

その為三枝さえぐさはキャッチャーとして練習をした。

だが三枝さえぐさはキャッチングが下手でしかもキャッチャーとしては肩が弱すぎる為チームメイトからは、浪速なにわタイガースのOBでレジェンドで現役終盤に肩を壊した外野手の白本信紀しらもとのぶのりのような肩で安河やすかわ以外のチームメイトからは

内藤ないとう白本しらもと

と言う蔑称をつけられてしまった。

悔しかった、でもキャッチャーをやめたら安河やすかわとバッテリーじゃなくなる。

実際安河やすかわ三枝さえぐさの時は本気だが三枝さえぐさ以外だと、本気を出さないという欠点があった。


ある日の練習終わり三枝さえぐさが帰ろうとしていると監督が言ってきた。

「ただでさえ打てないのに、キャッチャーが出来ないならコンバートを勧めるよ」

と言うと聞いていた安河やすかわは言った。

右京うきょうがコンバートするなら俺もする……」

安河やすかわは最後言葉が詰まったが言うと監督は

「確かお前ら…コンビがいいんだな」

「はい」

「だったら二遊間はどうだ中部の藤森コンビっていただろ」

監督は言うと安河やすかわ三枝さえぐさ

「じゃあの二遊間を目指します!」

と元気よくゆうと、監督は

「その意気込みで頼むぞ!」

と歯を見せながら笑った。

それが“悪夢”の始まりだったかもしれない。


それから、三枝さえぐさはセカンド、安河やすかわはショートにコンバートした。

幸い三枝さえぐさにはセカンドの才能があり、安河やすかわにはショートの才能があった。

守備では日本一になれそうだったが、打撃も練習しなければ日本一になれない。

だから三枝さえぐさは毎日素振り500回をし続けた。


それが実ったのか三枝さえぐさは、小4で覚醒し、小5でチームの4番を任せられた。


4月4日に生まれ背番号は4番更には打順も4番偶然だが三枝さえぐさは4に恵まれていた。


そして三枝さえぐさは中学へ上がると安河やすかわと共に国分寺シニアに入った。

シニアに入るとざわついた

「アレが内藤ないとう史上最強二遊間」

「化け物だ……」

「ポジション取られないように頑張らなきゃ……」

自分のポジションが取られるかもしれないそう考えている人は自分からコンバートした。

案の定三枝さえぐさ安河やすかわはレギュラーを勝ち取った。

しかも三枝さえぐさに至っては4番を任された。


そして最悪の運命、三枝さえぐさはいつも通り打席に入ると、ホームランを打つ以外考えてなかった。

(俺がぶちかましてやる!)

そう意気込むと初球だった、顔面に当たった。

後から安河やすかわに聞いた話だと、三枝さえぐさは3分気絶してて、チームはサヨナラ勝ちをした。

だが喜びよりも何か自分の中の何かがような気がした。

それからはバッティングができなくなってしまい、自分がチームに迷惑をかけていると思い、シニアを辞めた。

自分の目指していた未来日本一の二遊間を捨ててまで辞めた。

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